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ぼくだけの山の家

今日は明け方からずっと
強い風が吹き続けていました。

こんな日は、
家のなかにいるほうが
音や振動が大きく感じられて、
想像が膨らみすぎてしまうけれど
実際外に出てみたとき
思っていたほどでもなかったのに、
ということがよくありますね。


寒くて風が強くて、
とても冬らしい1日でした。


たまたま
そんな日にぴったりの本を読んでいました。


「ぼくだけの山の家」


という本です。

いちおう児童文学になりますが、
大人でも
いえ、大人にこそ
おすすめしたいのです。

私は児童文学には、
そういう本がたくさんあると思っています。

大人が読むのに耐えられるどころか、
短い簡単な言葉を使いながら
大切なことを表現できることは、
並大抵のことではありません。
しかもそれだけに
それが頭を経由してくるより先に、
心に直接響いて届かせることができる。
ものすごい技術です。

子供の本だから、なんて思わずに
手にとってほしいなと思います。


大人になってから初めて出会う
そうした本もいいものですよ。

私自身、
大人になってから出会った作品も
たくさんあります。
この本だってそうです。


早いうちからであればあるほど
ともに過ごせる時間が長くなりますから
良いにこしたことはないけれど、
大人になったからって
遅すぎることはありません。


あなたを待っている本となら、
大丈夫
何歳からでも友達になれます。

私が保証します。

この本は、
そんな私の生涯の友となった
大切な本のひとつです。

実は、あんまり好きすぎて
物語が終わってしまうのが嫌で
最後まで読めないまま
しばらく寝かしていたんです(笑)。

やっと今日、読了しました。


5月のある日
ニューヨークの都会っ子サムくんが、
ペンナイフ・ひもひと巻き・斧・
火打ち石と40ドルだけを持って家を出て、
ニューヨーク北のキャッツキル山脈の
深い森へと向かいます。
物語は、その森のなかでサムくんが
たったひとりで冒険し、生きぬいていく
1年間の記録です。


もうね、
憧れがぱんぱんに詰まっているんです!

大木のうろをおうちにして、
友達であり、
獲物を捕らえてくれるハンターでもある
相棒のハヤブサ “ フライトフル ”がいて、
暮らしてみることでしかわからない
森の秘密や発見があって。


木のなかのおうちですよ!
たまらんですよ~!


またサムくんは
事前に本でけっこう知識を得て
きてるんですけど、
やっぱり実際にやってみると、
なかなか最初はうまくいかないところが
あるのもおもしろい。


しかしサムくんのすごいところは、
当たり前に不安も感じながらも、
できるようになったことで心を強くしながら
ひとつひとつをちゃんとものにしていき、
ただただ生きぬくだけでなく、
ちゃんとたのしみを見つけて
たのしんでいることです。
たったひとりでも。


これはもう、サム師とお呼びしたい(笑)


それがよく現れているのが食事です。

なんかサバイバルっていうと、
生でそのまま食べるとか
ただ火を通すってイメージじゃないですか。

サムくんは、
美味しく食べる工夫をすごくするんです。


メニューをあげると、

◎カエルのスープ
はらわたをとりのぞき、皮をはいで、
やわらかくなるまで煮る。
野生タマネギ、スイレンのつぼみ、それに
ノラニンジンをくわえて、
ドングリの粉でとろみをつけ、
カメの甲羅に盛りつける。
​◎シカ肉のシチュー
(つけあわせ:ガマの塊茎の蒸し焼きなど2種
デザート付き)
ホコリタケを
シカの脂とワイルドガーリック少々で
きつね色になるまで炒める。
水を足し、シカ肉を入れて煮る。
ガマの塊茎を葉でくるみ、
おき火につっこんでおく。
リンゴをきざんでキバナカタクリの根と
いっしょにあき缶に入れて煮る。
デザートにラズベリー。


どうですかこれですよ!!

おいしいやつじゃんこれ!!
三ツ星レストランか!(笑)

ぜひ読んでほしいので、
あんまりいろいろ言わないで
このくらいにしておきますけど(笑)、
これだけでもどうですか、
わくわくしちゃいませんか?


それでもって、
なぜ冒頭で今日のような日に読むのに
ぴったりだったかって言いますと、

あの木のおうちのなかにいるような
気持ちになって読めたからなんですね。

冬の吹雪の日なんかに
木のおうちの中にいると、
“ ある工夫 ” をしたので中は暖かいけれど、
外で吹きすさぶ激しい風の音や
木が軋んであげる悲鳴が根もとに
響いてくるんだそうで、
今日は風が強かったせいで
それに似た雰囲気を味わえたので、
ちょっとサムくんになったみたいで
楽しかったんです。


今ごろの季節の
寒い風の強い日…
できれば夜に、照明を落として
(目が悪くならない程度に気をつけて!)、
暖かい部屋で読むと
とてもいい雰囲気な気がしますよ♪


もしわくわくしちゃったのなら、
どうかぜひお手に取ってみてください。


あなたの冒険が、
すてきな冒険になりますよう!
そしてこれが、
すばらしい友とのであいになりますよう!


最後にこの本の
すてきな献辞を載せておきます。

多くの人に捧げるー
何年も何年もまえ、
ポトマック川や岸辺の木々に
たむろした子どものころの仲間たちへ、
そしていまわたしのまわりにいる
大人や少年少女のなかに息づく、
サム・グリブリーのような心のかけらに

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木のおうちー!キャホー♪♪♪↑↑↑



ぼくだけの山の家
My Side of the Mountain

ジーン・クレイグヘッド・ジョージ / 茅野美ど里 訳
偕成社

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