エヴァンゲリオン新劇場版Q(2012年:監督:庵野秀明)【もう映画紹介だけは絶対にせんとってください。したら私が殺します】
エヴァンゲリオン新劇場版第3作。
新劇場版はぜんぶで4作。
序、破、Q、シン。
4作である。
しかし序と破は旧作のリメイク版に近いのに対して、
Qとシンは、完全新作、
完全オリジナルストーリーである。
しかしながらシンは、最終話であり、
大団円に持ち込まんとするために、
一部で悲鳴が聞こえるような展開になっている。
(こんなんエヴァじゃない!いやぁぁぁぁっ)
まあ、致し方なし。終わりだもんね。
しかしQはというと、
良い感じにエヴァンゲリオンのまんまなのだ。
要するにハッピーエンドなんかあってたまるかよという話だ。
グッドだぜ!
なのでこれを紹介したい。
がんばろう、メリバ。
****
もともとエヴァンゲリオンほど、
ハッピーエンドから遠い作品もない。
というか、あってはならないのである。
これはトラウマをテーマにした作品なので、
報われたらお終いである。
だから、まあお終いのシンでは、まあ許しちゃるのだが、
それ以外は、だいたい酷い展開になる。
ならなければならない。
阿鼻叫喚が聞こえたら成功だ。
さて、冒頭お話が始まると、
早速ながら監督の天才ぶりが発揮されて、
視聴者を置き去りにした実戦中継が始まる。
シンゴジラもこんな感じらしいけど。
30分くらい実戦中継が続いてしまうのは、
天才にしか許されない暴挙だ。
というか、誰も考えない。
で、それがようやく終わった頃合いになると、
主人公のシンジ君がようやく登場する。
視聴者と同じく仲良く展開についていけなくて、
「いったい何が起こってるんだ?」状態。
もちろん視聴者もシンジ君に500%シンクロしてしまう。
まったく状況が呑み込めない。
いきなり、昔の仲間に拉致監禁されているんだから。
そしてなんか「すべてお前が悪い」という話を延々と聞かされる。
これは酷い。
脳から汁が出そうなくらいにひどい。
こんなん置かれたら発狂する。
盛り上がってきたゾ!
こいつは本物のエヴァだ。
視聴者の中には、この異常空間の心地よさに、
早くもATフィールドが反転し始める人が現れだすだろう。
すげえ、ぐちゃぐちゃだ。やったぜ!
***
断片的な情報から分析すると、
なんでも仲間たちはヴィレとかいう組織を結成して、
かつてのネルフと敵対しているようなのだ。
(ネルフは、エヴァシリーズでお馴染みの地球防衛隊の奴らだ)
しかし黒綾波が助けに来てくれる。
(新劇場版では3体目とか言う話はまったく聞かされてないので)
つまりシンジ君としては、
綾波が生きていて助けに来てくれた、と思うのだ。
そうして助けられてネルフに戻る(シンジ視点)
そんで、ようやく狂気の世界から別の意味でまともな世界に戻る。
もっとも絵面的には狂気度はより高まる。
しかし、かもし出す場の異常さにシンジ君は気がつかない。
なぜなら、そこにはカオル君がいて、友だちになってくれるから。
それだけで何もかも忘れてしまう。
常に承認欲求に飢えているのがシンジ君という魔物の定義だからだ。
(こいつら、リスト風のピアノ連弾が弾けるってのが、モヤるが)
ようやく救われた気持ちになるシンジ君だが、
そんなわけがないヨネ。絵面みろ。
***
ということで、ひたすら期待させては絶望のどん底に叩き落すというメインテーマが、まったく新しい新世界でも懲りもせずに繰り広げられるのだ。
まあ、いつものやつ。
メリバっていうやつは、まったく奥が深い。
メリバには、真の多様性が存在するのだ。
トルストイも言ってるだろう。
幸福ってのはだいたい同じだと。
不幸こそが真の多様性なのだと。
(アンカレの法則)
***
考察っぽいことは、
他の書き手さんがいくらでもやってくれてるだろうなので、
ダブることは書かない方が良い。
あえて無謀なる考察らしき暴言を吐くなら、
なんかダンテの「神曲」みたいな超古典に近いだろうか。
まあメッセージとしては、
いつものエヴァテーマを、形式を替えて反芻しているだけで、
斬新さとかはまったくない。
ただ形式が更新されたというのが、マニア補完になっている。
また新型のエヴァが出てきたりとか。
メカもたくさん出てくるし。これは萌える。
安心した。
我々は「暴れん坊将軍」のようなテンプレ作品に癒しを求めている。
もはやエヴァもテンプレとなった。
しかも本家本元、形式も完全リニューアルの本作は、
安心して心身ともに癒される絶望空間となっている。
というか、これ以上の刺激をどうやって与えろというのか?
もはや刺激の限界に達しており、
人類にはこれ以上の驚愕は不可能。
もうどこをひっくり返そうと安心安定のホームアニメにしかなれない。
そうだ。もう限界なのだ。
しかしながら、おそらくは、いましばらくの間は、
どうにかこうにかして、
あれ以上の刺激を感じてみたいと考える変態が数多存在するのだ。
そんな人たちのために、今年も日本アニメは人類の極北を求めて、
暴走を続けていくのだろう。
それとも、
刺激以外の新しい新天地を発見できるとでも言うのだろうか?
答えはおそらく、note読者にもかかっている。だろう。
そういう作品を紹介してミタヨ。
↓ ネタバレ動画です。
シンエヴァ観る前のおさらい動画。ご注意!
いずれにせよ、新劇場版シリーズでこれがいちばんオススメなんだと勝手に考えてる。
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