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「北欧の神秘―ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの絵画」展 in SOMPO美術館

先日、東京・新宿のSOMPO美術館で開催中の「北欧の神秘―ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの絵画」展に行ってきた。

6月9日(日)まで。
月曜日休館、ただし4月29日、5月6日は開館。
*巡回情報
7月13日(土)〜9月23日(月) 松本市美術館(長野県)
10月5日(土)〜12月8日(日) 佐川美術館(滋賀県)
2025年2月1日(土)〜3月26日(水) 静岡市美術館

北欧の絵画、というとムンクムーミンくらいしか知らなかったが、神秘的なパンフレットなどから、未知の世界を覗けそうだな、とワクワクした。
行ってからだいぶ日にちが立ってしまい、記憶が怪しくなってきているけど、資料を見ながら順に思い出してみる。

今回の展覧会は、ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館という3つの国立美術館から、約70点の作品を4つの章に分けて展示されている。
混雑もせず、でもガラガラでもなく、程よい混み具合だ。

序章 神秘の源泉 ―― 北欧美術の形成

19世紀、ナショナリズムの高まりを背景に、イタリアやドイツ、フランスの芸術動向に長い間追従してきた北欧諸国において、独自の芸術を探求する潮流が生まれた。
故郷に特有の主題を求めた画家たちは、北欧の自然、北欧神話や民話に注目した。

サイト(プレスリリース)より

美しい風景画がたくさん並んでいる。
フランスの巨匠たちの作品、と言われても見分けがつかないもの、独特の幻想的な雰囲気のあるもの、どちらもよい。
この章は写真撮影ができなかったのが残念だが、ネットで探せた作品をいくつか。

<イルマタル> by ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン

イルマタルは、フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』に登場する純潔の精霊、大気の女神であり、大地と空、太陽、星を創造した。
フィンランドの作家シベリウスや、画家など多くの芸術家たちが、『カレワラ』から着想を得た作品を残している。


<滝のある岩場の景観>byマルクス・ラーション
<踊る妖精たち>byアウグスト・マルムストゥルム

遠くから見ると霧かな?と思ったけど、近寄ると妖精!


1章 自然の力

北欧独自の絵画を探求する画家たちは、母国の地理的、気象的特徴に注目した。雄大な山岳や森、湖といった自然風景、そして北方の地に特徴的な現象である夏季の白夜、太陽が昇らない冬の極夜、そしてオーロラが多くの作品の題材となった。
四季に応じた自然の変化は魅力的な主題となったが、特に冬の光景は北欧を特徴づけるものとして好んで取り上げられた。

サイト(プレスリリース)より


<冬の日>ヴァイノ・ブロムステット

きっとすぐ忘れるけど、画家の説明が興味深かったので載せておこう。

ヴァイノ・ブロムステット(1871-1947)はフィンランドの画家で、挿絵やテキスタイルのデザインなども手がけた。ペッカ・ハロネンとともにパリに渡り、アカデミー・ジュリアンで学ぶ。のちにゴーギャンに師事し、象徴主義や日本美術の影響を受けた。
19世紀後半に北欧諸国でナショナリズムが高まったのを背景として、フィンランド帰国後には、本作のように母国を特徴づける冬の自然風景を描いた。

サイト(プレスリリース)より


この辺からしばらくは、写真撮影が可能になる。

<川岸>by ペッカ・ハロネン


<フィヨルドの冬>byエドヴァルド・ムンク


2章 魔力の宿る森 ―― 北欧美術における英雄と妖精

19世紀のヨーロッパでは国家的、民族的アイデンティティへの関心が高まる中、北欧の芸術家たちは、国際的な芸術的動向に目を向けると同時に、母国の文化的伝統に強い関心を抱き、土地に伝わる民話や伝承から着想を得た。
北欧の民話やおとぎ話は、北欧神話、およびフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』として知られる一連の物語から大きな影響を受けている。
これらの物語の多くが舞台とするのは深い森であり、そこは魔法や呪いが効力をもち、人や動物ではない存在が住まう場所である。未知の冒険や神秘体験へと誘う神話やおとぎ話の世界は、北欧絵画を特徴づける主題となった。

サイト(プレスリリース)より


<アスケラッドと黄金の鳥>byテオドール・キッテルセン

なんだかわからなくても、色彩が美しい。
アスケラッドは「灰をいじる少年」という意味で、ノルウェー民話の多くに登場する主人公の呼び名。

<トロルのシラミ取りをする姫>byテオドール・キッテルセン

ノルウェーの画家テオドール・キッテルセン(1857-1914)は、自然の神秘的な側面に着目し、動物やトロル、妖精の登場する物語をイマジネーション豊かに描いた。本作は、トロルと囚われの姫を描いたもの。
姫がトロルの体のシラミを取り、トロルは眠っている。そこへ少年アスケラッドが、姫を救出しにやってくる。

兄弟たちが見くびる末っ子アスケラッドだが、困難を乗り越え、ついには姫と結婚する、というお話。

サイト(プレスリリース)より

そういえば、ムーミントロルだった!
可愛いイメージだけど、実は怪獣か妖怪か、という扱いなんだな。


<山の門の前に立つオースティン><一の間><五の間><帰還するオースムンと姫> byガーラル・ムンテ

ノルウェーの画家ガーラル・ムンテ(1849-1929)は、もとは風景画家であったが、装飾芸術に才を発揮。北欧神話を題材としたテキスタル作品が高く評価され、ヨーロッパ全土に広まったアーツ・アンド・クラフツ運動にも身を投じた。
本作を含むシリーズの中で、物語の主役オースムンは、王の命により、囚われの身となった姫を助け出すため、怪物の城へ一人乗り込む。そしてオースムンは怪物を倒し、財宝を手に入れ、姫と共に帰還した。

サイト(プレスリリース)より


<山の中の神隠し>by ガーラルムンテ


3章 都市 ―― 現実世界を描く

19世紀における都市の発展は、人々の生活様式を大きく変化させただけではなく、諸芸術へも影響を及ぼした。
かつて神話や歴史上の一幕が重要な主題と見なされた絵画の分野においても、街の景観や都市生活が新たな主題として登場し、同時代の現実が芸術の中へと引き込まれた。
北欧らしい薄闇の中にある近代都市の神秘的な光景は、画家たちの想像力をかき立てた。工場や整備された街路を臨む都市風景、そして近代化の波を待つ郊外の風景が取り上げられた。また、画家たちは日常生活に親しみをこめたまなざしを投げかける一方で、都市開発の陰で増大する貧困や病といった負の側面にも目を向け、最下層の人々の生活を迫真的に描いた。

サイト(プレスリリース)より

この章は写真は撮れないし、神話の世界などを描いたものと違って、あまり興味を惹かれなかった。

なかなか明るいムンクの作品だけ載せておこう。

<ベランダにて> byエドヴァルド・ムンク


最後はいつも通り、ゴッホの「ひまわり」を鑑賞。

お土産売り場では、ジュニアブックレットを買いたかったけど、今回の展覧会のものは無かったので残念!
でも、もらったパンフとサイトでそれ以上の情報があったので良しとしよう。

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