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漫画雑誌内における同ジャンル大量発生問題

ジャンプで「キルアオ」という漫画の連載が少し前から始まっている。「黒子のバスケ」で人気を博した藤巻忠俊による作品で、伝説級の殺し屋が、特殊な蜂に刺されたことにより中学生の体となり、青春をやり直しつつ元の体に戻る方法を探る…という設定だ。読んでみた感じ、大ヒット作を生み出しているだけあり粗さはなくこなれている。「勉強なんか意味ねー」と主人公に絡んでくる男があまりに「ネットの意見を鵜呑みにする人」イメージまんまだったのが気になったが、まあ主人公の能力を示すために必要だったのだろう。

それよりなにより気になったのが「殺し屋多すぎる」ということである。ジャンプですでに連載している「夜桜さんちの大作戦」「SAKAMOTO DAYS」に続いて殺し屋マンガ3本目。ついでにいうと「呪術廻戦」は能力者バトルマンガではあるがある意味殺し屋ぽい雰囲気があり、世は大航海時代じゃなくて大暗殺者時代だったのか、と思ってしまう。そういえばさすがに海賊マンガは他に出てこないな。まあ実際にドバドバ人を殺してると色々マズイからか、そこまで頻繁に人は死なないようだが…。死ぬ死なないでいえばチェンソーマンに比べれば全然マシではある。死なないからいいってもんでもないが。

ふとマガジンに目を向けて見れば、こちらは「ラブコメ多すぎ」状態。ほぼ読んでないので内容の差は詳しくわからないが、とにかく肌の露出描写が多い。
「彼女、お借りします」「甘神さんちの縁結び」「カノジョも彼女」「黒岩メダカに私の可愛いが通じない」「それでも歩は寄せてくる」「日向さん、星野です。」「女神のカフェテラス」「よわよわ先生」「カッコウの許嫁」「カナン様はあくまでチョロい」「きらぼしお嬢様の求婚」と、なんと10本もあるのだ。何が起こったマガジン編集部。もちろんラブコメといっても恋愛を主軸にしたものもあれば、コメディ強め方向、ハーレム方向などいろいろあるのだが、パラパラ眺めているだけだと「なんか巨乳がやたらとハプニング起こすな」というくらいの印象しかなかったりする。
よく考えたらこんな中で長くやってる「はじめの一歩」すげえな。花畑に踏み込んできた外人傭兵部隊くらいの違和感がある。

そういえばヤングジャンプでは「BUNGO」「4軍くん(仮)」と既に野球漫画2本あるのに対して「ダイヤモンドの功罪」が始まり、おいおい野球漫画多すぎだろと思ったが、ダイヤモンドの功罪がめちゃくちゃ面白かったので飽きるどころかむしろ積極的に読んでいる。

そう考えると「いくらジャンルがかぶろうとも、面白いものは面白い」という基本線があるのだが、やはり始まった段階では「また●●かよ」という劣勢に立たされるのは間違いない。なぜそれでも同じジャンルの漫画を始めてしまうのか…?
理由を3つほど考えてみた。

1.流行のジャンルだから
2.そもそもそのジャンルが元から書きたかったから
3.そのジャンルしか書けないまたは求められてないから


1は編集主導のやり方と言えよう。「バトルマンガが流行ってる!バトルマンガ書ける人に書かせよう!」みたいな感じ。それで大ヒットが出ているのかどうか知らないが、基本的に失敗しても別に編集が責任を取るわけではないので、書きたくないジャンルだとしたらリスクが高い。
2は結構ありそうというか、それが描きたかったんであればという感じだ。ジャンルがかぶっててもそれで連載を勝ち取る強さがあるので、意外とヒットしてるのかもしれない。上記のかぶり作品群の中でどれがこれに当たるのか、そしてそれがヒットしてるのかが気になる。
3はちょっと2に近いが、まあその人の代名詞になってるんであれば仕方ないという感じだ。故・水島新司が野球漫画を始めたとして「また野球かよ!」とは言われないであろう。例えどれだけ既に連載されていようと関係ない。


さてこのジャンルかぶり具合が今後どうなるのか…というかどちらにしてもマガジンのラブコメは異常事態だと思うが。誰が主導してんだろ

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