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『語学の天才まで1億光年』 by 高野秀幸

『語学の天才まで1億光年』 by 高野秀幸

図書館に予約してかなり待ったけど、待ったかいあり、の本。
とにかく面白い。
学んだ言語は25以上!という、辺境ノンフィクション作家による、冒険記で、語学青春期。語学と言っても英語ではなく、中国語、フランス語、スペイン語といったメジャーなものから、タイ語やビルマ語や現地語など、冒険の旅をしながら必要にかられて習得していく(でも、使わなくなると忘れる)っていう話。

全く知らない国の話が出てきても、詳細な描写と、国の位置関係が一目でわかる手書きの地図で、目の前にいるように様子がわかり、一緒に冒険を楽しめる。失敗談もたくさんあるが、くじけずに前に進んでいく姿勢は勇気をもらえるし、必要なければどんどん怠惰にもなる生き方も、人間味があってほっとする。
ぶっ飛んだ旅行記の中に、言語学者も顔負けであろうと思う、実に鋭い考察がぶち込まれてもいるので、著者とはいわば正反対の(学校英語などをきちんと学び、危ないことはしない)語学学習者が読んでも十分耐えられるであろう、内容になっているのもすごい。

著者の学習スタイルは、
1. とにかくネイティブに習う。
2. 文法を勉強するのではなく、自分で法則を見つけ、テキストを手作り
3. 多くの言語を知ると、共通点や相違点がわかってくる
4. 必要なくなったら忘れる

知らない言語の話ばかりだと、信ぴょう性を疑いたくもなるが、スペイン語の記述のところ、スペイン語は「平安京」のように、道は直角に交差、バイパスもトンネルもない、というたとえ。そうだ!そうだ!と言いたくなった。

メモしたいこともたくさんだが、まあ忘れてしまうのもまたいいか、ということで、最後のほうにあった話だけ。

「どの言語社会も近代化や経済化や経済発展、情報革命などに伴い、不特定多数の人やよそ者と接する機会が増える、その時、自分に敵意がないことを相手に知らせたり、親しみを持ってもらったりするために、TPOにあまり関係なく誰でも使えるあいさつ語や儀礼語を使うようになる」

ここだけ読むと、ふ~ん、で終わってしまいそうだが、その例として、外の世界とあまり交流のない地域では、「こんにちは」も「ありがとう」も「ともだち」という言葉も存在しないことが珍しくない、と言われると、そうなんだ!

そういえば、感想文を書いている方がいらっしゃった。
私の記事より、より全貌がわかるのではないかと思う。


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