ハルミチ

釣り、魚好きの大学生です。 作家を目指して小説を書いています。

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マガジン

  • IYO夢みらい館てのひら小説講座専用マガジン

    • 138本

    2020年からIYO夢みらい館で開催している「てのひら小説講座」受講生作品のマガジンです。

最近の記事

僕のクリスマス

---翔太---  時は20××年。日本は第三次世界大戦の激化に伴い、国家は日本国民の16歳以上、満35歳の男子に兵役の義務を課した。女性の医療従事者にも兵役の義務が課された。少子化により日本の人口は激減。となりの国、韓国での兵役は19歳から30歳までの間に行われる。この比較が日本の少子化の現状を物語っている。  20××年では、ジェンダー平等の議論は、君たちが生きている2023年より大きく進んでいる。女性に兵役の義務はなかったが、自ら兵役に志願する者たちも多数いる。2023

    • 「死んだらまた逢おう」

       彼は最愛の人と指切りをした。彼女の顔には不安の色が一つもなかった。彼女は眠りにつくように亡くなった。いつもは彼の方が寝るが遅いので彼女の寝顔を彼は知っていた。  「死んだらまた逢おうね」  これが彼女の最後の言葉だった。  彼は死んだら天国で彼女と再会して結婚するつもりだった。だから彼女は作らず、有り余った余生を自分の好きなことに費やすことにした。彼は昔から漠然と海外に住みたいという思いがあった。どこでもよかったのだ、彼女の匂いのするところ以外だったら。  彼女と死別して2

      • 「さいころ」 

        あらすじ 後藤憲一、彼の持っているコンプレックスは物事を決めれられないというものだった。彼の”平凡”な人生に中野佳純が彩を加える。 「この花をください。」 「ガーベラですね。かしこまりました。」  僕は家の近くの花屋でガーベラを購入した。彼女が入院しているのだ。  本来なら僕がプレゼントする花を選ぶべきだったが、しょうがない。神がガーベラを選んだのだ。    小学生の頃から“決める”ことが嫌いだった。僕は小学五年生、母と近所のドラックストアに、買い物に行った。母は一人で今

        • 立ち止まる力について

          “立ち止まる力”めっちゃ共感しました! 潜在的に休んでは行けないとか逃げては行けないとか思ってしまってるところってあると思います。 自分は小説を書いているんですけど、小説を書きたいって思う時はいつも立ち止まって、現実より妄想に力を入れて書いているような気もします。 ひょっとしてアートとか創作とかって立ち止まっているからこそできているのかもしれませんね。 山本太郎さんの言葉に「芸術は爆発だ」というものがありますが、人の感性や感覚が爆発する前は人生の立ち止まりが起こってるの

        僕のクリスマス

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          138本

        記事

          短編小説 「金縛りクソジジイ」

          「うううぅうー」  午前0時に寝た俺は金縛りによって午前2時ごろに起こされた。体が全く動かない。目も開けることができない。なんとか抗おうと体を動かせとマニュアルで指令を送った。数秒抗いなんとか体の硬直が解けた。  ゆっくり目を開ける。目の前には60代くらいだろうか、白髪でメガネの男性のおじさんが僕の上に跨って座っていた。  まず、俺の中に生まれた感情は、恐怖ではなく純粋な怒りだった。その怒りの温度は覚醒の度合いと比例して上昇していった。 俺は跨っているジジイにこう言ってやった

          短編小説 「金縛りクソジジイ」

          あいつがやってくる。

          春、精神的によくなくなる季節だ。僕はあいつがやってくるのが怖かった。あいつがやってくると僕はなんとなく憂鬱でなんとなく死にたくなる。  なんとか大学の授業には行ける。歯を食いしばって朝を迎え、飯を食べ、磨き、服を着ることでなんとか大学には行けていた。  なんとなくあいつがやってくる予感がしていた。気を紛らわすためにタバコを吸い、学校に行く。   もうあいつはやって来ていた。家に帰る前にあいつと仲良くなるため酒を買う、僕に取って酒は逃げの手段ではなかった。  あいつは飲みの場で

          あいつがやってくる。

          【短編小説】ぱんくした自転車 中編

          「ちょっと、お兄さん!」 「はい?」 声をかけてきたのは住宅街のどこにでもいるような60代後半くらいのおばちゃんだった。 「そんな自転車でどこ行くのよ」 「あ、あのー、ちょっと海まで行こうと思いまして」 「急ぎの用事なの?」 「いやー、急ぎではないです」 「ちょっと、うちに寄ってきなさい」 「自転車貸したげる」 頼り甲斐のある声に動揺していた僕は渋々家にお邪魔することになった。 家の中に入り、おばちゃんは居間に案内してくれた。 「適当に座っといて」 「あ、はい」 おばちゃんは

          【短編小説】ぱんくした自転車 中編

          【短編小説】 ぱんくした自転車 前編

           僕は海へ行く、パンクした自転車で。とにかく海だ、海へ行きたい。僕が海を欲しているのか、海が僕を欲しているのか、そんなことはどうだっていい。僕は今確実に海へ向かっている。  大学に入って3年目の僕は3回目の夏休みの真っ只中だった。特にバイトもしていない僕は、夏休みにすることがなかった。大学は人生の夏休みと世間は言うが、今僕は人生の夏休みの夏休みの中にいる。うらやましいか?退屈だ。  高校では野球をしていた。今の大学に入学することができたのは、僕が周りより野球が上手だったおか

          【短編小説】 ぱんくした自転車 前編