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【短編】決戦兵器ポミポミ

西暦2075年。
3度目の世界大戦から25年が過ぎようとしている。

大戦により53億人にまで減少した人類は、「東西」「宗教」「貧富」などが争いの源であり、これらの概念を一度壊す事こそが全世界の恒久的な平和へのアプローチだと考えた。

首脳会談にて
A大統領「我々人類は何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのか。あまりに進歩が無いではないか。淘汰ではなく共存・共生で行こう」

B首相「全くです。皆、自国の利益ばかり考えているからこうなる。思いやりを持つことが結果的に自分にプラスな恩恵として返ってくる、ということをもっと理念や憲章として謳うべきだ」

C国家首席「まずは経済的な格差を無くそう。しかし宗教は心の拠り所だから、無くすことは出来ないだろう」

D最高指導者「まあまあ。これでは過去と同じ堂々巡りだ。こんな議論を我々人類は何千年も懲りずに繰り返してきた。根本的発想を変えなければダメだ。昔、(SDGs)=持続可能な開発目標、なんてのがあったが、あれも結局ビジネスの道具と化して空中分解したしな。あるべき姿を設定したのは良かったが、項目が多すぎた」

議論の末、今一度世界の「あるべき姿」を決めようという事になった。

1年後、全世界が注目するサミットにて、「あるべき姿」=「最終形世界2100」が示された。
「最終形世界2100」は、2100年までに世界の全ての紛争、環境問題、貧困問題をゼロにし、東西や国力を超えた経済好循環を約束します、というものだった。

誰もが「昔あったやつと同じじゃん」「どうせまた中途半端で終るんだろ」と思った。

時は流れ、2083年。懸念事項の筆頭である第三次世界大戦のきっかけとなった某宗教国家とテロ組織の長きに渡った紛争が、あっさり解決した。

つづいて、世界で排出される温室効果ガスが2025年比で88%削減達成したとのニュースが。

さらに世界規模の経済好循環が起こり、途上国や新興国も先進諸国並みに潤うようになった。

世界は思った。
「人類の歴史のなかでこんな事がかつてあっただろうか。素晴らしいが、なぜもっと早く実現出来なかったのか」

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