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アイルランド(2)〜トリニティカレッジとケルズの書

(このイギリス・アイルランド旅行記は以下に全部リンクがあります。よかったら。)

山下直子さんのこちら↓(現在最新版が別に出てます)で、「ダブリン観光はトリニティカレッジから」とあったのでもちろんそうしました。


日曜だから歩いているのはほぼ観光客だけ。でもかなりの人です。
キミも観光で散策中?www
こういう大学で学生生活って憧れるなぁ。
古い大学らしさがみえる蔦の這った壁と、真新しいビルが一緒に並ぶのはいずこも・・・
さて、鳥はどこにいるでしょう?笑
動いてないと、結構見えづらいですねぇ。
建築の面白さが中庭の彫刻と合ってる。
壁にある「丸い飾り」は何だろう?時計の文字みたいな場所にある円がそれぞれが違う色をしてたんですよね・・・今ごろ「そういえば確認しようと思ってたのに忘れた」って思い出しました。
ケルズの書を見に行く人達はここで時間指定のチケットを見せて入ります。
これが有名なカイ(χ:ギリシャ文字)ロー(ρ)のページ(の拡大)

8世紀に制作された手写本の福音書で その緻密なデザインとケルト文字、色彩で世界一美しい本といわれるケルズの書は、「ダーロウの書」「リンディスファーンの福音書」とともに3大ケルト装飾写本として知られています。アイルランド国宝です。

ダーロウの書。壁紙やカーペットに使われそうな美しいパターンが沢山。(そしてこの部屋の壁紙がこのパターンを使用しているの、背景に見えますか?)
ケルトの装飾を加えられたアルファベット一覧
よくこれだけのパターンを考えたものだなぁ。
Fagelライブラリ、とは、オランダ総督のヘンドリック・ファーゲル(裁判書記官でもあった)から買い取った書物のこと。フランス革命のためにロンドンに足止めされ、経済的理由から蔵書を売ることにしたといわれています。これら「Fagelライブラリ」のものは200年の間少数の有識者が閲覧するくらいだったそうですが現在は研究および一般利用者のためにコレクションへのアクセスを改善するため、トリニティ・カレッジ・ダブリン図書館とオランダ国立図書館(KB National Library of the Netherlands)との協力体制が構築されました。

ファーゲル家は五世代にわたってオランダとその総督府に尽力した家系で近世ヨーロッパで最も重要な私立図書館のひとつを築き上げたと言われます。歴史、政治、法律に関する蔵書は特に充実していたのですが、その他にも、文学、哲学、神学、地理、旅行、博物学、視覚芸術など、人間の営みのあらゆる分野が網羅されていた点で高く評価されている蔵書群です。

このファーゲルライブラリについては↑上の写真のなかのQRコードから説明の動画に飛べます。比較的平易な英語なのでよかったらどうぞ。

待ちに待った「ロング・ルーム」、図書室です。(この蔵書のうち4割が上記のファーゲルライブラリと言われています)
みんななんとなく黙ってしまうほどの空気感。
うつくし〜〜い!
沢山の文人や有名な教授たちなどの胸像が一緒に飾られています。
最初の写真で気付いた方もいらっしゃるかと・・・そうなんです、「からっぽ」の部分が!!!
現在蔵書の保存(埃なども取り除く)とデータベースへの移行、そしてロングルームに必要な消火施設などを取り付けるために本は順次移動させられています。すごい仕事量ですよね・・・
イギリスからアイルランドが独立したときの新聞
実はロングルームの胸像はほとんどが「男性」、そりゃそうです、女性は「学ぶ事なんてできない」といわれていた時代が長かった訳ですから。それでトリニティカレッジでは4つの女性の胸像を加えました。
アイルランド国章にもなっている竪琴。この竪琴をモデルにしたそうです。
詳しくはWikiをどうぞ。
いつか、本が戻されたこのロングルームを見ることができたらいいな。
蔵書のなかには歴史的価値の高いものも沢山あります。そして横に置かれたしおりみたいなモノ、なんだかわかりますか?
本の小口と呼ばれる部分にも、絵があしらわれているんです。その絵を写真で見せてくれています。(小口部分は↓を参照)
新潮社のサイトよりお借りしました
こちらは英国国教会のもの、王族が手にしていたものです。
こちらの本は小口の絵が開き方で違う2種類が浮かび上がるというもの。
この本は小口だけではなく、天と地の面にも絵があしらわれています。
これも小口の絵が2種類のもの。本はそれ自体が美しい芸術作品なんですね。
ケルズの書はきちんと光の管理などをされています。常に2冊が厳重な管理のもとに公開されています。

ちなみに、ですがケルズの書のことを描いたこちらの映画(アニメーション)も素敵です。(アメリカだとプライムビデオで見られるけど、日本はどうなんだろう?)この時代バイキングに殺され奪われることが多かったアイルランドも、ケルト文化の背景も、アイルランドのあちこちに残された古い要塞の意味も浮かんできます。

こんなケルズの書の解説の本もでています。

こちらは英語版のバーナード・ミーハン著の「ケルズの書」解説本。

トリニティカレッジのギフトショップにはいろんな言語に訳されたミーハンの「ケルズの書」の他、ケルト装飾文字の描き方の本や塗り絵なんかも並んでいます。もちろん普通のお土産も・・・
ケルズの書や図書館はもちろん、ギフトショップもチャンスがあったらぜひ、ご自分の目で見ていただきたいなぁ。

追記:先日山下直子さんのブログ記事でこんなものを見つけてびっくりしたところです。
この図書館ロングホールは2026年までしばらく休館でみられなくなるそうです。(でも確かに本と図書室のメンテナンスをするって言ってたもんな)
ケルズの書の公開はつづくとのこと


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