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シェイプシフター

あなた方の中に、鱗がある者がいる。
昔、読んだ本の中に、そういう一文があった。

えっ、鱗?
ありえない!トカゲじゃあるまいし。

普通だったら、そう思うだろうな。
でも、私は本当に"混ざっている"と思うのだ。

半殺しにしろ。

小学校で、クラスメイトが言った。
意味がわからなかった。
そんな言葉は、聞いた事もなかったから。

彼女は声を潜め、得意そうに言った。
◯◯を、追いつめろ。
手は出すな。足がつく。
言葉を使え。自滅する様に。
言葉で殺れば、わからない。
毒の様に、甚振れ。
少しずつ蝕まれる様に。
直ぐに死んだら、つまらない。

僅か7、8歳の子供の口から出る様な言葉ではない。
大人でも言わないし、思わないだろう。
そんな事は、考えたりもしないはずだ。気に入ら
ない存在を始末するなんて。精神的に甚振り、
それを見て楽しもうだなんてさ。

恵まれない環境に生まれて、反社会的になるなら
わかる。でも、彼女の様な事を平気で口にする
のは、皆、ごく普通の家庭の子供だった。

数年後、ある同級生が、クラスメイトに刺された。凶器は箸で、頭をやられた。
あと1mm深かったら、脳に刺さって即死だった
らしい。彼は一命を取り留めた。

『惜しかったな』。
そう言うのを、私は聞いた。
大丈夫?、と刺された子を気遣うのではない。
死ななくて残念だ、と彼らは真顔で
言っていたのだ。

本は、語る。
"その様な存在達は、あなた方の発する、
不安や恐怖を糧にして生きている。"


私があの地で出会った彼らの様な人間達は、
今思えば、鱗のある者達、シェイプシフター
だったのかもしれないね。そうだとしたら、
人間の姿をした、人間ではない存在が、
あちこちに潜り込んで活動しているって事だよ。
陰◯論で片付けられてしまうのかもしれないけど。








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