見出し画像

《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第25話

四月八日(月)

 はいこれ。

 警察です。

 なぜそう思った。


 警察署に向かう車内で運転手のジンベエザメから一方的に質問を受けている。今、ジンベエザメがアゴで差したのは、信号機のことだ。信号は警察だろう。理由なんてない。

 んじゃ、この標識は。

 警察ですか。

 違う。黄色いから役所。

 (黄色いから役所。)

 んじゃ、これは。

 赤いから、、、消防署だったり。

 正解。消化栓の看板だから、消防の持ち物だ。次、カーブミラー。

 黄色いから、役所ですか。

 これは、お家から出る時のミラーだし小さいから、このお家が向かいのお庭に建てさせてもらってるみたいだ。よく分からん。

 (えー。)

 基本的には役所の持ち物だ。はい、中央線。

 これも場所によるとか。

 そう。基本的には、途切れているのが役所。途切れてないのが警察。路肩にある線はどうだ。

 これも場所によるでいいですか。

 正解だ。これは自治体による。

 (自治体による。)

 さぁ、警察署だ降りろ。警察から道路使用の許可が降りたから、その許可証をもらいにいくんだ。

 それが済んだら役所にも行くんですね。

 いかん。いかないで済むように露天風呂なんだ。あっちには行くがな。


 あっちというのは、国道の向かいにある消防署だ。
 もうめちゃくちゃだ。

前話へ / 全話一覧へ / 次話へ

#創作大賞2024
#お仕事小説部門

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?