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モカノハンナ / 自作小説や、曲の背景を想像した小説を書いています。 好きな作家さん…

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モカノハンナ / 自作小説や、曲の背景を想像した小説を書いています。 好きな作家さん:伊坂幸太郎さん

マガジン

  • 恋に溺れて

    楽しい恋も、悲しい恋も。曲からインスピレーションを受けて創作した文章です。

  • 恋愛迷子な私のこと

    東京在住。25歳。好きな人とはうまくいかない。それでも幸せを諦めない。最後の恋を求める私のエッセイ。

最近の記事

雪幻|冬と春 / backnumber

私の勘違いだった。 そんな言葉で終止符を打てるほど爽やかじゃない、 悔しさと憎しみに溢れたこの気持ち。 私とあなたの将来に勝手に酔いしれていたら、足元を掬われた ───── 小さい頃から一緒にいた私たち。 あなたは私のことが好きで、私もあなたのことが好き。 それは誰が見てもわかることで、今さら私たちの間に入ってこようとする人なんていないの。 そう高をくくり、言葉や態度で伝えることを怠った私への罰なの? 私が信じて疑わなかったあなたとの未来は、 ふと目をそらした先にいた

    • 今日は満月だから。-eill / ((FULLMOON))-

      深夜2時過ぎ。 人通りもほとんどない駅の前。 夜風で少し身体が冷えてきた私の視界には靄がかかってる。 馬鹿だな私。 『今夜は特別な夜にしよう』 そう電話口で囁いたあの人の言葉に舞い上がって、いそいそとメイクアップして出かけた午後20時。 待ち合わせの駅に到着して2分後。 『ごめん、仕事で遅くなる』 なんで今言うかな。もう駅着いたっての。 そう毒づきながらも、遅れてくる彼を責める権利もなく、待ち続けるしかない自分が虚しくなる。 ようやく現れた彼の車に乗り込めば、ご

      • 恋愛迷子な私のこと。【第5話】

        深夜23時47分。東京。 今日も私は、”恋愛迷子”───── 第5話 私は一人で歩けるのに。 ドアが開く。 恭しく一礼した新郎がバージンロードを照れながら歩いて聖壇前で立ち止まる。 再びドアが開く。 今度は、純白のドレスに身を包んだ新婦と父親が現れる。 父親と、その腕を軽くつかんだ新婦が、一歩一歩踏みしめるようにバージンロードを歩く。 聖壇前にたどり着くと、父親は新婦の手をとり、新郎の手に重ねるようにして渡す─── 『なんで男の人だけ、1人で入場するんだろうね。』

        • 恋愛迷子な私のこと。【第4話】

          深夜23時47分。東京。 今日も私は、”恋愛迷子”───── 第4話 あえて追わないという選択を。 恋愛迷子と称する私。 その所以は、25歳にもなって、自分が何を恋愛に求めているかがわからないから。 付き合ったとしてもすぐに別れて、でもまた別の人をすぐ好きになって別れて、の繰り返しで、未だに自分がどんな人と一緒にいたいのかが明確になっていない。 初めて付き合った人と結婚したなんて人もいる中で、着々と ”過去の恋人” を増やしていく私。 だけど、その中の誰とも復縁はし

        雪幻|冬と春 / backnumber

        マガジン

        • 恋に溺れて
          4本
        • 恋愛迷子な私のこと
          5本

        記事

          恋愛迷子な私のこと。【第3話】

          深夜23時47分。東京。 今日も私は、”恋愛迷子”──── 第3話 恋に刺激は必要か。 マッチングアプリで出会った君に、若干の違和感を感じつつも、ずるずると関係を続けていた私。 出会った当初から抱いていたモヤモヤは、しばらく付き合ってみても消えることはなかった。 それでも、趣味や食べ物の好みが合う君とは一緒にいて楽しかった。 このお店行きたいなと思ったときに、思い浮かぶのは君の顔だった。 『この先を見据えて付き合うなら、こういう人がいいんだろうな。』 付き合って

          恋愛迷子な私のこと。【第3話】

          恋愛迷子な私のこと。【第2話】

          深夜23時47分。東京。 今日も私は、”恋愛迷子”── 第2話 始めてしまう私なんて。 無駄にでかいラブホテルのテレビに映る自分が 何とも言えない表情をしているのが気になった。 楽しそうでもないし、つまらなそうでもない。 嬉しそうでもないし、悲しそうでもない。 私、なんでこうなったんだっけ。 ─────── マッチングアプリで出会った君。 君とは驚くほど趣味が合って、話もしやすくて、もちろん顔もいい(アプリの登録写真では) これまでにいくつかアプリを使ってみ

          恋愛迷子な私のこと。【第2話】

          支配している君に、支配される僕。-あいみょん / スーパーガール-

          「今日、会える?」 『うん。』 「そしたら20時にいつものとこで」 そう返信してスマホを置く。 なんか今日は全てにイライラする。 上司や取引先の態度も、 あの人からの”今日帰ってくるの?”の連絡も。 だから君を呼んだ。 呼べばすぐに来てくれる君だからちょうどいい。 部屋に入ればすぐに始まる行為。 今じゃムードなんて関係なくて 入るなりすぐに自分の欲を押し付けるだけ。 だから君が隣で、 『ネイル変えたんだ~』 『この店がおいしそう』 『ちょうど私たちの職場の中間くら

          支配している君に、支配される僕。-あいみょん / スーパーガール-

          恋愛迷子な私のこと。【第1話】

          深夜23時47分。東京。 今日も私は、"恋愛迷子"─── 第1話 夢にも出てこない君なんて。 夢に出てくるのは、相手があなたを想っている証拠。 そんなロマンチックな言い伝えがあったっけ。 『さすがたった31文字で愛を育んだ時代だ』と感嘆する。 確かに、夢に好きな人が出てきたのにうっかり目覚めてしまったときなんかは、二度寝して再びその世界に入り込もうと夢を呼び起こしたことあるなぁ。 なんとも思ってなかった隣のクラスの人が夢に出てきた時は、まさかあの人私のこと、、、

          恋愛迷子な私のこと。【第1話】

          初めてのわがままは寝苦しい夜のせい。-SHISHAMO / 熱帯夜 より-

          ― side ”あの子” ー うだるような暑さで眠れない夜。 ベランダに出ても一向に涼しさを感じない。 今日は君に会えなかったなあ。 私は毎日だって君に会いたいけど、君はどうなんだろ。 『会いたくなったらいつでも言ってね。バイクを飛ばしてすぐ会いに行くから』 そう言って笑ってた君の顔を思い出す。 君はすごく優しいんだよね。 でも、この夏が終わればそんな君もいなくなる気がして、 ずっと踏み込めないでいる。 フラれては泣きを繰り返す恋愛下手な私は、 いつの間にか長く続く

          初めてのわがままは寝苦しい夜のせい。-SHISHAMO / 熱帯夜 より-

          今宵は君に溶け込んで。

          まどろみのなかであなたが手を握ってくれた。 そんな気がして少し目が覚めた 午前3時2分。 『君はどうしたい?』 その言葉が孕む2ミリほどの甘さは、 冷静な思考を蹴散らすには十分すぎて。 無言が肯定の意味を示すのは、 恋人同士ではない男女にはとっておきの合言葉で。 気づけば家と反対方向に歩いている自分を 見て見ぬ振りして そっと、甘い香りのする方へ。 初めて足を踏み入れたその部屋は 2人きりなのに、 いつかの誰かの気配が至るところに漂う 甘美な部屋で。 "今日だけ

          今宵は君に溶け込んで。