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またひとつきれいになれた日

今日はわたしの誕生日です。自己主張が激しい冒頭ですが、せっかくなので誕生日や歳をとることについて思っていることを書きたいと思います。来年また、見返せたらいいな。

この誕生日を迎えて、わたしは所謂アラサーというものに片足を突っ込んだかたちとなりました。周りの友人は結婚や出産という人生の大きなイベントを迎えていたりするので、節目となる出来事が頻発する年齢なんだと実感しています。

それと同じくらい耳にするというか、話題に上るのが若さについてです。もうあと数年したら30代に突入するという時間軸のなか、大体数人で集まると若さが失われていくことの焦りが議題として取り上げられます。まあ、話し合ったところで時間は止まらないのですが。

この手の話を聴いているとき、いつも思い出すのが坂本真綾さんの考え方です。坂本さんは歌手や声優として活躍されています。その感性や考え方がわたしにとってとても素敵に思えるものばかりです。わたしの中学生のころからのヒーローです。

そんな坂本さんが、歳を重ねることについて『なりたい』という曲でこのように作詞しています。

誕生日は一年でいちばん 自分が好き
ひとつ歳を重ねてきれいになれる


この歌詞を見て、この人のことを好きでいてよかったなあと思ったことを今でも覚えています。
『なりたい』に限らず、インタビューなど様々な場面で坂本さんは歳を重ねることを豊かさと捉えています。わたしはそれを見て少し救われた気さえしていました。

歳をとることで確かに若さは失われるのかもしれません。周りの人にもよく言われてきました。若いから得してる、とか。もう若くないわね、とか。言われているときはあんまりピンとこないのですが、歳を重ねていくとだんだん分かってきました。たしかに、若いって本当に素晴らしい。なんかきらきらしてる。瑞々しくて、無防備で、素直。いい意味でめちゃくちゃ子どもっぽい。どうかこのまま真っ直ぐに育っておくれよ、なんて念を送ってしまうことすらあります。

そんなきらきら輝く若さ溢れる時期をわたしももちろん経験しています。ただ、当事者のときはそんなふうには思ってもいません。振り返ってみて初めて、そのときの経験がかけがえの無いものだったんだなと気づきました。中学生のころなんて正にそれです。大切な思い出です。

わたしが経験したそうした若さは、歳を重ねて綺麗さっぱり消失してしまったのかというと、そうでもないと思います。あのときはぴっかぴかの直射日光みたいな代物だったものが、今は夕焼けにも夜明けにもなれる、まあるい物になったというだけだと思っています。感じられることも考えられることも増えて、厚みが増した。その積み重ねを綺麗だと思えるような感覚を持ちたいなと思います。若さが失われたと嘆くのではなく。

中学生や高校生に老いていくことの恐怖なんて感じて欲しくないな、と思うんですよね。そんな悲しいことありますか。

年齢の話題になったら、またひとつ人生が豊かになったね、なんて言ってみたりします。笑われることが多いのですが、これからも大切にしていきたい考え方です。


余談になりますが、『なりたい』の歌詞に、

ありがとう そして まだつかまえないでいて

というのがあって、なんだか分からないけれど胸がぎゅうっとなります。良かったらぜひ聴いてみてください。

日食、うまく見れなかったな。