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映画ビジネスはまだ死なない | mofi 212号 ニュース

外れ作品はありつつも、昨年と比べて総合成績が伸びている今年の興行。「劇場映画の終焉」を悲観的に予測したウォール街に反して、映画ビジネスは上り調子だ。大スタジオの統合、ストリーミングの乱立、そしてプロダクションの閉鎖と、渦巻くハリウッド事情をピックアップ。

【興収:7月第1週】『ジュラシック・ワールド』首位キープ 2018年は興行絶好調

『アベンジャーズ』3作目でスタートダッシュを切った18年の夏興行は上々。2週目で一位をキープしている『ジュラシック〜』は$60Mを記録。先週から動員数が59%も減っていることは好ましくはないが、累計$264.7Mは良い数字。2位は3週目を迎えた『インクレディブル・ファミリー』で$45.5M、累計$439.7M。2018年前半の興行は産業全体でも$6.2B(約6,300億円)で、昨対比9.3%増。映画館ビジネスは終わっていない。(O)


【ビジネス】ディズニーによるフォックス買収 米司法省が承認

条件は、フォックス傘下の地方スポーツ局を手放すこと。ディズニーはこの条件を飲んで、フォックス・ニュースおよびフォックス・スポーツを除くフォックスの大部分を買収する。あとは株主による承認を得るのみ。ただ、コムキャストによる対抗案が再び出てくるかどうかにも注目が集まっている。(O)


【ストリーミング】アップル、アマゾン・プライム式の月額登録制サービスを検討中

アップル・ミュージック、動画のオリジナル・コンテンツ、そして雑誌購読サービスを一本化したサービスを画策している、とのこと。まずはアップル・ニュースのアプリとTextureと呼ばれる定額制の雑誌購読サービスの統合からはじめるそう。続いて、登録者数4,000万人と言われる動画および音楽のストリーミング・サービスとの融合をはかる。いまのところは、無料郵送サービスのないアマゾン・プライムといった雰囲気。(O)


【ストリーミング】ワーナー、β版「DCユニバース」配信サービスを夏にローンチ

秋に正式ローンチ予定の「DC」コミックス専門のストリーミングサービスが、8月から試験的にオープンする。同サービスには、2019年にDCコミックス原作のオリジナルドラマ『Titans』『Doom Patrol』『Swamp Thing』などが投入される予定。WBアニメーションからは「Harley Quinn」「Young Justice」などの新タイトルも独占配信される。過去のライブラリも充実するとのこと。各社、ストリーミングの独自展開に拍車がかかる。(O)


【多様性】大手エージェンシーCAA、有色人種専門の脚本家データベースを創設

CAAのクライアントたちだけでなく、テレビドラマ作品に携わる業界中の有色人種の脚本家たちが、リストになる。1作品でもスタジオ作品に関わったことのある者は、登録されることになる模様。私も個人的に、日々複数のエージェンシーからタレントや脚本からの候補をあげてもらう際、ものの見事に白人候補だらけになることには辟易している。こんな時代になってもエージェンシーたちは変わらないのだから、こうした試みで強制的に変化をもたらすことの必要性はつとに感じる。(O)


【ビジネス】ディズニートゥーン・スタジオ、閉鎖

あまり知られてはいないが、オリジナル・ビデオ作品が百花繚乱だった時代、ディズニーが『シンデレラ2』『ポカホンタス2』『ライオンキング2』などの公式続編映画を大量生産していたスタジオがあった。最近では『カーズ』のスピンオフ『プレーンズ』や。『ティンカーベル』シリーズなどを製作した「ディズニートゥーン・スタジオ」が、静かにお取り潰しとなった。75人あまりのアニメーターをレイオフしたとの報もある。恐ろしい。(O)

著者小原康平 / 初出:2018/07/02  第212号
有料メールマガジン「Ministry of Film - ゼロからのスタジオシステム」より

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