馬とおじさんと小切手の話
20年前に亡くなった叔父は競馬が好きだった。時々やってきては上機嫌で小切手を切ってくれた。そういうときは決まって馬券が当たった時だった。その頃はまだわたしも幼く「ケイバ」なるものがどういうものかわからなかったが、叔父が来てくれるのは楽しみだった。(母は「競馬で儲けたお金を子どもたちにやるのはやめてちょうだい」とあまりいい顔をしなかったが。)
小切手は郵便局に持っていくとお金に換えてくれる。ただの紙切れだったものが1万円になって戻ってくるのが面白かった。「おじさんはお金をくれ