「言葉で自分を表現すること」が怖くなったことがある。
今でこそ、私はこうして、自分の気持ちを言葉で表現することが好き。
しかし、過去のとある出来事によって、私は数年前まで、言葉で自分の気持ちや想いを表現することが、怖くなってしまっていたことがある。
なぜなら、
「脳内お花畑」と言う、人を馬鹿にする時に使う言葉を、過去に言われたことがあるから。
お花畑と言うのは本来、素敵な言葉のはず。花が沢山咲いている場所。それを説明する時に使う、言葉のはず。
でも私は、「花畑」と言う言葉を聞いて真っ先に思い浮かべるのは、冒頭のそれだ。人を揶揄する際に用いられる代名詞を。
小学3年生の冬休み
に課された「俳句づくりの宿題」。言葉を自在に操ってつくる、あれ。私が丹精込めてつくった、今でも鮮明に覚えている、つくった俳句を。
「何事も めげずにチャレンジ してみよう」
これをクラスメイトから、馬鹿にされたのだ。「○○(←自分にとって嫌なあだ名)って、脳内お花畑なの?笑」と。
私はその俳句に、その年の抱負を
込めたつもりだった。今思えばこの俳句に季語は無かったから、俳句とは言えないのかもしれないが、論点がずれるので、今回はそこについては、割愛させていただきたい。
表に出すのはちょっと恥ずかしいが、まあいいや。
私は小学3年生の時に一年間ほど、クラスメイトからいじめを受けていた。
貸したものが返ってこないのは日常茶飯、自分にとって嫌なあだ名で呼ばれることであったり、テストを受ける時には「白紙で出せ」と脅されたり、授業を受ける時には不真面目でいることを強要されたりした。
成績は、私の方がその人よりも、明らかに秀でていたから、それが面白くなかったのかなあと、今は思う。(秀でていた、と言っても、平均より若干、点数が高い程度)
ただそれよりも、
当時の私は今よりも明らかに、自分の気持ちを他者に伝えると言うことができずにいたので、相手にそこを見透かされて、あろうことか突かれたんだと思う。私が相手に「何も言い返さないであろう」ことを見越して、相手は数々の汚い言葉で攻め立ててきた。実際、言い返すことはしなかった。
幸いなことに、担任の先生と母親が味方になってくれた。
私のいじめが明瞭になったのは、
「自殺ごっこ」と称された行為を、クラスメイトに強要された、あの日から。
ある日、相手の家に来ることを強要されて家を訪問した帰り際、私が持っていた荷物を全部奪われて、「ここから飛び降りて。」と一言放った。正気かと思った。相手が差したのは十段以上ある階段。相手曰く「私の自殺の練習」だと言う。
小学3年生ながらに「自殺」と言う言葉が意味することを、理解はしていたから、私の中で、戦慄が走った。流石にそれはできないと思った。したくないと思った。
いや、正確に言えば
「死にたい」気持ちは、今思えば当時から明確にあった。でもその時は、そのような言語化が自分ではできずにいて、(私の葬式には何人の人が来てくれるんだろう)とか(私が死んだら悲しんでくれる人っているのかな)とか、そんなことを思う程度だった。
それでも、結果から言えば
「自殺の練習」と言われたそれを、私は遂行しなかった。恐怖が勝って足がすくんだのと、その階段は幸か不幸か、相手が住んでいたアパートの外側からも見れる場所にあって。その日、時間になっても帰ってこない私を心配して母が迎えに来たところ、たまたまその瞬間を母親が見つけて、双方の行動を制止したためだった。
正直、私はかなり運がよかったと言うのか、あの場を母が諫めてくれなかったら、私はどうなっていたか計り知れない。
あの瞬間の出来事がきっかけで、いじめ解決に向けて本格的に動き出したから。それ以前から担任は私を気にかけてくれていたけれど、より一層、見てくださるようになった。
結果、そのクラスメイトからのいじめは、4年になってからはピタリと止まった。
それだけではなくて、
他クラスのある人からも、いじめと言うのか、そのようなことを、6年間にわたってされてきたんだけれども。
ただ、そっちはまだ耐えられたので耐えた。先生方が見て見ぬふりした…とかではなく、私が学校にそれを伝えないことを選んだまでで。私の母親は直接、その人の保護者に掛け合ってくれたこともあった。中学が別々になったことで、その人からの嫌がらせは自然消滅した。
私は思う。
言葉は、自分の気持ちを他者に伝える、手段のひとつ。だからこそ、他者のことを考えて使うようにしたいと。
いじめの経験が、その思いを強くさせた。言葉によって傷付けられたからこそ、せめて自分の言葉で、誰かが傷付くようなことはしたくない。
それでも、考えて考えて書いている言葉でも、誰かしらのことは傷付けてしまうのだと思う。誰も傷付けない言葉って、この世にきっと存在しないと思うから。
ただ、意図的に誰かを傷付けるような表現はしないようにしようと思う。せめてそれが、今の私にできる、他者への最大の配慮なのかなあと思うから。
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なんだかふと思い立って、気付けばキーボードを叩いていました。ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
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