数という概念
もこと申します。ご無沙汰の方はご無沙汰しております。
私はたまたま7年ほど大学で数学について学び研究する機会があり、修士を出ました。
論文も受理されてなかなか満足しました。
読者から信用を得るパートはこんなもんで、今回は素朴に私が感じている「数字」というアイデア、概念に対する素朴な感想を紹介します。
数を見た事がない話
まずは私の数というアイデアへの感覚を共有するために、素朴なところからお話したいと思います。
皆さんは数を実際に肉眼で見た事があるでしょうか?
ちなみに私は無いです。
たとえば整数の「3」を表す記号、モニュメントとしての「3」はもちろん見た事がありますし、三本のペットボトルを認識したこともあります。
しかし、私は例えば3というものを直接掴んだことは無いですし、食べた事もないです。嗅いだことも無ければ3という音を聞いたこともないです。(3という発音は聞いた事はありますが、3そのものが音だと考えたことはありません)
当然、見たこともありません。
これは例えばミノタウロスを実際に見た事がない、というのと丁度同じ抽象度の話題です。
もちろんミノタウロスが絵としてはどんな生き物であるかとか、迷宮に閉じ込められた神話?逸話?が残っているなどの情報も知っています。
しかし、ミノタウロスに直接触れたことは無いですし、食べたことも無いです。嗅いだこともなければ聞いた訳でもないし、当然、直接見た事はありません。
この意味では、私は数などという「物」は実在しないと思っています。
では数学は虚構かと言えば、そうではありません。
数という「物」は「実在」しなくとも、「概念」は「存在」すると思っているからです。
この意味では数もミノタウロスも同じです。どちらも物は実在してるとは思ってないけど概念は存在してると思ってる訳ですから。
数という概念
では例えば「3」とは何か、どう行ったアイデアか、と問いたくなります。
もちろん厳密に現代数学による定義を答えることは出来ますが(公理的集合論に寄る)ここで問いたいのはそういう厳密な話ではありません。
もっと素朴に、私が数を何だと思ってるかという直観的な話をしようと思います。
例えば、以下は3の概念を説明するのに役立つものの例です。
○○○
▶▶▶
□□□
ふざけていません。大真面目です。
つまり、上記のいくつかの記号列やデュエルマスターズカード、冊子に共通する、と人間が信仰している概念に対して、共通の記号を割り当てるアイデアのことで、それがたまたま3と表され、日本語では「さん」と発音する、という話です。
より正確なことを言うと、以下のように関連付けが可能な事に対して3という記号を割り当てています。
○ ○ ○
│ │ │
▶ ▶ ▶
│ │ │
□ □ □
面倒くさいのでやらないですが、同様の対応付けを先程の画像のカードや冊子に対して行えるということです。
同様のことを1、2、3、4、5、、、と際限なく続ける事で、素朴に数の概念を信仰出来るということです。
これはミノタウロスについても同様です。私がミノタウロスについてイメージづける何かしらの共通認識に対し、ミノタウロス」という名前を与えているに過ぎない、という事です。
数と宗教
では私の中で数とミノタウロスは同じレベルの概念なのか?と問われればそうではありません。
私が数のことを面白いと思っているという点で大きく違います。こんなに引き合いに出しておいてなんですが、ミノタウロスを面白いと思ったことはあまりありません。
実在するかはさておき役に立つことも間違いないでしょう。つまり、「役立つならば実在する」という論は私の中で通用しません。役立つことと実在性には必要条件、十分条件の関係に無いという考え方です。
「役に立つ」ことは私にとってあまり魅力的な理由ではありませんけどね…。(現実における活用への関心が低い)
全く同じ理由で、数よりもミノタウロスの方が重要だと思う人も居るでしょう。ギリシャ神話に対する大きな興味があって、数学は昔から苦手な人もいますから。
さて、この意味では、数はとても神に似ています。私は無宗教ですが、神というアイデア、概念が役に立つものだとは思いますし、数学屋ですから構造も気になります。
ここは日本の多くの物理の人間と大きく違う、自分が人文系だなと感じる部分です。
つまり、日々の生活を良くする為に役立つという意味では、数と宗教は類似しているな、と思うわけです。
数は嘘をつかないが嘘つきは数を使うという意味でも似ていますね。高々概念でしかありませんから、善にも悪にもそれ以外にもなり得ます。
用法用量を守らなければならないのも同じです。
本当に唐突ですが、私の一番好きな数の体系は複素数です。当然実在してないですが、概念は存在してます。
以上です。お読み頂きありがとうございました。
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