「信仰」村田沙耶香(著)/芥川賞作家のファンタジー短編集
「コンビニ人間」の作者が、他にどんな小説を書いているのかが気になり、読んでみた。(Kindle Unlimited)
内容
インタビュー
感想
『コンビニ人間』では文筆力に感心したが、今回の短編集を読む限りその表現力に目を引くところはなかった。
会話文の多い、よくあるファンタジー。
特徴的な設定は登場人物が(現代日本の)一般的な概念から外れた考え方を持っており、それを必死に守ろうとするところ。
その設定は『コンビニ人間』に繋がる。
物語によっては舞台がSFっぽいが、SF小説のように科学技術に沿ったモノではなく、夢物語のようなファンタジー。
同じ芥川賞作家でも、九段理江氏とは物語の作り方が大きく異なっていると感じた。
おそらく私にこの方の作風が合わないのだと思う。
「均一性とそこから外れた不均一な存在」そのようなことに思いを巡らせる方には、腑に落ちる小説だと思う。
以下、物語それぞれの雑感。
「信仰」
この物語が本全体の半分の長さを占める。
『コンビニ人間』では主人公が「コンビニ」の世界を絶対だと思い、『信仰』では「カルト商法」に騙されることにより自分の価値観を変えれれると考える。
どちらも30代女性が主人公。作者は30代女性に何か思いがあるのかも知れない。
「生存」
学生の偏差値社会を生涯の生存率に置き換えた物語。
ネタバレだが、最後に主人公が野生(野人)に戻るシーンは映画化できそう。
「土脉潤起(どみゃくうるおいおこる)」
前話「生存」の後日談。妹目線で見た主人公の姉。
「彼らの惑星へ帰って行くこと」
ショートショートなファンタジー。
「カルチャーショック」
均一化をテーマにしたファンタジー。
「気持ちよさという罪」
この物語、現代日本の批判として捉えれば、理解できる。
「書かなかった小説」
自分のクローンを家電量販店で4体買い、一緒に生活する物語。
話としてはまとまっておらず「シーンXX」として話が続く。
「最後の展覧会」
宇宙船の中で。
でもファンタジー。
改めて思うのは「純文学の世界は何でもあり」だと感じた短編集だった。
「信仰」村田沙耶香(著)を読んでいて何となく居心地の悪さを感じ(口直しならぬ読み直しに) Kindleのライブライをスクロールしていくと、ずいぶん前に購入した本が見つかった。
全くカテゴリーは異なるが、対極にある本。
注文履歴を確認すると 2016年4月21日。
一度読んだような気もするが、ほとんど覚えていないので新鮮な気持ちで読み進めている。
(紙の本で)発売当時ベストセラーだったように思う。
読み終えたら記事にしよう。
追記
Kindle Unlimited の読書感想がnote 公式マガジン2つに追加された。
MOH