もぐもぐ

楽しいことも、悲しいことも、もぐもぐいっぱい食べて大きくなるよ。

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最近の記事

ヨシダ

お母さんは「ちゃんとした家の子と遊びなさい」と言う ちゃんとした家ってどんな家なんだろう 柱がすごく丈夫とか?台風がきてもビクともしないとか?ゴキブリやネズミが出ないとか?いつも整理整頓されているとか? お母さんが好んで仲良くなるわたしの同級生の親は、警察官とか役場の職員とかそんな人ばかりだ ヨシダの家はお父さんがいない お母さんは夜お仕事に行くらしくて、ヨシダは従姉妹のお姉ちゃんたちと一緒に生活しているらしい お母さんの妹にあたるおばちゃんや、従姉妹のお姉ちゃん、ヨシダの

    • おじいちゃんのツノ

      おじいちゃんが床に伏せっている ここ数ヶ月 しばらく顔を見ていない 風邪だと聞かされている 久しぶりにダイニングテーブルで腰かけているおじいちゃんを見た おじいちゃんの頭はつるっつるで 頭のてっぺんが尖っていた 老人性のイボとかそういう類いのものだと思おうとしたけれど、どうしたって角にしかみえない おじいちゃんは鬼になっちゃうのだろうか おじいちゃんが死んだ 棺のなかで眠るおじいちゃんを見たけど、涙で視界はぼやけていたし、おじいちゃんの体は棺にぴったりと納められていたから

      • "信用"と"見縊り"は深いところで繋がっている。

        • 泣かない、逃げない、怒らない

          このところ、取り憑かれたようにお菓子を作っている。 小さな頃から些細なことにこだわりがちだった性格が、功を奏してお菓子作りに役立っている。 0.1g単位で計量できるスケールを使い、0.1g単位で材料を計っている。 加える材料のレシピも5gや10g刻みでなく、7gだとか46gだとか、1g単位だ。 大雑把な性格の知人に話したら、「聞いてるだけで目眩がする…」とゲッソリしていた。 先日、台湾カステラを作った。 ふるんふるんでほわんほわんのアレだ。 始めは牛乳を100gにしたのだ

          ついてまわるラスボス

          もう何もかもイヤになっちゃったとき、ボタンを押すだけでこの世から消えることができるアイテムがあったとしたら、わたしはとっくの昔にいなくなっていただろう。 幼少期から不安感が強く、転んで足を擦りむき、じんわりと血が出てきただけでもパニックを起こし、「これ死んじゃわない?ねえ、これ死んじゃわない?」と、泣きじゃくりながら何度も何度も親に尋ねた。 5才になる年に突然保育園に入所させられたときには、「いってきます、バイバイ。いってきます、バイバイ」と呪文のように繰り返し、今生の別れ

          ついてまわるラスボス

          自宅のノートパソコンで「ヒューヒュー」と入力したところ、予測変換に「ヒューヒューだよ」が現れる。トレンディーだわ、この子。

          自宅のノートパソコンで「ヒューヒュー」と入力したところ、予測変換に「ヒューヒューだよ」が現れる。トレンディーだわ、この子。

          ごちゃごちゃ書き込まれたチラシを裏へ返せば真っ白け。 生きると死ぬもきっとそういうもの。 真逆だけれど一枚物。

          ごちゃごちゃ書き込まれたチラシを裏へ返せば真っ白け。 生きると死ぬもきっとそういうもの。 真逆だけれど一枚物。

          知ってゆく、人

          少しでも艶やかに見えるよう ムダ毛を剃り除いていたあの頃。 指や手の甲、足の指に生えている毛に 必要性など微塵も感じず腹立たしかった。 何度も何度も剃っているのだから 「あ、ここは生えなくていいところなんだ」 と肌にそろそろ理解してほしかった。 骨張った大きな手で撫で上げられたときに 滑かなで柔らかな手触りになるように カミソリを何種類も使って 丁寧に丁寧に剃り除いた 約束までの40分間。 自慢の足を味わってもらえるように 18デニールを厳守し 膀胱炎になりそうな寒さにも耐

          知ってゆく、人

          両思い

          わたしには特別な能力は何もないのだなあ、と時々愕然とする。 本のとある見開きを、見ただけでそこに記されている単語たちを丸暗記できるわけでもなく(友人の知り合いに実際に居た!)、音源を一度耳にしただけで、的確な発音ができるようになるわけでもなく(こちらも後輩の友人に居た!)、小説に散りばめられている溜め息が漏れてしまえような見事な表現が、次々と頭に浮かんでくることもない。 絶対音感もなければ、感嘆の漏れる字が書けるわけでもなく、痒いところに手が届くようなメロディや歌詞を生み出

          「虐待するなんて許せない。涙が出る。」と憤っていた知人の男は、既婚者で、子どもが2人。奥さんが産気付いたとき、友人と朝まで飲み歩いて、今でも恨まれていると言っていた。若い女の子と非保護のセックを繰り返し、乱交したことを楽しそうに聞かせてくれた。歪に捻れたパラダイス。

          「虐待するなんて許せない。涙が出る。」と憤っていた知人の男は、既婚者で、子どもが2人。奥さんが産気付いたとき、友人と朝まで飲み歩いて、今でも恨まれていると言っていた。若い女の子と非保護のセックを繰り返し、乱交したことを楽しそうに聞かせてくれた。歪に捻れたパラダイス。

          両隣の部屋からおっさんのイビキが響いてきている。 ンゴオォォオ……ンゴオォォ……ンゴッッ、、ンゴオォォオ…… なんだか頭が痛い。

          両隣の部屋からおっさんのイビキが響いてきている。 ンゴオォォオ……ンゴオォォ……ンゴッッ、、ンゴオォォオ…… なんだか頭が痛い。

          いま

          現在のわたしは、独り身、一人暮らしである。 今月30歳になった。 嘱託職員として働いている。 ボーナスは一応あるが、退職金は貰えない。 現在、熱中している趣味は読書で、少しでも空き時間があれば何かしら読んでいる。 ノラ・ジョーンズの音楽は、外部からの騒音消しにちょうどいい上に、文字を追うのを邪魔してこないことに最近気がついたので好んでBGMに使っている。 「いや~30になったら体力落ちたよね」「肌の調子も微妙だし」「ハリとかたるみとかヤバい」「年取ってきてるのツラい」と、

          鳩は「ホーホーッホッホーッ」と鳴き、蝉は「スットコチーヨ」と鳴く。

          鳩は「ホーホーッホッホーッ」と鳴き、蝉は「スットコチーヨ」と鳴く。

          豊かなもの

          喫茶店の駐車場に車を停め、友人が来るまで窓を開けて読書をする。 ここへ来る途中、『街の喫茶店あっぷる』という別の店を目にした。 店内は老若男女で混み合っていた。 『お弁当あります』という旗が掲げられ、風に揺られてたなびいていた。 わたしは喫茶店というものが大好きで、欲しかったちょうどよい存在感や言葉、親密度を目の当たりにしたような気がした。 喫茶店のキッチンから響いてくる、食器類がカチャカチャ当たる硬くて高い音。 駐車場はお店の隣にあり、揚げ物や炒め物をしているような、胃袋

          豊かなもの

          昨日今日辺りの雨の影響でなのか、こんもりした金木犀の木の下に、パキッとした橙色の花弁がどっさり落ちていて、車内から眺めてるだけでも芳香が漂ってきそうだった。なんて贅沢な光景なんだと息を飲んだ。

          昨日今日辺りの雨の影響でなのか、こんもりした金木犀の木の下に、パキッとした橙色の花弁がどっさり落ちていて、車内から眺めてるだけでも芳香が漂ってきそうだった。なんて贅沢な光景なんだと息を飲んだ。

          知識は恐怖を救う。かも。

          幼い頃からドのつく怖がりなのに、たまたま見ていたテレビ番組で、予期せず心霊写真特集なるものが始まってしまう。 チャンネルを変えようとしている間に、テレビ番組はどんどん進んでしまい、心霊写真が映し出された。 男性2人が街中で写真に収められている。 日中だというのに、1人の男性の顔が真っ黒に潰れているのだ。もう1人の男性の顔はちゃんと写し出されている。 怖い。怖すぎる。真っ黒な顔が脳裏に焼きつく前に視線を反らしたいのに、怖くて目が離せない。真っ黒な顔がアップで映り、もう完全に焼

          知識は恐怖を救う。かも。