見出し画像

つなぐもの (3)

  シリーズ つなぐもの(1)
       つなぐもの(2)
       つなぐもの(3)これ。
       つなぐもの(4)
       つなぐもの(5)
       つなぐもの(6)
       つなぐもの(7)

ずっと前、お母さんが言ってた。「お父さんってね、腹立つくらいもてたのよ。バカじゃないの、って思うくらい。」

そういうお母さんのその頃の写真をみたら、むっちゃくちゃ綺麗だった。自分の親たちのロマンス・ストーリーなんて想像出来ないしあんまり想像したくないけど、当時××県の大きな会社で別部署の係長だったお母さんを、同じ会社の営業してたお父さんが射止めた、みたいな話は 泊まりにきたお父さんの友達っていうオジサンに一度聞いたことがある。

社内恋愛って寿退職にしないとダメな時代だったのよ、ってお母さん言ってたなあ。

お母さん、あんなにかっこよかったのに。そんなにお父さんと結婚したかったのかな。仕事、よく辞められたな。女性で係長って、よく分かんないけどその当時だとすごかったんじゃないの?

お父さんは「自分を見てて欲しい」とか、そういうことお母さんに言ったのかな。自分を見てて欲しいからお母さんと結婚して自分のものにしたのかな。ああ、そういえば・・・家族のだれかが「お父さん」って話しかけてくっついていかないと不満げだな、お父さん。
お父さんも甘えたがりなのかな。


家族・・・って言葉を思った時、ちょっと胸の一部がちくり、とした。
お姉さんにはどんな家族がいるんだろう。
お姉さんにはウチのお父さんがお父さんなんだろうか。
「お姉ちゃんがいる」とは言われたけど、他の子のことは言われてない。・・・って事は一人っ子で育てられてるんだろうか。

私はお父さんの顔のパーツを持ってるけど、お姉さんはどうなんだろう。

私が彼のことで上手く行かないのって、お姉さんがいるのにお母さんがお父さんと結婚しちゃったバチがあたってるのかな。あ、それは八つ当たりか。

お姉さん、って私達は思ってるけど、そもそもお姉さんは私達を知ってるのかな。
お姉さんにとって私は、拓海は、家族なんだろうか。
家族ってどんなつながりなんだろう。

お姉さんって・・・私達を嫌いかな。

うちのお母さんのこと、嫌いかな。


・・・私って、本当にお姉さんのことを考え出すと、他の事どうでもよくなってその周りをぐるぐる考えてる。実は一番私が考えてる対象かも知れない。
そりゃ、振られもするよね。



受験勉強の合間にも「お姉さん」のことはいつもアタマにあった。
両親のことは両親の間の問題なので、そこで何か妥協案っていうか落ち着きどころがあったならまぁ、いい。ただ、両親が「お姉さん」とどういう付き合いをしたいのか、してきたのか、その微妙なつながりには娘ながら心が痛かった。

これって,今話題の結婚率減少問題とかの一側面なのかな。
社会の認識とかの問題なのかな。
ま、だからといって(二股かけられたことのある私としては)一夫多妻とか、いいなんて思えないけど。
いやいや、そういうことはいいんだ。お姉さんのこと、お父さんに2つの家族があること・・・問題が大きすぎる、私のかんがえることじゃないや。

本当の私の問題は、お姉さんが泣いてるのか気にも留めてないのか、私達一家を、母を、嫌いかどうか、そういうことだ。


サポート戴けるのはすっごくうれしいです。自分の「書くこと」を磨く励みにします。また、私からも他の素敵な作品へのサポートとして還元させてまいります。