モイペイ  小説と読み物

4頭の猫と暮らす活字好きです 文章を書くことが割と得意なのかな?と感じnoteを始めてみました。花を扱うしごとをしています。 考えをまとめたものを文章にしたり、超短編、ショートショートを書いたり。 拙い文章ですが、読んでもらえたら嬉しいです。 Kindle出版もしています

モイペイ  小説と読み物

4頭の猫と暮らす活字好きです 文章を書くことが割と得意なのかな?と感じnoteを始めてみました。花を扱うしごとをしています。 考えをまとめたものを文章にしたり、超短編、ショートショートを書いたり。 拙い文章ですが、読んでもらえたら嬉しいです。 Kindle出版もしています

マガジン

  • 超短編、ショートショート

    書きたいままに貯めていった作品 超短編とショートショートっぽいものはコチラにまとめました。

  • 短編 七十二候~こよみのおはなし~

    二十四節気をさらに細かく分け、季節の変化と自然の息づかいを見事に表す「七十二候」。 こちらのマガジンではそんな「七十二候」にまつわる短編をまとめていこうと思います。

  • 日記・コラム・エッセイ・雑記

    日々の中で感じた事、思った事、書き留めておきたいな、と思った事を不定期に思い付くままに。

最近の記事

  • 固定された記事

Kindle電子書籍出版 3分で読めるショートショート集「閉じ込められた微笑み」

Kindle電子書籍7冊目! またまたショートショート集を出版しました✨ KindleUnlimited(読み放題プラン)で気軽に読んでもらえたら嬉しいです

    • 【短編】 読了家族

      我が家は「読了家族」。 本を読むことが私の家族全員の生きがいで、家族の一員で居続けるためには、毎日3冊の本や新聞、出版物を読み切らなければならないという、少し変わった「掟」のようなものがある。 まずは父。父は家族の中で一番速読が得意だ。 彼の特技は、新聞をサッと斜め読みするだけで、内容をすべて頭に叩き込むこと。 今朝も食卓でスポーツ紙を手に取り、パラリとめくって「ふむ、今日の試合は阪神が勝つな」と断言した。 実際に夕方のニュースを見ると、本当に阪神が勝っているから驚きだ

      • 【短編】 吾亦紅とサングラス

        八月の終わり、山田修二は祖父の墓参りのために小さな村を訪れていた。 山間の静かな村で、祖父の墓は村の外れにある山道を登った先の墓地にあった。 幼いころ、夏休みのたびに祖父の家に泊まりに来たものだが、祖父が亡くなってからは訪れる機会も少なくなっていた。 墓に手を合わせた後、修二はふと山道の脇に咲いている小さな赤黒い花に気づいた。 吾亦紅(われもこう)だった。控えめでひっそりと咲くその姿に、何故か懐かしい気持ちが胸に広がった。 そういえば、祖父もこの花が好きだった。 「吾亦

        • 【短編】 スマートお茶漬け

          一之瀬悠太は、最近すっかり自炊が億劫になっていた。 コンビニ弁当や冷凍食品ばかりの生活が続き、体にも良くないと思いつつ、料理をする気力が湧かない。 そんな彼がふと目にしたのが、最新型の「スマートお茶漬けマシン」の動画広告だった。 「これさえあれば、ボタン一つで究極のお茶漬けが味わえる!」 映像には、湯気が立ち上る完璧な一杯のお茶漬けが映し出されていた。 出汁の香りが漂ってきそうなそのシーンに、悠太の心はすぐに動かされた。 しかも、今なら特別価格で購入できるという。

        • 固定された記事

        Kindle電子書籍出版 3分で読めるショートショート集「閉じ込められた微笑み」

        マガジン

        • 超短編、ショートショート
          88本
        • 短編 七十二候~こよみのおはなし~
          7本
        • 日記・コラム・エッセイ・雑記
          14本

        記事

          【短編】 海を渡ったレインブーツ

          大雨が降り続く梅雨のある日。 真衣は長年使っていたレインブーツのソール部分が破損していることに気づいた。 まだ梅雨は続くのに、レインブーツがなければ困る。 急ぎ新しいレインブーツを買おうと、真衣は近所の大型ショッピングモールへ向かった。 ショッピングモールは雨天にもかかわらず、たくさんの人で賑わっていた。 真衣は靴売り場にたどり着くと、棚に並ぶ靴たちを見て回る。 だが、特に目を引くデザインはなく、無難な黒か紺色のブーツばかりが目につく。 「まあ、黒が無難よね」と、自分に

          【短編】 海を渡ったレインブーツ

          【短編】 シンフォニーおじいさん

          町の片隅にある、メタセコイヤがそびえ立つ大きな公園に、ひとりの老紳士がやってきた。 歳のころは80歳を過ぎているだろうか。 薄い白髪に丸いメガネ、そして古びた背広を着て、背中を少し丸めたその姿は、一見するとどこにでもいそうな普通のおじいさんだ。 しかし、このおじいさんにはある特別な特徴があった。それは、彼が毎日、公園で“シンフォニー”を演奏するということだ。 もっとも、この演奏は楽器を使うものではない。 おじいさんはいつもメタセコイヤの真下にあるベンチに腰かけて、両手を

          【短編】 シンフォニーおじいさん

          【短編】 魚と雨傘

          不思議な傘屋は、その日突然現れた。 傘屋は無口な老人で、手には色とりどりの傘を持っていた。 ここは市街地のはずれの魚市場。 ど真ん中にぽつんと立ち、魚の匂いが立ち込める中で、その傘たちは異様なほど鮮やかに輝いて見えた。 なんで市場で傘なんか売ってるんだ? 誰もが怪訝そうに老人を見つめたが、誰も彼に声をかけようとはしなかった。 市場で働く青年、タケシはいつものように魚を並べながら、ぽつぽつと降り始めた雨に舌打ちをした。雨が降ると客足は鈍る。 ふと周囲を見渡すと、傘屋の老人

          【短編】 素敵枕でおやすみなさい

          大森佳奈は、最近どうも眠れない日々が続いていた。 どれだけ寝ようとしても、目が冴えてしまうのだ。仕事のストレスも原因かもしれないと感じていた。 彼女は深夜に目覚めるたび、何とも言えない孤独感に襲われた。 ある日、佳奈は学生時代からの友人、古谷から「素敵枕」という噂の枕を勧められた。 「これ、最近すごく流行ってるんだよ。特注で自分の体にフィットして、どんな悩みでも忘れてぐっすり眠れるらしいよ。」 佳奈は半信半疑だったが、藁にもすがる思いで購入することにした。 届いた枕

          【短編】 素敵枕でおやすみなさい

          【短編】 攻撃的ドアノブ

          ベッドタウンの片隅のある一軒家に、世界初の「防犯ドアノブ」が取り付けられた。 このドアノブは、AIと連動し、住人の安全を守るために外部からの侵入を防ぐというものだった。 これまでも似たようなものはあったが、ドアノブ自体が警備員のような役割を果たし、不審者を自動で感知し、撃退する能力が備わっているという点では画期的だ。 防犯対策が進化したこのドアノブは、瞬く間に話題となり、注文が殺到した。 ドアノブが取り付けられた家の住人は、30代の既婚男性、山本だった。 彼は技術オタクで

          【短編】 攻撃的ドアノブ

          【短編 七十二候】霜止出苗(しもやみてなえいづる)

          真由は、都会の広告代理店で働く20代女子。 彼女はクリエイティブな仕事に憧れ、地元を離れ、東京へとやってきた。 目指すものは、デザインやコピーライティングを通じて人々の心を動かすこと。 しかし、現実は甘くはなかった。 厳しい競争と締め切りに追われる日々、クリエイティブの名の下に生み出されるものは、しばしば真由が想像していたものとは程遠い、ただの商業的な産物であった。 「これでいいのかな」 真由はいつも自問していた。 自分が本当にやりたいことは何なのか、都会の喧騒の中で失

          【短編 七十二候】霜止出苗(しもやみてなえいづる)

          【短編】 川底から、意見します

          静かな田舎町に、小さな川が流れていた。 その川は町の人々にとって、生活の一部であり、子供たちは夏になるとそこで泳ぎ、大人たちは橋の上からぼんやりと流れを眺めていた。 しかし、その川には少し変わった伝説があった。 町の年寄りたちによると、川底には「意見を言う石」が存在し、その石にお願いをすれば、石が「意見」を聞かせてくれるというのだ。 ただし、その意見を取り入れなければ、必ず不幸が訪れるという。 大抵の人はその話を迷信だと笑っていたが、町のはずれに住む男、木下は違った。

          【短編】 川底から、意見します

          【短編】 ビストロ  「Le Paresseux」

          パリの閑静な裏通りに佇む小さなビストロ、「Le Paresseux」。 「怠け者」という意味のその店は、パリ市民の間では隠れた名店として知られていた。 誰もが知るわけではないが、知っている者にとっては一度訪れたら忘れられない特別な店なのだが・・・ 店内はアンティークの家具で揃えられており、照明は控えめで落ち着いた雰囲気を醸し出している。 メニューは日替わりで、シェフのおまかせコースのみ。料理は見た目こそシンプルだが、一口食べればその奥深さに驚かされる。 特にデザートは、その

          【短編】 ビストロ  「Le Paresseux」

          【短編】 流れる雲とぬいぐるみ

          夏の終わりのある日。 白い雲がゆっくりと流れていく。タケルは大切にしているぬいぐるみのクマを手に、窓際で外の景色を眺めていた。 クマのぬいぐるみは、小さな頃からの相棒で、今では色が少し褪せ、ところどころ糸がほつれているが、タケルにとってはかけがえのない友だ。 クマの名前は「クッキー」と言った。 その日も、タケルはいつものようにクッキーに話しかけていた。「ねえ、クッキー。雲がこんなにゆっくり流れていると、なんだか時間が止まっているみたいだね」。 クッキーは、もちろん返事をす

          【短編】 流れる雲とぬいぐるみ

          【短編】 オポロテジュマキュラーべ

          夜の静寂に包まれた森の中、ひとつの奇妙な植物がその存在を主張していた。 この花が咲いた姿を見た者は、その神秘的な美しさに心を奪われ、二度と現実世界に戻ってこられなくなる言われている。 「オポロテジュマキュラーベ」 この地域ではそう呼ばれていた。 その花が咲くと言われる新月の夜、ある学者が森に足を踏み入れた。 彼の名は佐藤秀一、自然界の謎を解き明かすことに生涯を捧げた植物学者である。 オポロテジュマキュラーベの存在を知り、その調査を志したのは彼がまだ若い頃のことであった。

          【短編】 オポロテジュマキュラーべ

          【短編】 副作用

          夜のカフェで、リサはアキラと向かい合って座っていた。 柔らかい間接照明の光が二人の顔を照らしている。テーブルの上には、コーヒーカップが二つ、そして小さなケーキの皿が並んでいる。 リサは何かを決心したように、そして用心深く辺りを見回してからゆっくりと口を開いた。 「アキラ、実は話したいことがあるの。私たちの関係について。」 アキラは驚いたように目を見開き、少し不安げな表情を浮かべた。「リサ、どうしたの?何があったの?」 リサはカップを手に取り、少しだけコーヒーを口に含んでから

          【短編】 建設的な破壊

          広大な草原の中央に位置する小さな村、カーナは、数世代にわたって静かに時間を刻んできた。 村人たちは、祖先から受け継がれた伝統的な農耕を守りながら、平穏に暮らしていた。 しかしある日、その静寂が突然破られる出来事が起こる。 村の長老が病に倒れ、村人たちに向けた最後の言葉を遺した。「村を変えよ。このままでは我々は時代に取り残され、消え去ってしまうだろう」と。 この言葉はカーナ村の若者たちの心に火を灯した。 特に、エルネストという青年は、この言葉に深く共鳴した。彼は村の未来を担

          【短編】 建設的な破壊