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冬に向けて、おさえたい感染予防の基本。コロナとの戦いの長期化で思うこと。

新型コロナウイルス感染症が冬に向けて感染者が増加しています。コロナとの戦いはしばらく続きそうですね。

今日はウイルス感染と細菌感染の違いや感染予防など、基本的なことですが大切なことなので改めてまとめたいと思います。また、医療従事者はどんなことに気を付けて感染拡大を日頃から防ごうをしているのか、医療機関での感染予防の基本についても書きたいと思います。

ウイルスと細菌のちがい

ウイルス感染で有名なのは、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が挙げられます。
一方、細菌感染で有名なのは、結核菌や黄色ブドウ球菌が有名でしょうか。

細菌は単細胞生物で、栄養があれば複製して増殖できます。ウイルスは細胞を持たないため、他の細胞に入り込まないと増殖することはできません。ウイルス単独では生存できないのです。大きさは、ウイルスは細菌の50分の1程度と言われています。ウイルスはとても小さいです。


ところで、風邪の時に処方されがちな抗生剤は、何に効く薬でしょうか?
答えは、細菌に効く薬です。


「風邪をひいたので抗生剤を下さい。」と医者にお願いしている患者さんに出会うことがあります。しかし医者に処方を断られて、「抗生剤を飲めば体調が良くなるのにどうして?」と言う方もいらっしゃいました。
抗生剤は、万能薬ではありません。特定の細菌に効果を発揮するもので、使い方を誤ると「薬剤耐性菌」が出現してしまいます。

「薬剤耐性菌」が出現すると、感染症の予防や治療に使える薬の選択肢が少なくなったり、感染症の治療が難しくなり重症化しやすくなってしまいます。

薬は、適したものを適した量・期間で使うことが大切です。

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https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201611/2.html より


感染の種類について

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感染後、症状が出現することを顕性感染と言い、感染が抗体出現で確認されても症状が出現しないものを不顕性感染と言います。また、不顕性感染があり、病原体が長期間体内に留まっているものを潜在感染と言い、感染防御能が低下すると症状が出現してしまいます。(顕在感染)

健康な時には感染しないような病原性の弱い微生物による感染で、感染防御能が低下している場合に起きるものを日和見感染と言い、医療機関ではその予防が課題となっています。(MRSA、レジオネラ肺炎、クリプトコッカス症、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ感染症などがあります)

感染経路について

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感染リスクを下げるためには、病原体を体に取り込まないこと・日頃の衛生管理(手洗い、マスクの着用等)に留意することが必要です。

感染経路を断ち切る!

感染が成立してしまう条件として、病原体・病原体を保有する宿主(感染症の人)・病原体の出口・感受性を持つ宿主(感染症をもらってしまう人)・病原体の入り口・感染経路(空気・飛沫・接触)があります。
これを一つでも断ち切ることが感染を防ぐために必要です。

私たちができることは、まずは病原体の入り口を作らないこと(マスクの着用・手洗い・密を避ける)、感染の可能性がある時は、病原体を、次の宿主に近づけないこと(マスクの着用・手洗い・他の人との接触を避ける)ことだと思います。

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https://www.kango-roo.com/work/451/ より


医療機関での感染対策

感染対策は、医療者自身を感染から守るだけではなく、患者を感染から守るために必須です。医療機関では、標準予防策(スタンダードプリコーション)と呼ばれる感染対策を行っています。

標準予防策(スタンダードプリコーション)とは?

すべての患者を対象にする感染予防策。
汗以外の体液・血液・分泌物・排泄物もすべて感染性があるとして扱う。
手洗いは感染対策で最も重要な対策。水と石鹸、またはアルコール消毒液を用いて手洗いをこまめに行う。

手洗いのタイミング(WHO推奨)

1、患者に触れる前
2、清潔・無菌操作の前
3、体液に暴露した可能性がある場合
4、患者に触れた後
5、患者周辺の物品に触れた後


さいごに

新型コロナウイルスでの自粛や感染対策の長期化により、身体的にも経済的にも不安が強くなりやすい状況だと思います。
未知の感染症で、色々な情報が行き交いますが、基本的な感染予防の考えはどの感染症にも当てはまると思います。基本を忘れず、正しく怖がること・正しく予防することに努めていきたいです。
冬に向けての感染対策のお役に立てれば幸いです。
今日も読んでいただきありがとうございました。



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