見出し画像

向かっているとこは一緒

私はこの頃、本やネットで 
娘が処方されている薬に関する情報を
色々調べていました。 

パニック障害は薬なしで治ると
書かれた本にも
どの記述を目にする時も

服用している薬は
自己判断で中止してはいけません

この言葉が書いてありました。

減薬断薬については様々な書き方が
ありましたが
医師が細かく指導してくれるわけではなく
自分でするのが主流のようです。

現に今回、服薬が短いのから抜きましょうと
次回の処方をしない一気抜きです。

今思えば、医師からすると
一気抜きしても大丈夫なくらいの
服薬期間だったのかもしれません。

でもこの頃の私は、薬の抜き方について
毎日調べていましたから
抜いた不調で、また薬が増えることを
どうしても避けたくて過敏になっていました。

なるべく離脱症状で不調にならないよう
自分で減薬スケジュールを立てて
少しずつ抜いていくことにしました。

新たに減薬ということを始める
新たな種類の薬を始める

それを同時にすること

未知で不安で怖くてわからなくて…
予約もないのに
薬について聞きたいことを
書いた紙を握りしめて
総合病院へ来てしまいました。

「すみません。
予約はないのですが
昨日処方していただいたお薬で
聞きたいことがあって…
紙に書いてきたので
先生が見れる時に見てもらえませんか?
時間かかっても待ちますので」

「少しお待ちくださいね」

たまたま診察の合間だったようで
「どうぞ、お入りください」
看護師さんが案内してくれました。

先生は紙を見ながら
「え?どうされました?」

「あの…減薬のタイミングと
新しい薬を始めるタイミングが
一緒になってしまうのが大丈夫なのかと…」

違う…私が先生に聞きたいのは
言いたいのは本当は違う…

でも聞きにきたのはこれなんだ

「あ、大丈夫大丈夫
今日から始めてみてください」

「あの…私…」

本当に言いたいのは聞きたいのは
言っても仕方ないこと

「ん?」
先生は不思議そうに
そして、心配そうな顔で私を見ました

「先生…私、薬が怖いんです
こんなにたくさん飲ませてることも
新しい薬が増えることも…
薬がなくなったら
娘は良くなるんじゃないかって…」

それを言おうと思って来たわけじゃない

でも、一番言いたかったこと

だけど…言っても仕方ないこと

涙も気持ちも止まらず
先生にぶつけてしまいました。

「お母さん落ち着いて!大丈夫!
あのね、今は確かにたくさんある
でもこれは調整のために増えたんです。
減らして行くための調整なんです。
私も薬を最終ゼロにするのが目標で
お母さんもそうしたいんだよね
向かっているのは一緒なんですよ。
大丈夫だからね」

優しい声で強く丁寧に言ってくれました。

言っても仕方ないと思っていたけれど
言ったことで
私は気持ちを自分を
冷静に改めることが出来ました。

「はい」

先生は頷いて、もう一度言ってくれました。

「向かっているとこは一緒だからね」




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?