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■3 知らない男からの電話(3)

「では、木曜日の午後か、金曜日の午前中でいかがでしょうか」

佐藤という男は、電話で話しているうちに、知らない男から知っている男に変化した。同業のため、旧知の中かと思うくらい、急に親近感が湧いてくる。会ったことはないが、こちらの都合を優先させてくれて、金曜日の午前中に面接の約束をした。

ああ、どうしよう。面接を受けて、採用されるかはまだわからないが、50/50だと思う。万が一、採用されたら、またそこから葛藤が始まるはずだ。

有給休暇が半年なくなるのは、怖かった。出勤時間も今より前倒しになる。それよりも恐れていることは、契約社員であること、そして、仕事内容が若干変わり、ノルマがキツくなること。

給与は確実に上がる。それが魅力だし、それが転職活動の狙いだった。周りには反対された。わざわざそんなジャングルみたいなところへ飛び込まなくてもいいのに…と。

面接日時が決まった後、目まぐるしく思考し、もう1件の求人案件に挑戦することに決めた。こちらのほうが本命。迷うなら、悩むなら、ついでにこっちも受けてみよう。

切腹する武士になったつもりで、なるようになる!と心を定めて、応募のエントリーをした。


(ノンフィクションです)
(ただの日記です)

⇒次へ続く

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