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■8 川を越えていく(3)

「藤原灯と申します。本日は宜しくお願いします」
私はそう言って、面接官2人の顔を見て深く礼をした。長い髪がはらりと落ちる。面接官2人もそれぞれ名を名乗る。そして、再び礼をして、席に着いた。

在り来りの面接ではあったが30分間、質問に対して答え、深掘りをされていく面接となった。最後にいくつか仕事内容やノルマについての質問をし、「あぁ、それなら出来ると思います」とアピールして終了した。

手応えはあった。あとは「運」のみ。他のライバルにもよる。経験もスキルも年齢も性別も、特段問題はなさそう。結果はどちらに転んでも良さそうな面接であったので上出来だと思った。後悔はない。

外に出ると日光が眩しかった。寒いけれども冬の陽の光が私に「お疲れ様」と言って微笑んでくれているようだった。結果は1週間程度で出る。パスすれば電話連絡、ご縁がなければ郵便にて履歴書が戻ってくる。この1週間はドキドキしていなくてはならない。でも、今回面接を受けた会社は第2志望。本命ではないとの思いが気持ちを軽くしてくれる。

「第1志望は、今の会社の別部署だから」あかりはそう独り言を言った。高梁に反対されている、あの部署への異動を申し出たので、この後戻ったら、選考資料を提出しよう。

川を既に渡り始めている。向こう岸にあと少しで着きそうだ。

ロングのコートが相棒


(ノンフィクションに近いフィクションです)
(でも、ただの日記だよ・笑)

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