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ありがとうサンタクロース、さようならサンタクロース。


子どもたちも大きくなってきて、もうサンタクロースの正体についても周りの友達から聞いたり世間の情報とかで知っているであろう、という年になった。

幼いころから毎年サンタクロース宛に手紙を書いていたが、近年はギリギリになることも多く、本当に手に入るのかヒヤヒヤしたものだ。子供たちは「サンタは在庫切れがない」という認識らしく焦らないのだ。「サンタも忙しい」とか「他にも待ってる子どもが」とかいろいろ妻が誘導したりして聞き出したりしたものだった。子供たちよ、サンタは常に在庫切れと戦ってきたのだぞ。「ヤバい、店になかった」「楽天で発見」とか妻とメールやり取りしてきた歴史が思い起こされる。

昨日、妻から息子がサンタ宛に手紙を書いたことを知った。某メーカーのスポーツキャップだったが、ネットで見ると全て売り切れ。あとは店にあるかどうかを探るしかない。だが数日ほど前に妻と以下のような会話をしていたのだ。

「プレゼントとかもう間に合わないだろうし、どうしよう。そもそももうサンタを信じてないんでは」
「う~ん、でも心のどこかで、という感じは受ける」
「しかしなんか最近は感動も薄いよね、誕生日に双方の実家からもらえたりしてそっちのほうが豪華だったりするし」
「正直に話して謝る?」
「謝るってのもなんだかなあ。いっそ昔のクリスマスに撮った動画編集して、最後にネタバラシってのはどうか。さよならサンタスペシャル(SSS)」
「いいと思います」

…という流れにより、子供が幼いころ撮った動画データを探した。ところがいざ探してみるとほとんどない。少なくとも1回は撮っているはずだと思ったが、ほんとにその1回しかないのではという疑念が生まれる。結局見つかったのは2回分だけだった。片方は10年近く前、もう片方は5年前。

10年近く前のほうの動画を確認のために見てみる。明け方にちょっとグズった息子を妻が抱っこするところで目が覚めた自分が、思いついてビデオを構えている。プレゼントの存在を促すと、枕元にある箱に気づき手を伸ばす。
「おとうさん、サンタさんてがみかいてるよ」
そう、それは昨日お父さんがパソコンでサンタの画像をダウンロードして作った手紙だ。「最近ダウンロードした画像」みたいなところにサンタ画像が出てきて焦ったので手紙プリントアウト後ですぐ削除したのだ。
続いて目を覚ました娘も息子のプレゼントの内容に気づく。
「あっ、すごい!(弟)のほしがってたやつよ、これ」
それを聞きだすのに苦労したのだよ。
「(娘)のプレゼントもあるよ」
と教えると、ハッとしたように箱に近づく。プレゼントと対面する娘は、嬉しさよりむしろ驚きが勝っているようだ。
「これあけていい?」
「いいよ」
シルバニアファミリーの基本セットだ。小さな家と、ウサギの家族が入っている。正直思ったより高価だったのでほんとに基本セットのみだが、充分喜んでくれたようだ。ビデオを撮っている時の感覚を思い出す。この時間を残しておいて、本当によかった。なぜかうっかり泣きそうになる。

サンタをやってきたときのことが改めて思い起こされる。プレゼントの希望がいつ出るのかやきもきした。夜中に手紙を作って枕元に置いた。こっそり下りた階段を最後で踏み外して悶絶した。家に帰ってきたら玄関のドアにサンタへの手紙が貼ってあった。注意深く剥がして「サンタさんに届いたみたいだ」と伝えた。小さなおもちゃを希望していて安上がりだと思っていたら急に「もう一つ」と言い出してドキドキした。そうしたら「りんご6こ」と買い物メモみたいな希望だったので笑いをこらえた。家族の買い物に出た時にこっそり何か買い忘れたふりをしてりんご6個だけ買った。

時系列もバラバラな思い出が浮かぶ。幼い子供たちの顔や声がぼんやりしている。なんでもっと残しておかなかったのだろう。
とりあえず動画を編集しないといけないが、時間的に子供にバレずにやろうと思ったらもう金曜の夜くらいしかない。しかも最後のネタバレをどのように入れるか…まだアイデアがないのが正直なところだ。

果たして最後のサンタミッション、成功なるか。
次回に続く。


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