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ワーケーション事業を1年行ってきた振り返りとこれからのこと

はじめまして、株式会社MOLEの岡崎です。このような発信は初めてなので緊張していますが、タイトルの件についてつらつらと書いてみてみます。

弊社では、2020年8月にワーケーションズを公開して、トライ&エラーを繰り返して1年以上経過しました。本記事では、今までの1年の振り返りも兼ねてワーケーションズが考える現状の課題や今後の取り組みについて書いてみます。ワーケーション関連の事業や地方創生を考えてる人に少しでもお役に立てたら嬉しいです。

2020年5月にワーケーションズの開発をはじめる

最初の緊急事態宣言の真っ最中に、東北学院の中高の先輩でもあり宮城県塩竈市の市議会議員でもある阿部さんアドバイスをいただき、ワーケーションズを作ることを決めました。まずは簡単なLPで市場調査してみようというライトな気持ちで、弊社のエンジニア1名、デザイナー1名で制作を開始しました。ワーケーションの事業を始めてみようと決意した理由は以下の3点です。

①リモートワークが当たり前になり、出社する必要がなくなるのでどこでも仕事できるのは?と感じた

一つ目の理由が、緊急事態宣言に入ってから我々のような技術者主体のIT企業では、強制的にリモートワークがはじまりました。(この先2年間もコロナの影響が続くとおもってもいませんでしたね)

リモートワークを始めるにあたり、まず家の作業環境にこだわり始めた人も多いと思います。僕はまず会社のモニターを自宅に持ち帰り、テーブルと椅子を揃えました。

リモートワークをしてみると、「普通に仕事できる?出社の移動時間がないし、なんなら捗る?」と思いました。と同時に、「インターネットに繋がる環境でPCさえあればどこでも仕事ができる」と実感しました。それが一つ目の理由です。

②以前から開発合宿を行なっており、それがワーケーションなのでは?と感じた

二つ目の理由は、会社員時代も含めて以前からプロジェクトのキックオフやサービス開発の最後の大詰めのタイミングで開発合宿を行っていました。開発合宿とは、エンジニアやデザイナーなどが集まり、集中的にモノづくりを行う合宿で、深夜帯にみんな変なテンションになってきてゾーンに入るのが醍醐味でもあります。

開発合宿では、開発やデザインはもちろんですが、滞在先での観光や食事、温泉なども楽しみで、合宿というと一見キツそうに見えますが、参加者からすると結構楽しみなイベントでした。

ワーケーションという言葉自体は、2015年頃から知っていたのですが、毎日出社が当たり前の時代では、実現が難しい働き方という認識でした。コロナ禍のリモートワーク真っ最中に感じたワーケーションは、僕の中では「開発合宿」でした。

③2020年2月にpeeepsを公開したが、インバウンド旅行客がばったり止まってしまったので何かしないと焦っていた

三つ目は、弊社で2020年2月にローンチしたpeeepsに関係する話です。

peeepsは、オンライン上にガイドブックを作成できるツールで、そもそもはインバウンド旅行客向けに「日本をコンプリートしよう」をコンセプトに、通常の雑誌やメディアには載らない珍しいガイドブックをシェアしあうサービスとして公開しました。

公開した翌月にコロナが流行しはじめ緊急事態宣言に入ってしまいました。このままだと半年かけて開発したプロダクトが全く意味のないものになってしまうと焦っていました。

そこで思いついたのが、現在の形です。現在は、宿泊施設の周辺マップやガイドブックとして宿泊施設の事業者様を中心に活用いただいてます。宿泊施設のフロントにある周辺の飲食店、観光地などを紹介しているチラシをデジタルで提供するためのツールとして利用してもらうのがいいのでは。と思ったのがきっかけです。

1泊2日の旅行だとどうしても観光したくなってしまうため、ワーケーションズでは、連泊を推奨しています。連泊をする場合、宿泊施設を拠点に観光やアクティビティを楽しむためより周辺環境を知りたいというニーズがあるのではと思い、現在の形のように宿泊施設の周辺マップという形でワーケーションズの連携サービスとしてピボットしました。


2020年7月初旬から施設向けLPを作り営業スタート

7月初旬に人生初のプレスリリースを打ちました。元々文章を描くのが苦手だったため不安な気持ちもありましたが、当時いい意味でも悪い意味でも、注目になりつつあった「ワーケーション」という言葉がキャッチーだったか、メディアからの反響も良かったです。

ワーケーション以外の事業でも、今までは基本的に紹介で案件を獲得してきたということもあり、営業はやってこなかったため、メールや電話での営業方法を知人に相談しながら、地道に宿泊施設への営業をスタートしました。

念願の初めてのアポイント且つ快く掲載を承諾していただいたのが、今でも色々な取り組みでご一緒させていただくご縁となっている宮城県の東鳴子にある「旅館大沼」亭主の大沼さんです。

大沼さんや鳴子の方々と現在進行中の企画もご紹介します。

現代人が足りてない、自分の中に余白。それを補うためのリトリートプランです。日本にあるほとんどの種類がある温泉天国「鳴子」で、日ごろ溜め込んでしまった不要なものから解放される贅沢な時間を体験できます。残り3枠となっておりますので、気になる方はお早めにお申し込みください!

宿泊施設の方との会話の中で、当時の課題としてよく話に挙がっていたのが、「インバウンド旅行客が止まったので、なんとかしたい」「インバウンド旅行客向けにホテルをオープンしたのに、コロナが流行しはじめた」「ワーケーションでもなんでも試したい」などでした。

ワーケーションの事業を始めるまで、宿泊事業や観光業のことが無知だった私でも、大打撃を受けているという状況を目の当たりにし、責任感が芽生え始めたのはこの時です。

当時のLP(引用元:WebDesignClip様):

現在のLP:


2020年7月27日に当時の菅官房長官が「ワーケーションを活用した観光推進」発言

8月1日に公開予定でプラットフォームを開発していたのですが、公開3日前に菅官房長官(当時)が「ワーケーションで観光促進をする」という発言がありました。

菅官房長官の発言に対して、コロナ禍ということもあり厳しい発言や批判的な意見もSNSで目立ち始め、我々はこのままサービスを公開して大丈夫なのだろうかという葛藤もありました。

2020年8月1日に「NHK週間まるわかり」に出演

菅官房長官の発言の翌日、NHKから取材の問い合わせをいただきました。当時の私からすると、メディアに出たらバッシングを受けるのではないかという不安もありましたが、「週刊丸わかり」の取材を受けることになりました。

出演してみると、ほとんどバッシングもなく、宿泊施設からの問い合わせも増えることにつながりました。何も知らせてないのに、家族や知人から「NHK見たよ!」という声をいただき、テレビの影響力に感動しました。


その後、サービス運用を本格的にスタート

コロナ禍のこの1年間、ワーケーションを通して、ワーケーションズのお客様である宿泊施設に送客するためにどうすればいいか、何ができるかをひたすら考え、実行してきました。ワーケーションに関しては誰よりも考え抜いた自負があります。

ワーケーションは「地方創生」と「新しい働き方」の二つの側面があることに気づきました。

二つの視点

滞在先に地域にとっては地方創生につながること

ワーケーションの一番の効果は、地域に人が訪れるという点です。コロナ禍で旅行にいけなくなっても、ワーケーションで人は動きました。プライベートでの旅行は控えても、仕事をするための旅行であるワーケーションで全国各地に行っている人はいました。

ワーケーションは、ワークとバケーションです。ワークでは、地域のワークスペースを利用しますし、バケーションでも、食事やお土産など少なからず地域でお金を使いますので、経済効果アップにもつながります。また、魅力的な地域や人との交流で、ワーケーションをフックに移住を考える人が増えます。

スキーム

利用者にとっては新しい働き方につながること

利用者目線で言うと、ワーケーションはとても魅力的です。リモートワークが定着し、今までオフラインで行っていた打ち合わせがリモートで行えるようになったことが大きく、好きな観光地やアクティビティをできる環境で、通常の仕事を行えること自体幸せですし、仕事のパフォーマンスも上がることが証明されました。実践してみると体感できますが、大自然や非日常の環境で仕事をすると本当に仕事が捗ります。

ワーケーションから派生し、様々なベクトルでトライ&エラーを繰り返す

ワーケーションズが注力している領域

①ユーザー数を増やす

今でも最優先で行っているのは「ワーケーションする人を増やす」ことです。弊社では、今まで他業界でデジタルマーケティングの支援なども行ってきたためSEOや広告出稿等を駆使し、UU/PV数をあげることに注力しています。

②宿泊施設の送客数を増やす

もう一つ最優先で行っているものが、ワーケーションズに掲載している宿泊施設への送客です。正直こちらは今でも手こずっています。UIUXデザインの改善はもちろん、「企業型プラン掲載」など様々な施策を実施しています。

③ワーケーション文化を根付かせる

ワーケーションの文化を根付かせるアクションも必要だと思っています。ワーケーションが流行りで終わってしまったら、やっと理想の働き方を手に入れるチャンスが台無しになってしまいますし、弊社のワーケーションズも共倒れです。

文化を根付かせるために大きく二つのアクションを行っています。1つ目は、「企業単位でのワーケーションを増やす」です。ワーケーションがお金がかかるものなので、個人単位ですと定期的に実施できません。そのため、ワーケーションを根付かせるためには、企業単位でワーケーションを行う文化が必要だと考えました。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

ワーケーション文化を根付かせるために行っている取り組みの2つ目が「自治体・行政の支援」です。

2020年秋くらいから国としてワーケーション関連の助成金や補助金などが目立ち始めました。それに伴い、ワーケーションのモニターツアーなどを実施する自治体が増えてきました。

弊社としても、ワーケーションの文化が根づくチャンスだと思ったため、さまざまな自治体と取り組みをスタートしました。

その他特集はこちらから

その後、モニターツアー全盛期が過ぎると、各地域ごとのワーケーション専用のサイトなども増えてきました。ワーケーションという言葉が普及しはじめたのもこのタイミングだと思います。

弊社でも福岡市のワーケーションポータルサイト「W@F(ワフ)」の制作を行いました。

全国でワーケーションのサイトが特集が作られ始めると、地域ごとの差別化が必要になってきています。地域に行くと魅力がわかるのですが、WEBサイトや言葉にすると、差別化が難しいのが地域PRの課題だと思います。

そこで弊社が試験的に行ったのが、移住xワーケーションです。直近で放映されたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台でもあり、私の祖母がいる気仙沼です。

地域に行くことにより、少なくとも移住・定住を意識するため、ワーケーションは移住定住者増に寄与するという仮説は立ち上げ当初から持っており、それを実現できたのがこの施策です。おかえりモネの放映開始と合わせてスタートしたということもあり、定員も埋まり大反響となった施策となりました。


④連携サービスでさらに②を強化

前述しましたpeeepsとの連携も強化しました。また、全国の宿泊施設の方と話す中で、まだ電話やメールで予約を管理したり、予約システムに課題を感じている方が多い印象を受けました。そこに着眼し、ワーケーションズと連携はもちろん、公式サイトとして直販予約を最大化するためのツールJammyの開発をスタートしました。

⑤地域での人材不足を解決

これから新しく取り組もうと進めているのが、「地域の人材不足 x ワーケーション」です。ワーケーションが全員ができる働き方ではなく、ワーケーションをできる人は何かしら特化したスキルを持っていることがわかりました。

自分のスキルを活かして、地域で副業や地域貢献をすることで対価をもらい、それを旅費に充てることで実質無料でワーケーションができるという取り組みです。

先日、宮城県の塩竈市と協力し、副業型ワーケーションのモニターツアーを実施しました。参加者は都内在住の20-30代で大手企業勤務の方です。参加者の満足度も高く、副業型ワーケーションの可能性も実感しました。


ワーケーションズの新機能としても地域の仕事を掲載する機能を提供を開始します。ワーケーション中に地域での副業を行い、実質無料でワーケーションを行うという新しい働き方を確立していきたいです。

また、音楽業界で長年働いている友人と一緒にアーティスト x 地方創生をテーマで企画もしました。ワーケーション中に聞いて欲しい音楽をアーティストに制作してもらう取り組みになります。第一回は、ヒューマンビートボクサーのAFRAさんです。EPのジャケットのデザインなども行い楽しい企画となりました。

グランドデザイン

これからどうするか

ワーケーションズの運営を開始し、全国にはまだ知られていない素晴らしい宿泊施設や事業者さんがいるということを実感しました。これからは、観光はもちろん、「ワーケーション」「お試し移住」「副業」「地域交流」など様々なことが宿泊施設を軸に行われ、それが地域を持続させるための術になると思います。

滞在を楽しむ施設としてはもちろんですが、ワーケーションという新しい働き方が進むにつれ、長期滞在者が増え、地域を楽しむための拠点として宿泊施設が活用されるケースが増えてくると思います。

具体的な機能でいうと、ワークスペースやカフェ、交流やセミナーを実施できる設備を持った施設などが重宝されるような気がします。

弊社としても微力ながら、ワーケーションズ、peeeps、Jammyを活用し、コロナ流行で大打撃を受けた観光業界に少しでも貢献していけたら幸いです。

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最後に

弊社では、地方創生・トラベルテックに興味のあるエンジニア・デザイナー・セールスを募集しています。興味のある方はお気軽にお問い合わせください!





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