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【短編】四足歩行銀行


その銀行はお客様に寄り添うことを何よりのモットーとしていた。

客「なんでそんな早い時間に閉まっちゃうの。仕事終わってから来たいのに」
行員「申し訳ございません。すぐに営業時間を見直します」
客「◯◯町に支店ないんですか?」
行員「申し訳ございません。すぐに◯◯に支店を作ります。」
客「ネットバンキングは便利だけど、ITが苦手な高齢者にも寄り添うサービスがあると良いわね」

行員「申し訳ございません。定期的に御用聞きに伺います。」

客「もっと融資をスピーディーにしてほしい。」
行員「申し訳ございません。AIによる審査でスピーディー融資を可能にします。」

要望に答えていくうちに、その銀行は本来の姿から逸脱していった。200年ほど昔、昭和という時代にあった「お客様は神様です」を地で行く話題の面白バンクと、メディアにも取り上げられた。

役員会議にて。
A支店長「御用聞きですが、渉外担当者だけではカバーしきれていないのが実情です。さらなるサービスの充実化を図らないと、お客様に寄り添っているとは言えません」

B支店長「さらにお客様の声にお答えしていくには、行員の帰属意識を高め維持していく必要があります」

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