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読書「ラザロの迷宮」

神永学先生の作家デビュー20周年記念作品。
「ラザロの迷宮」
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登場人物は月島理生。ミステリ作家。月島の友人永門学。2人が参加する謎解きイベント。そこには、2人の他に6人の参加者と進行役のM。
殺人事件がこれから3件行われると…
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一方、美波紗和が勤める警察署に、血が大量に付いた服とナイフを所持した青年が「助けて」と現れる。
しかもその青年は記憶喪失となり、名前も分からない。
事件に巻き込まれたのか?
そこに本庁の久賀瑛人警部が美波と組む事になる。
久賀は元精神科医。異色の人物。
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更に美波の警察署に現れた「友人が行方不明なので探して欲しい」と現れた女性。友人の名前は偽名だった。どうやら何らかの事件に巻き込まれたらしい。
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3つの事件がどう関わるのか。
視点は月島と美波で入れ替わります。
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「ラザロ」とはキリストの友人と言われているそうです。
月島が謎解きイベントで訪れた洋館に飾られた絵画「ラザロの復活」は何かの示唆なのか?

【ラザロの復活】イタリアのバロック期の画家、カラヴァッジョが1609年頃に制作された絵画との事〈Wikipediaより〉
カラヴァッジョだけでなく、ゴッホやレンブラント等、沢山の画家がこの「ラザロの復活(蘇生)(蘇り)」を題材に描いているそうです。

【ラザロ】ラザロが病死したが、キリストによって奇跡的に蘇生したと言われる。そのためラザロは「生に立ち返えらせる」「復活」等に解釈されているとの事です。〈Wikipediaより〉
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著/神永学「ラザロの迷宮」

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この「ラザロの迷宮」
複雑でした。
帯には「驚愕のラストに備えよ」とありましたが、最後はびっくりしました。

精神科医から警察に入庁した異色の経歴の久賀警部。
警察署に現れた記憶喪失の青年。
青年の記憶を戻すべく、久賀は催眠療法を施して行きます。
そこには驚きの展開が。

あまり詳しく書くとネタバレになってしまいますので割愛しますが、著者はわざわざ「ラザロ」を表題に入れています。
最後まで読んで「なるほど」と唸りました。
ただ、含みも持たせています。
この含みをどう受け止めるかは読み手次第かと思います。

更にこの作品は過去の罪と、多重人格(解離性同一性障害)の罪も問題提起していると感じました。
更に警察沙汰となった被害者と加害者の家族の事も取り入れています。

人は大小関わらず、何らかの事故や事件に巻き込まれてしまう、と感じています。
それが警察沙汰になるかどうかは別として。
イジメや家庭内暴力、ストーカー問題などもその内の一つです。
この問題が「ラザロの迷宮」でも取り上げられています。
難しい問題に20周年と言う節目で発表された神永学先生。
シリーズ化になるかどうかは分かりませんが、美波と久賀警部とのコンビもまた読みたいと思いました。


ここまで読んで下さりありがとうございます。


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