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なぜ、バレエ座学なのか

バレエにどっぷりだった時の経験
ボリショイ劇場を通して沢山の人との出会いや
モスクワ生活の中で感じてきたことを踏まえ

今はバレエの座学の発信をメインにしております。

さて、なぜ「座学」なのか?


バレエは踊りのお稽古。実技が中心です。
練習しか実力をつける方法はありません。
これはスポーツをはじめ、料理や楽器、茶道や芸術分野でも
なんでも同様ですね。仕事も然り…です。

上達の必須条件は、日々の訓練です。


だからこそ、日本国内、いや世界中で数多の先生方が
バレエ教育に力を尽くされています。

しかし、ただ単純に踊る「技術」だけがバレエではないのです。

海外のバレエ学校は、実技以外に学科や諸外国語をはじめ
演技、キャラクターダンス、民俗舞踊、歴史舞踊、解剖学
ピアノ、音楽や舞踊の歴史なども勉強します。


これは国立の学校ならではですが

「バレエは総合芸術だよー」
というのを、段階に分けて体に染み込ませていく教育プログラムが
組まれて確立されています。

ただ、日本は国立のバレエ学校ではない分

その1番美味しいところ・エッセンスがメインになって
踊りの「お稽古事」として広がっているのです。


この違いは
良い・悪いではなく、土壌の違いです。

しかし、私はこの状態がとても勿体無いと感じていました。

なぜなら現在日本にはバレエ教室が4000以上あり
バレエ学習者は25万人を超えているからです。
◉文化庁委託事業令和3年度「日本のバレエ教育に関する全国調査」より
◉観劇層を入れると更に膨大な数のバレエ愛好者がいます


自分が習っているバレエが、実は思った以上に奥行きがあって
そこを学ぶことで、学校での授業や勉強の中で
歴史や経済との結び目が分かったり発見があったり
=好きなものを通すと学ぶ意欲が増す


舞台の美しさに心惹かれている観劇ファンの方も、
その背景に広がるデザインの世界や音楽の深さに更に気付くと
目で楽しむ以上に、感情が揺さぶられたり他の知識と繋がったり
=だから病みつきになる


というように、自分の中での「ふふふ」というものが増えるのです。
抽象的ですが、つまりは知ると充足感が刺激されるのです。



バックステージツアーにご参加くださる方たちは
バレエを観たことがないという方が多数いらっしゃいます。
(そういう方達が殆どの場合もあります)

しかし、建築や歴史の観点など違う角度から劇場を眺めると
へぇぇ〜となり
「何か観てみようかな」と興味を持たれる方が増えます。


つまり、知るとハードルが下がります。
なんでもそう。予備知識があると踏み込みやすくなる。

そんな「知る」機会をずっと作り続けていました。


説得力のある劇場という建築物を見て貰うことだけではなく
もっと身近に・気軽に舞台芸術を知る時間を作るため
作品紹介や歴史の解説等を行うようになりました。


技術メインで高く飛んだり沢山回ったり足を上げたりの前に
(*これは後日、記事の題材として触れます)

なぜ、そうなったのかの歴史や
なぜ、それが綺麗だと思う美意識とは?など


回り道したり調べたりすることが
実は上達の近道になることもあります。


そしてそこで育つ理解力は
自分の豊かさの糧になります。


これが知る機会が大切だと思う、私の考えです。


*次回はコンクールに関しての考えを述べたいと思います。

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