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月曜日、消滅。 #シロクマ文芸部
月曜日は、この世界から消えた。
月が消えたから。
ある日突然、なんの前触れもなく、地球上のどの位置からも月が見えなくなった。
各国の学者たちはすぐさま研究に取り掛かったけれど、原因は一向にわからなかった。そのうちに民間人にも『心当たりのある者は協力を』と呼びかけられた。全人類の頭脳を結集して解明しようとしたのだ。
それでも月が消えた謎は解明されなかった。
また、月がなくなったら地球に起こるとされている影響が、なにひとつ起こらないでいることも謎だった。
地球の自転が早くなるだとか、潮の満ち引きがなくなるだとか、そういった影響はなにもないまま。
ただ、夜には月明かりがなくなった。ただ、それだけだった。
月はそこにあるのに、その姿が見えなくなっただけのよう。こちらからは見えないのに、あちらからは見えている。
そんな不気味な感覚を抱く者は決して少なくなかった。
月が消えたことは不吉だとされた。『不吉』という表現はいかにも日本的に思えるが、世界的にも『悪魔』などのように『悪いもの』だとされた。
そのうちに、その名を冠する『月曜日』に対しても同じ感情が持ち上がった。
もちろん、曜日にはなんの関係もないだろうと言う意見も多かったが、なにせ月が消えたのだ。消えるはずがないと思われていたものが、原因がなにひとつわからないままに、ぽっかりとそこから姿を消してしまったのだ。
月曜日にはなにか良くないことが起きるのではないか。次になにかが起こるのは月曜日なのではないか。
感情はニンゲンの行動に多大な影響を与える。
月曜日には気分が悪くなってしまったり、恐怖から家にこもってしまったり、一日中祈りを捧げるようになったり、小さな事故を曜日のせいだとしたり——、世界のあちこちで通常ではなんら問題がないことが、『月曜日』には次々と発生するようになった。
そうして、一週間は『日火水木金土』という6日間になった。
#シロクマ文芸部 企画に参加しました。
……ちょっと、苦し紛れ。すみません。
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・雨音が遺したもの 6/6 お題「雨を聴く」
・召し上がれ 6/13 お題「紫陽花を」
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2024.06.21 もげら
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