10分で分かる「SDGs×木材利用」
こんにちは
コシイプレザービングのnoteライターの池本です。
今回は「10分で分かるSDGs×木材利用」というテーマでお話出来ればと思います。
最後の章ではSDGsを企業が推進する理由と、その問題点を記載しています。
SDGsをこれから取り組まれる企業様、SDGsをしっかり理解したい方は是非最後までお付き合いお願いします。
<SDGs概略>
SDGs(持続可能な開発目標)・・・2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。具体的に17のゴール、169のターゲットで構成されています。
有名な事例としてパナソニック様のSDGs取組みを見てみましょう。
このプロジェクトは5つのゴールに向かって取り組んでいる事になります。
このプロジェクトは世界各国に無電化地域にソーラーランタンで光を届け生活を助けています。
こちらのURLからより詳しく内容が記載されていますので是非ご覧ください。
このように企業によるSDGsの取り組みは世界貢献をすると共に、企業価値のの向上、そして人々の生活を助けることに繋がっています。
では今回のテーマである「SDGs×木材利用」がどのように世の中に貢献しているのか?
我々が実際に行っているの取り組みを事例に見ていきましょう。
SDGs×木材利用
「日本の森林環境を守る企業として、木材の長期寿命化技術で、SDGsを推進すること」
これがSDGsを取り組むうえで我々が掲げている宣言になります。
では、具体的に見ていきましょう。
<取り組み内容>
加圧注入材を活用した環境型ビジネスの取り組み。
→高耐久木材の建築資材、土木資材への活用で地球にやさしい環境作りへ。
この「加圧注入材」がキーワードになってきます。
加圧注入材を利用することで環境貢献、結果としてSDGsに繋がる形になります。
加圧注入材とは・・・
木材を注薬缶と呼ばれる釜に入れ、高い圧力を掛けながら、薬剤を木材内部まで深く浸透させる方法です。これによりシロアリによる食害や、木材が腐ることに対して高い予防効果を発揮します。
この技術により高耐久木材が可能になります。
この加圧注入材は高耐久のため今まで普通の木材では出来なかったことを実現可能にしました。
本来であればコンクリートや鉄が使用される構造物、環境下にて加圧注入材が代替することが可能となりました。
これにより二酸化炭素放出量が削減可能となります。具体的には約7~8倍程度二酸化炭素放出量を抑えることが出来ます。
さらには木材を乾燥させる方法として「人工乾燥」、つまり機械を利用して人口的に乾燥させる技術が主流な中、「天然乾燥」自然に乾燥させることでCO₂排出量を削減出来ています。
日本の木材利用は殆どが外国産材となっています。そんな中で国産材を利用する拘りで外国からの運送燃料を削減出来、環境への負荷を低減させています。
公共構造物だけではなく新築木造住宅にも加圧注入材は利用しています。環境貢献だけではなく、構造の耐久性向上にも一役買う格好になっています。
これらの一連の取り組みにより削減されたCO₂量は年間で5468tにも及びます。
この様に木材利用による二酸化炭素削減効果は大きく、数字で明確化するとよりその効力の大きさが見て取れます。
より詳しい内容はこちらの下記弊社HPにて確認出来ます。
外務省のSDGs取り組み企業一覧に掲載されていますので、他の企業様の事例の確認のついでに是非。
SDGsを企業が取り組む理由4つ
「SDGs×木材利用」による内容をご紹介させて頂きました。我々だけではなく、その他にも多くの企業がSDGsの取り組みを行い、SNSやHPを介して発信しています。弊社もその一つでしょう。
では何故企業がSDGsにここまで取り組むのか?
大きく4つの理由が存在すると考えます。
1.対社外に対しての信頼・イメージアップ
SDGsは世界共通の目標であり、イメージアップに繋がる可能性があります。
目標を掲げた上で実行し、その結果を社外に発表することで、イメージアップに繋がる可能性は大きくあります。
SDGsを通して先進的な取り組みを行えば、それが企業が注目されるきっかけとなります。こういった取り組みは採用に有利に働く可能性さえ出てきます。
2.サプライチェーンから外されない
サプライチェーンとは、物が消費者まで供給(サプライ)されるまでの一連の流れ|調達→製造→物流→販売→消費|が連鎖した過程が鎖(チェーン)のように繋がるという意味でサプライチェーンと呼ばれています。
SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」、この項目がサプライチェーンと重要な関りを示しています。
単に「作り手(工場やメーカー)」、「使い手(消費者)」の2者間で持続可能性を考えて行動しよう!という意味ではありません。
実際には先ほどサプライチェーンの中にあるように調達、物流、販売等様々な働く人、つまりステークホルダー(利害関係者)が存在するのです。
つまりこの12のゴール「つくる責任つかう責任」は製造(メーカー)と消費者だけを指すのではなく、|調達→製造→物流→販売→消費|この一連のサプライチェーン全体を指しているのです。
ということは、SDGsに取り組んでいない、もしくは反した企業活動を行うことはサプライチェーンから外される可能性を示唆しています。
サプライチェーンから外れないためにも「持続化可能」な取り組みを行うことが重要になってくるわけです。
3.社会課題解決によるビジネスチャンス
SDGsで言及されている社会課題を地球規模の「需要」と捉え、その需要を満たすことの出来るサービスや製品を提供をすることでビジネスチャンスに繋がると言われています。
弊社で言えばSDGsというものが生まれる前から行っている事業ですが、SDGsを取り込むことで製品に更に付加価値が付いたと言えるでしょう。
SDGsの認識が広まれば、更に拡大するビジネスも少なくはないはずです。
4.ESG投資による資金調達が有利になる
ESG投資とは環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資の事です。
そして、現在、ESGを反映した投資が世界規模で推進されています。ただ、E(環境)・S(社会)・G(企業統治)の各課題が具体的あるいは明確されているわけではありません。SDGsが全世界的に優先度の高い課題であり、世界共通の目標であると考えると、投資家が各企業のESGを評価する上でSDGsの取り組みは一つの指標になりえます。
そのためSDGsへの取り組みはESG投資へ有利に働くとされています。
財務状況を元にした企業評価だけに頼らない、ESG投資の比重は更に高まってくるのは間違いないと思われます。
この様にSDGsへの取り組みは企業側にもメリットをもたらすことになります。
しかし、企業だけ得をするわけではありません。
消費者も喜び、そして持続可能な世界を実現することが出来る。
売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」を実現に繋がることになります。
「SDGsウォッシュ」
SDGsが流行り始めたことにより生まれた言葉です。具体的には、
・自社HPなどでSDGsに取り組んでいるとアピールするものの、取り組み実績を証明することができない。
・企業にとってマイナスとなる情報を伝えず、都合の良い情報のみを開示している。
行動と実績が伴っていないことを指します。
SDGsを利用し、自身だけ得をしようと考える企業が出てきているということです。
実際どれだけの数がいるかは不明ですが...
SDGsウォッシュと批判を受ける例としてサプライチェーンを管理しきれていない場合があります。
自社内ではSDGsの理念に合う取り組みが出来ていたとしても、ステークホルダーの数が多くなるほど、その全てを管理するのは難しくなっていきます。例えば委託先が環境配慮に無頓着だったり劣悪な労働条件を放置していたりすることがあるかもしれません。
その例に「ラナ・プラザの悲劇」というのがあります。
洋服や衣料品をより安く製造できるように、ゴール1「貧困をなくそう」を無視して、貧しい人たちを危険な環境下(ラナ・プラザビルには亀裂ありが発覚し、立ち退き勧告をされていた)で低賃金で働かせていました。
大量のミシンの振動と発電機の振動が連動が原因となり、ビルは崩壊。大量の死傷者を出した事件です。
これはファストファッションが台頭し、大量生産が行われ始めるようになったことが起因しています。(そもそも縫製業界自体が低賃金なのも相まっている)
最後に
本記事では「SDGs×木材利用」の取り組みとSDGsにおける問題点を上げさせていただきました。
SDGsは世界的貢献、企業価値の向上、消費者へ適切な供給により三方よしを実現します。
しかし、一歩間違えると「SDGsウォッシュ」になる可能性もあります。
SDGsの取り組みを行う上で、適切に理解することが一番最初の、最も重要な項目と考えます。
今回は以上になります。お疲れ様でした。