見出し画像

人と付き合うこと

昔から人付き合いが苦手だ。
小さい頃からずっと気にしいな性格なので、周りにどう思われているのか、どう振る舞えばいいのかを気にするあまり、気疲れしてパンクすることがある。
特に集団での行動は頭がフル回転で、一人になった途端にどっと疲れが襲ってくる。
小学生から大学生までずーっと団体生活をしてきて気づかなかったけど、一人で行動するってこんなに自由で楽なんだ、と社会人になってから気がついた。


小学生のころ、服装に無頓着で親の買ったものをそのまま着ていた。
地元のショッピングセンターで買った安くて蛍光色のドギツイ洋服。
(今なら絶対選ばない。お母さんごめん)
クラスの子2-3人に、またあの服着てる!とクスクス笑われたことがあった。
それまで気にしていなかったけど、恥ずかしくて顔が真っ赤になったのを覚えている。
その子たちには髪型、図書室で借りた本さえも笑われて、「自分の持ち物や選ぶものはダメなんだ」と自信が無くなった。
周りに合わせなきゃいけない、同じものを選ばなきゃいけない、と思うようになったのはこの時からだと思う。


中学生のころは一番人間関係で苦労したかもしれない。
クラス内のカースト上位の女の子たちに悪口を言われないよう細心の注意を払い、一人ぼっちにならないようにいつもグループで行動した。
カースト上位の女の子たちは定期的にグループ内の序列が変わるようで、いつも誰かがハブられていた。
ハブられた子が私たちのグループに加わり、時が経てばまた戻っていく、という受け皿(?)みたいな立場だった。
いつも登下校を一緒にしていた仲の良い女の子に突然無視されたこともあった。
その頃はまだ携帯を持っていなくて、家電の子機(懐かしい)から女の子に電話をして仲直りしたんだった。


高校はイジメという概念が全くなく、なんて快適なんだ!と感激した。
授業の移動・部活・下校はずっと友達と一緒で、楽しかったけれど息が詰まる時もあった。
授業中も、休み時間になったらあの子の所に言って、あの話をしなきゃいけない。なんてことを考えていた。
たまには一人になりたい。けど一人になる子なんて、変わってると思われるだろう。
ある時どうしても一人になりたくて、いつも帰るグループとは別に、ホームで一人電車を待っていた。
グループの一人が私の所へ心配しに来てくれて、ああ、やっぱり一人で帰るのは難しいんだなと思ったこともある。
人に疲れて、数ヶ月に一度仮病で休んでいた。


大学は人によって選択する講義が違うので、人とのつながりは緩やかになった。
仲のいい10人くらいの大きなグループがあって、同じものを選択している子と集まって講義を受け、誰かが食堂にいたら一緒にご飯を食べる。
一人で過ごす子はあまりいなかったので、誰かと一緒にいることがマストだった。
グループのうち私を含めて3人で受ける講義があった。
うろ覚えだけど、その講義はお昼前かお昼後のコマで、3人でお昼を食べていた。
途中から、私以外の2人はそれぞれゼミが同じ子たちと食べるようになり、同じ空間に私だけポツンと一人になった。
大学でもこういうことがあるんだ、と思ったのを覚えている。
その後どうやって元に戻ったか忘れたけど、その2人とは卒業まで変わらず仲が良かった。
2人のうち1人とは今でも時々会う仲だけど、あれがなんだったのかは、聞けていない。


思い出すと胸がきゅーっと苦しくなる。
その時々でいろんなことに傷ついてきた。
明日が来ないでほしい、行きたくないと悩むこともあった。
あの頃の小さい自分を抱きしめに行きたい。


その反面、今考えればクソどうでもいい悩みだなとも思う。
このクソどうでもいい悩みに脳みその大部分を取られてないで、もっと大事なことに頭を使えよと。
それでも、学生時代は必死だった。


一人になりたいけど、なりたくない。なれない。
本来一人が好きなのに、一人だと周りからどう見られるのかを気にするあまり、学生時代はずっと人との距離が近すぎて疲れていた。


苦しめられた!傷つけられた!と被害者ぶっている訳ではない。
私が傷ついたと感じるように、私の何気ない一言や行動で相手を傷つけてしまったかもしれない。
それに、私自身が相手を、人を大事にしてきたか?と問われると、自信を持って「はい」と言えないのである。


友達が辛い時、困った時、自分から声をかけていたか?
遊ぶ時、自分から声をかけて誘っていたか?
…いつも相手から待ちで、相手から行動がなければそれで縁が途切れてしまってもいいや、くらいに思っていたこともある。
本当に、今思えばかなり傲慢だ。
人と近くなるのが面倒で、自分から行動を起こさないでいたら、気づくと周りの人はどんどん減っていた。
このままだったら独りになる、と はたと気がついた。


残ってくれた友達を大事にしたい、と今は心から思っていて、会いたいときは自分から連絡を取るようにしている。
(久しぶりに会うと話すこともたくさんあるので、話題に困らないのであまり気を遣わず楽しめる。)
一人の時間がたっぷりあれば、こうやって人と過ごす時間も楽しめるんだなと思っている。


社会人になってすぐの頃、終業後に買い物やカフェへ行くと、同じように一人で行動している人の多さにびっくりした。
もちろんこれまでもいたのだろうけど、全く目に入ってこなかった。
一人が好きだけど、たまに人と過ごすのも楽しい。
学生時代、社会人数年を経て、そう思えるようになった。
一人で映画を観たり美術館に行ったり本を読んだりゴロゴロしたり、それでしか得られない癒しやワクワクがある。
でもそれと同時に、友達との美味しいご飯や楽しいおしゃべりで得られる充足感、心地よさもある。

一人で行動することに全く引け目を感じなくなった自分にとって、
今がちょうどいいバランスだと思っている。