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ストレスと独り身とホテル暮らしとーサードシーズン【第10回・東京都八重洲編】

 世界人類共通の概念としてー

『8月はリゾートホテルの宿泊料金がバカ高い』

 学生諸氏は夏休みに昼夜逆転生活を始め、一般社会人はお盆休みに高速道路を占拠する。従って、観光業界は黙ってても迷い込んで来る猫共を確保できる。
 2022年8月15日の午前中、暑さと法外な宿泊料金に怒る猫が暴れる中、私は銀座エリアの一角に降り立った。

 地下鉄の出口から徒歩1分とネットに説明されてたが、一方通行の狭めの脇道に建っており、見つけるのに手間取った。

本日の愛人『アパホテル 銀座京橋』である💔

 とにかく空気が蒸し暑い。迅速に荷物をフロントに放り出し、私は東京駅方面へランチの舞台を探しつつ歩く。

 東京駅からは離れている銀座の一角に、目立たない雑居ビルを発見。上の方の階層は飲食店が多く占めており、私はこちらの『馬喰一代』という肉系店舗に入る。店名の『馬喰』は東京の馬喰町とは無関係。
 岐阜県の飛騨牛を専門に扱う本格派の焼肉店のようだが、ただでさえ高級なブランド牛を銀座で……そりゃ御高いワケですよ、そりゃもう。飛騨牛の握り寿司とかもあって、一貫¥1000するワケですよ、そりゃもう💦

 う~ん、本格的。ランチに大金を出すのは気が引けるので、メニュー表から当日10食限定の定食¥1800を頼む。

 ピリ辛の和風出汁餡を付けて食べるざる豆腐。スッキリした後味で美味しい。味噌ダレを付けて食べる夏野菜のセット。ほう、新鮮だ。エグみは無く、白いトウモロコシがフルーツのように甘い。
 メインの皿である肉と焼き野菜のセット(3種の漬物付き)。果たして…………むッ、柔らかい。と言うか、柔らか過ぎる。肉汁を殆ど感じない。かじって断面を見ると、明らかに肉ではなく脂肪の塊だ。
 怪訝に思った私が従業員の方にどこの肉を使っているのか聞いてみると、≪特定の部位を使っているワケではない≫……なるほど、いわゆる『成型肉』だな。ならば、脂肪の塊が薄い肉で包まれた不自然さも納得する。そして、他のメニューと比較して圧倒的に安いのも頷ける。

 とは言え、不味くはないのだ。白飯の上に乗っけてタレをかければ、十分食える肉飯になる。
 そして、デザートにマンゴーとパンナコッタ。うん、美味しい。

 どうもモヤッとしたランチの後、当初の目的地まで数分歩く。う~~ん、東京駅はやはりデカイ。そして、高速バスのりばには常時多くの長距離バスが待っていて、夜10時前後には夜行バスがひしめき合うのだろう。なるべく交通費を抑えて旅行する事を重要視する私としては、ここからバスを使うのが一番安くなる手段なのだがー

「私はバス酔いが酷いのだよ🤢」

 八重洲口から入った東京駅構内、初めての『東京駅一番街』に降りてみると……そこには版権商品を子供達に売りつけたくて仕方ない空間が。
 昔、職場の業務用冷蔵庫と床の隙間に、丁度同じくらいのサイズの灰色のピカチュウが、粘着トラップに捕まって絶命していたのを思い出した。

 早くシン・仮面ライダーとシン・ウルトラマンをブルーレイで買って、リゾートホテルでスイーツ食べながら観たい。
 プリキュア系のお店には、娘の趣味か父親の趣味か区別が難しい雰囲気の親子が居たよ。

 トトロ推しのジブリ店。最近、『さつき芽衣』というセクシー女優を見かけるようになった。

 そろそろイイ時間かなっと思い、うだるような酷暑の中をホテルに戻る。待合室で少し待っていると、スーツ姿の若い男性が日帰りプランでチェックインしていた。15時から17時までのわずか2時間らしく、仮眠かVOD鑑賞か仕事からの現実逃避なのか……目的は不明。
 私もチェックイン。今回は朝食付きプランで¥6150。東京駅から近いだけあって、アパホテルにしては高めの設定。

 今回の客室は2階。ついにきたか……この最下層の扱い。しかし、客室に入って分かったのは、階層に特に意味は無いという実態である。

 うおッ、コイツ……狭いぞ!? このブログ史上、最狭の客室として認定された。そして、この窓……わずかしか開かないうえに、全く外の景色は見えないタイプ。見えたところで、隣のビルとの間に出来た歪な隙間空間だけが目に入る。なんたる圧迫感💦

 このベッド、寝そべって初めて気づいたのは、妙に体が沈み込む。使い込まれてヘタっているのか、そもそも低品質のベッドなのか。
 テーブルと鏡台と椅子は他のアパと同じ。テレビも相変わらずのデカさ。

 なんたる狭さ。一人暮らしの安アパート基準で考えれば十分だが、非日常感を旨とするホテルの仕様としては……無しだ。
 アパホテルオリジナルのトイレタリー一式も健在。

 夕食の時間にはまだ早いので、客室でゆっくりしようと思い無料のVODを操作するとー
 おッ、珍しく観たい作品があった😃

 鑑賞後の感想ー
 《悪くはない。が、ゲームをしっかりプレイした事があるのが前提で楽しめる内容。ナンバリング作品のファクターを色々と詰め込み過ぎて、一貫性が失われている。ヒマ潰し専用のアクションホラーとしては最適。個人的な意見として、アレはジルじゃない🙅》

 夕方、食い物を漁りに東京駅へと再度向かう。その途中で発見した謎の巨大な雲丹。作業中の皆さんの内、何人かは思ったに違いないー
微妙に仕事の邪魔……
 ーと。

 東京駅構内にはそれは多くの魅力的な飲食店が群雄割拠しているのだが、今回は駅と繋がってる『大丸東京店』の地下食品街に潜航し、贅沢の限りを尽くそうと画策。

 いやぁ~~、イイ買い物したなあ😊
 まずはこの御重。きたねえ花火でも打ち上げてそうなイベリコ豚を使った豚飯¥1100。脂の旨味を堪能してくれと包み紙に書くくらいの自信……むぅ、確かに飲めるくらいの脂が噛むと滲み出る。が、決してくどくは無く、抵抗感無しで白飯に絡まって美味しい。豚野郎が健康で良い脂肪なのか、私の胃粘膜が歳の割に強靭なのか……。
 もう一品は、金目鯛と帆立のカルパッチョサラダ¥1060。サラダにこの御値段は非常識と思われるかもしれないが、コレがまた旨い! 生臭さは全く無く、身がシャッキリしていて野菜とよく合う。 

 いつもなら窓から見える風景で昼と夜の境目を感じ取るのだが、窓が本来の用途を担っていない為、いまいち気分が盛り上がらないまま晩酌。
 大丸東京店の地下食品街で購入したオーガニックレモネード¥498。なんと、250㎖でこの御値段……が、マジで旨い😍 確実に人生で最高のレモネードを味わった。
 そして、大丸1階のスイーツフロアに店舗を構える『銀のぶどう』で惚れ込んだ2品。なんたる艶やかさ💞
 左がハニーレモン¥691。飾り付けられたレモンが食品サンプルみたいだが、コレ……ペロリできちゃう。特有の甘酸っぱさが秀逸。右がショコラフルコース¥648。ホロ苦いチョコとトロリとした食感が堪能できる。

 極狭の浴槽に入浴剤を入れて体を委ねる。うん、やっぱ脚が伸ばせない浴槽に価値無し。
 就寝前にはいつも夜景を見て落ち着くのだが、この収容施設ではそれも叶わず。
 おやすみ、八重洲。

 おはよう、八重洲。朝日を拝む事すら許されぬ私は、着替えて1階の朝食会場へ。この『九州居酒屋 かてて』は馬喰町編のアパでも利用した。

 九州の名物料理系定食がランチで食べれる良い食堂。中国人だろうか、朝食を客室にテイクアウトしようとして店員に止められてた。

 野菜料理と鶏肉と鯖の塩焼きと、白飯と野菜たっぷりの味噌汁。うん、食べやすい優しい味わい。このホテルで唯一の安らぎと言えよう。

 さて、チェックアウトだ。客室用のカードキーを専用のボックスに放り込み、今回の愛人をあとにする。
 地方の皆様、東京駅周辺でホテルステイを決行する際は、出来る限り宿泊料はケチらないよう御注意を。
 さらばッ、八重洲!

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