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パンタシア

あなたを愛せるなら、ただそれだけで掬われる
こんな儚い恋心なら
飴細工みたいに、粉々に砕けてしまう
幻想でいいから奏でて

永い夜は春を告げず宵闇に嘆く
冷たい手を重ねて弱い息を吐く
逆さまにした写真を御守りに
暁を迎えに進んだ道を歩く

バカだねそんなことをしても
何も変わらないよ慢性的な愛なんて
抱きしめるのはあなたじゃなく
微睡で描いたあなたの幻想

あなたを愛せるなら、ただそれだけで掬われる
こんな儚い恋心なら
心細い畢生を、あなたと歩めるなら
幻想でいいから眠らせて

ユートピアは憎悪を玩具にして
冥府は果報を業火に燃やす
後ろに進む舟は棹させずにいる
古傷を撫でる月明かりに縋った

当たり前のように会える日常
罪重なる想いは摩天楼を衝いた
あなたを望める時間はもう
終焉を迎えてしまうのに

あなたに逢えるなら、来世でも愛せたなら
今世の愛を注ごう
想うことが罪と、あなたが叫ぶなら
十字架にして背負う

あなたと僕の命数を紡いで
新しい歴史を産めたなら
きっと美しい物語が描ける
訳もなくそう確信してる

あなたを愛せるなら、ただそれだけで僕は逝ける
幻想的な恋心みせるから
あなたを愛せるなら、あなたを永遠に想えるなら
一輪の薔薇を手に

あなたをずっと愛せるなら、
たとえそれがパンダルシアだとしても

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