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馬にも衣装 飾るだけじゃないのよたてがみは

日曜日はたいてい競馬中継を観る。馬が好きなのはもちろん、馬のおしゃれを見るのがおもしろいのである。

「額帯」という馬の額にかけられている部分やメンコ(馬の顔をすっぽり覆う馬具)がジョッキーとおそろいカラーだったり、たてがみにひと手間かけられていたり。さらさらのたてがみもいいけれど、きれいに編み込まれていたり、均等に分けられて色とりどりのゴムで結ばれていたりするのもいい。たてがみをいくつものお団子にしてくる馬もいる。首筋にたくさんのくるみボタンが付いているようで、とてもきれいなのだ。

リバティアイランドはレースのたびに前髪を三つ編みにして、そのレースに関連した色のポンポンを付けてくる。桜花賞ならピンク色。ジャパンカップでは日の丸カラーで赤と白。秋華賞では紅葉をイメージした黄色とオレンジのポンポンをつけてきた。ポンポンはリバティアイランドの調教助手、松崎さんの奥さんが毎回新しいものを手作りしているという。

レモンポップは首のラインに沿ってきれいに並んだお団子ヘアがトレードマーク。ちなみにレース後にお団子を解くと、ウェーブのかかった王子様ヘアになる。

もともと、たてがみを編むのは馬場馬術でそれが「馬の盛装」とされていたからだ。馬場馬術で騎乗する人はジャケットにタイの盛装である。馬にも、競技に参加するにあたってきちんとたてがみを編んでくることが求められた。もちろん、たてがみをきちんと編み込んでおくことで首筋がきれいに見え、馬の美しさが際立つという意味合いもある。競馬ではおしゃれだけではなく、編み込んでおくことで鞭がたてがみにからまないからという、一石二鳥の目的もあるらしい。

馬たちの装いをじっくり見たいから、パドック中継が楽しい。レース中の馬たちの映像は遠く、細かいところまでは見にくい。レースが終わってしまえば勝った馬にしかカメラが向かない。けれどパドックでは、1頭1頭の馬たちを間近で撮影してくれる。おまけに馬たちはパドックを何周もするのでゆっくり見ることができる。

しっぽも注目なのである。長いしっぽを半分三つ編みにして、下半分はふわっと垂らしている馬のしっぽなんかもう、たまらん。

引退した「純白の女王」ソダシはよく、真っ白なしっぽに赤いリボンを結んでいた。真っ白なしっぽとともにゆらゆら揺れる赤いリボンは良く目立った。

ただし、ソダシの「しっぽに付けた赤いリボン」は、実はお洒落でつけているのではない。彼女には「蹴癖(しゅうへき)」があった。後ろ足で蹴り上げる癖のことをいう。蹴り癖のある馬は危険なので、注意喚起のためにしっぽに赤いリボンをつけなければならないことになっている。当然、馬の後ろに回るのはとても危険だ。だからソダシはしっぽを三つ編みにはできなかったのだろう。いつも長く垂らしていた。けれどとてもよく手入れされていたから、たてがみもしっぽもいつもさらさらで毛艶もよく、「女王」の名前にふさわしい馬だった。

今度競馬中継を観ることがあったら、ぜひ馬たちの「おしゃれ」にも注目してみて欲しい。

Discord名:森 佳乃子
#Webライターラボ2405コラム企画

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