見出し画像

私の人生哲学と、「人類の歴史とAIの未来」〜「第二の時代:農業と都市」編(1/2)

時代背景は変われど、
私たちはごくわずかしか変化していない
それどころか、私は真の変化は人類史の中で
たった3度しか起きなかったと考えている。
どれも技術がもたらした変化だ。
1つの技術ではなく、互いに関連する技術の集まりが、
根本的かつ恒久的に、そして生物学的にさえも、
私たちを変えた。たった3つの大きな変化。
それが全てだ。
そしてこの本は、4つ目の変化についての話だ。


人類の歴史とAIの未来』の表紙の裏の引用。

著者のバイロン・リースは、4つの変化を、

第一の時代:言語と火
第二の時代:農業と都市
第三の時代:文字と車輪
第四の時代:ロボット

と定義している。

氷河期が終わり、広範囲な農業を可能とした、「第二の時代:農業と都市」が始まったのは1万年程前らしい。その時の世界の人口は、今のロサンゼルスとかわらない、約400万であり、「第一の時代:言語と火」の9万年の間では、人口を4〜5倍にしか増やせなかった。にも関わらず、第二の時代幕開けからの、直近1万年の間に、400万から60億と急増し、1500倍も増えることとなる。それが、農業の力なのだろう。

1万年単位の、相乗平均を計算してみる。

「第一の時代:言語と火」では、
数値を9乗して、5になる計算で、約1.2倍、

「第二の時代:農業と都市」では、
数値を1乗して1500になる計算で、1500倍となり、
1万年単位では、第二の時代は第一の時代の、1000倍以上の人口増加率となる。

会社の図書コーナーで破棄されてしまっていたので、読めずじまいでいる、原書が1954年出版の、「統計で嘘をつく方法」という、魔物が巣食う書籍がある。
数字・統計を絡めた理論、哲学の本質・真理に誠実であろうとする良書は、必ずこの本を引用している印象がある。

お金を稼ぐ手段が音楽

と、

音楽をして金も稼ぐ

には、人生哲学の断絶、似て非なるものがある。それを本に適用すると私にとって、まさに後者が良書の底流に流れている爽快感であり、必要条件でもある。

ノーベル賞受賞者のダニエル・カーネマン著の「ファスト&スロー」でも、理系世界トップクラスに君臨し続ける、MITの教科書「世界標準MIT教科書 Python言語によるプログラミングイントロダクション第2版: データサイエンスとアプリケーション」でも、しっかりと引用されている。

私もいつか読もうと思っているが、「統計で嘘をつく方法」にも書かれてそうな内容でもあるが、数字の見せ方とは面白いものである。1万年単位ではなく、1年単位の相乗平均を出してみると、どうなるだろう?

「第一の時代:言語と火」では、
数値を90000乗して、5になる計算で、約1.00001788倍

「第二の時代:農業と都市」では、
数値を10000乗して1500になる計算で、約1.00073158倍となり、

1年単位では、第二の時代は第一の時代の、約1.00729倍(なんなら、殆ど同じ)の人口増加率となる。

約1000倍

約1.00729倍(約1倍)

同じ事象に対し見せ方次第で、心象・インパクトは、雲泥の差である。

時に、1000倍もすごい。
時に、殆ど変わりません。

「お金を稼ぐ手段が音楽」、ならぬ、「お金を稼ぐ手段が出版」、「お金を稼ぐ手段が数値」である。武士道・合気道のように、極めんとする道・あり方を求道しない、古き良き日本人の文化を蔑ろにする輩は、自己都合によってお金が稼げそうな着想を、つどつど使い分け・選択している。
アテネ時代のデマゴーゴス、行動がすべてを物語るのだが、お金儲けを第一に置いているくせに、やりがい・社会貢献など、お金ではない系の受け売り文句を雄弁に語る偽物に出くわすと笑えてくる。見抜かれてないと思っているポジティブさは、もはや羨ましくすらある。
私の人生哲学に則ると、お金は酸素である。一定以上ないと生きていけない。酸素が欠乏する水準まで財力が低下しようものならば、なりふり構わず、「お金を稼ぐ手段」を、採用せざるおえない。そうならずに済むよう、自分らしく生き抜ける手段を手に入れるべく、土日惜しまず猛勉強し、AI・データサイエンス業界にキャリアチェンジした。
データサイエンス領域では、ニーズと比較し供給が足りていない。いつでも何処でも選ばれる力さえ身につけてしまえば、組織に充分に貢献しているにも関わらず、なりふり構わず「お金を稼ぐ手段」を強要してくる組織なぞ、そそくさと辞職し別の組織に行けばいいのだ。

農業も技術と位置付けているバイロン ・リースさん。農業という技術は、定住する必要があるため、都市をもたらし、都市が分業をもたらした。「分業化」は、「交易」、「技術の進歩」と並び、経済用語でいう、「フリーランチ」であり、誰の労働も増やすことなく、全体の富を増すことができる、たった3つある手段の1つだ。

サピエンス全史」著のユバル・ノア・ハラリさんによると、フリーランチの一つ、「技術の進歩」が今日の資本主義を支えているらしい。言い換えるなら、「技術の進歩」が一定速度を下回ると、資本主義は崩壊するらしい。その点を指摘した、ハラリさん著の「Money」を引用する。(日本語訳がないので私が訳しています。拙いですがご容赦ください)

No history of modern science can leave capitalism out of the picture.

近代科学の歴史の範疇から、資本主義を除外できない。

Conversely, the history of capitalism is unintelligible without taking science into account.

逆に、資本主義の歴史は、科学を考慮に入れなければ理解不能である。

Capitalism’s belief in perpetual economic growth flies in the face of almost everything we know about the universe.

永続的な経済成長に対する資本主義の信念は、私たちが天地万有について知っている、ほとんどすべてと直面している。

A society of wolves would be extremely foolish to believe that the supply of sheep would keep on growing indefinitely.

オオカミの社会で羊の供給が無限大増え続けると信じることは、尋常なく馬鹿げたことだろう。

The human economy has nevertheless managed to keep on growing throughout the modern era, thanks only to the fact that scientists come up with another discovery or gadget every few years–such as the continent of America, the internal combustion engine, or genetically engineered sheep.

それにもかかわらず、
数年ごとに科学者が、アメリカ大陸やエンジン、または、遺伝子組み換え羊など、別の発見やガジェットを考案したというたった一つの事実のおかげで、人類の経済は、現代という時代を通貫して、成長し続けている。

Banks and governments print money, but ultimately, it is the scientists who foot the bill.

銀行と政府はお金を印刷するが、究極的には、法案を提出するのは科学者である。

Over the last few years, banks and governments have been frenziedly printing money.

過去数年間、銀行と政府は熱狂的にお金を印刷してきた。

Everybody is terrified that the current economic crisis may stop the growth of the economy.

現在の経済危機が経済の成長を止める可能性があることを、誰もが恐れている。

So they are creating trillions of dollars, euros and yen out of thin air, pumping cheap credit into the system, and hoping that the scientists, technicians and engineers will manage to come up with something really big, before the bubble bursts.

そのため、かれらは、科学者、技術者、エンジニアが、バブルが破裂する前に、本当に大きな何か、を、考案することを望みつつ、薄い空気から、数兆ドル、ユーロ、円を生み出し、システムに安価なクレジットを注ぎ込んでいる。

Everything depends on the people in the labs.

すべては研究所の人々に依存している。

New discoveries in fields such as biotechnology and nanotechnology could create entire new industries, whose profits could back the trillions of make-believe money that the banks and governments have created since 2008.

バイオテクノロジーやナノテクノロジーなどの分野に関する新しい発見は、まったく新たな産業を生み出す可能性があり、その利益は、2008年以降に銀行や政府が生み出した数兆ドルの偽造資金を裏付ける可能性がある。

If the labs do not fulfil these expectations before the bubble bursts, we are heading towards very rough times.

バブルが破裂する前に、研究所がこれらの期待を満たしていない場合、我々は、非常に厳しい時期に我々は向っていることとなる。


「第一の時代:言語と火」で、加熱処理による消化プロセスのアウトソーシングで得た膨大なカロリーを、脳の発達にオールインしたように、意識的ではないにしろ、資本主義の我々は、生まれたときから、「技術の進歩」にオールインのギャンブルを続けているわけだ。

オックスフォード大学教授で哲学者のニック・ボストロムさんは、著書『スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運』で、AIを人間が扱う姿を、「子供が爆弾で遊んでいるようなもの」と揶揄している。はたしてAIが人間に追いつつける日がくるのか、カーツワイルさんのシンギュラリティ・特異点にばかり焦点をあてているが、ひとたびAIが人間に追い付くと、瞬く間に人間を凌駕する可能性が高いらしい。その事実に目を向けていない、向き合っていない現状に警鐘を鳴らしている。

AIが人間を凌駕するとはどんな意味合いか?

例えるならばイルカと人間の知能差くらい、AIと人間の知能に開きがある状態らしい。

それと比べるとIQ100と150の人の差はミジンコ程の差もない。

イルカは人間の本質を、いかほど理解できるというのか?

想像してみてほしい。

イルカが人間を手なずける日は来るのだろうか?

イルカが人間を手なずけ利用しようと躍起になるように、そもそも頑張ったところで上手くいくのか疑わしいが、AIのコントロールを試みるなら、人間が賢いうちの、林先生ならぬ、「いまでしょ」と、警鐘を鳴らしている。

仮にニックボストロムさんの警鐘も杞憂であり、AIが人間を凌駕する時代、「シンギュラリティ」は来ないとする。

それは、遅かれ早かれ、ムーアの法則の終焉・技術の停滞に帰結するだろう。資本主義をまとった我々が、「技術の進歩」というオールインのギャンブルに敗北すると共に、世界恐慌を凌ぐ暗黒時代が到来するような予感がしている。

続く

私の人生哲学と、「人類の歴史とAIの未来」〜「第二の時代:農業と都市」編(2/2)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?