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ガーリックディスタンス

ガーリックディスタンス1

ガーリックディスタンス2


 政府は先の某ウイルスの感染拡大に伴い、国民全員にニンニクを一房配給した。
 国民はこの、支給されたニンニクを毎食一欠片食べなくてはならなくなった。
そうなるとどうしても、マスクをせずに会話をした場合酷く臭う。
吐息の激烈な臭さに人々は、思わず距離を取り自ずからソーシャルディスタンスを保てるのであった。
 更に、もし近距離にいたとしても相手の悪臭が感じられない場合は、嗅覚に異常をきたしているかもしれないと、自覚症状の感知度数が増した。その結果、多くの濃厚接触者を増やす前に検査を受ける者が増えた。
 斯くしてこの国はニンニク臭のはびこる国家となったわけだが、ニンニクというものは極めて身体に良く、国民は皆、細胞活発作用により美肌となり、腸内環境も整って昼夜問わず元気になった。
 次第に某ウイルスなど感染しない程の逞しい身体となり、仕事の効率も上がり、出産数も増え、皆一様にエネルギッシュとなった。
その力は驚くほどの経済効果を生み出し、今や世界でトップレベルの国家となっている。

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