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泣かない、逃げない、怒らない

このところ、取り憑かれたようにお菓子を作っている。
小さな頃から些細なことにこだわりがちだった性格が、功を奏してお菓子作りに役立っている。

0.1g単位で計量できるスケールを使い、0.1g単位で材料を計っている。
加える材料のレシピも5gや10g刻みでなく、7gだとか46gだとか、1g単位だ。
大雑把な性格の知人に話したら、「聞いてるだけで目眩がする…」とゲッソリしていた。

先日、台湾カステラを作った。
ふるんふるんでほわんほわんのアレだ。
始めは牛乳を100gにしたのだが、水分量が多かったのか腰折れてしまったので、次は95gにした。それでもまだ腰折れ気味だったので90gにした。
砂糖は100gにしたのだが、なんだか甘さが少し物足りず、卵臭さが目立った。次は砂糖を110gにした。110gの内、30gを蜂蜜に置き換えたところ、しっかり甘くてコクが増したが表面がベチャついてしまった。だから今度は砂糖を90g、蜂蜜を20gの割合にして作ったところ、丁度よくなった。
油をバターで代用したら、完全に洋菓子になってしまったので、米油で作ると決めた。
分量はレシピを比べたり、自分の直感を信じたりで、100、90、85、80、70と様々な中から70gを選択した。

自分が納得できるまで、どこまでも追い詰めていく質なのだ。10代、20代の恋愛においては特にそうだった。
お菓子は良い。どこまでも追い詰めたところで、泣きもしないし、逃げもしない。
「あいつは頭のおかしい怖い女だった」と被害者ぶって、周りに吹聴もしない。
浮気を問い詰めた末に逆ギレされることもない。

お菓子はきちんと対話してくれる。
こちらが投げ掛けたら、それに見合った反応を返してくれる。素直でとても優しい。
オーブンとの相性や、メレンゲの立ち加減、粉を入れてからの混ぜ回数などによって、上手くいかないこともあるけれど、そこをまた突き詰めて研究していってもお菓子は逃げない。

おうち時間をもて余すようになって、本格的にのめり込んだお菓子作りだが、自分の性に合ったものなのだと知ることができて、わたしは幸運だと感じている。





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