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子供の色は・・・ツアーナースの呟き

このところ大分忙しくお仕事をいただいています。ありがたい事ですが、家族、特に夫には迷惑をかけているでしょう。 一人が気楽・・・という声も最初の頃は聞かれていましたが、こう不在になってくると食生活や健康面でのサポートが出来ないので心配になります。申し訳ないです。(と言いながら、ガッツリ仕事入れてますが。)

今しか出来ないことなので、あまり自分の生活背景は気にしないように生きてきました。ただ今週はある教育施設の保健室の業務なので、同じご飯のメニューが続き私の胃袋も心配・・・と少し飽きてきて、それがもう涙ぐましいほどの質素な食事でどうなのよ?と思うのですが、まさかの量が少ない分よく噛むのでお腹一杯になるし、多分バランスがいいんでしょうね、、、何故か毎日快便!!(失礼しました。)本当にこんなに健康でいいの?って言う程体調が良いのです。 

勿論保健室に夜中お泊まりになるお子様もいらっしゃいますので、その看護で寝不足になることもあります。
ですが、大抵は元気になってお家に帰れる、集団行動に戻れるお子さんが多いので実際には活躍するほどお仕事がありません。(それは良いことですよ、勿論)

ツアーナースをしていると色々な出会いと別れがあり、知り合いのツアーナースさんは別れを惜しんで涙腺崩壊するっていってらっしゃる方もおり、またクールに決めている方や、千差万別いろんなタイプの看護師がいるわけです。

 私が新人の頃、親切な先輩看護師が夜になると豹変し、夜勤で患者様のお尻を叩き「オムツ変えて欲しけりゃもっとケツあげろ!」とパチンと叩く姿に「何してるんですか!」と止めに入ったら「こいつら人様の税金で生きてきてるんだからこれくらいしたって良いんだよ。」と人が変わったような暴言を吐き、病気だ・・・と思ったことがありました。
介護施設の優秀な介護福祉士にもそう言う人がいました。 
言葉が喋れない入所者様に対してそう言う虐待みたいなことをして、同室者がこそっと私にこぼしたことがきっかけで明るみになり、最初は確認のために本人に伝えました。だけどその行為をやめなかったので、事実を確認した上で長に報告し、解雇になりました。その長が教員として指導した生徒さんだったそうです。とても優秀な子だっただけに残念がっていました。

どちらの方も良い面もたくさん持っておられました。 残念だなと思うところが致命傷な部分ではどうにもなりませんが、最近の出会いの中でなんとも悲しい生徒に出会い、色々と考えさせられました。

小さな可愛い小学5年生の男の子です。
緊張すると嘔気が続き、ご飯が食べられなくなります。夕食のとき、その事で食事が出来ずにいたので心配で、私は励まそうと声かけをしたりしていました。
それからしばらくしてそのお子さんが保健室に来て、真っ青な顔で本当に具合が悪そうで、先生方が心配して二人もついて来られました。 

保健室で休むことにして預かりましたが、先生方が居なくなり私は他の業務をしていたので、彼に構わずデスクワークをしていました。すると程なくして起き上がってきて、私に途切れ途切れの言葉で「本当はね、具合は悪くないの。だけどもし気持ち悪くなったら嫌だから、夕ご飯を食べなかったの。だから平気なのでみんなのところに戻ります。」と。
そう言うので先生にお伝えしてレクリエーションに参加しに戻って行きました。

ところがしばらくしてまた先生方に抱えられて「無理そうなのでまたお願いします。」と戻って来られました。なので今夜はお預かりしますね、と消灯時間近かったのでそのまま保健室で寝ることにしたのですが・・・。

その日は他に2名のお子さんが保健室で休むことになりました。

夜0時近くになり、一眠りした彼が目を覚ますと「部屋に戻ります。」と言うので、こんな夜中に戻ってもお部屋が真っ暗だし、他にもお友達が寝ているから踏んだりしたら危ないからここで朝までいたらどう?と言うと黙っていましたが、そのうち布団をかぶってしくしく泣き出したので、「先生を呼んでくるから自分一人で帰っちゃダメよ?」と言うと頷くので職員会議中の先生方の部屋に行き、事情を話すとすぐに来てくださったのですが、何やら先生に途切れ途切れに話をした後、先生がまともな顔で「この子に部屋に戻っちゃダメって言って閉じ込めたんですか?」と。「帰さないって言われたって。」と。

は?・・・と、驚きましたが「そんな事は申して居ません、一人で戻ってはいけないとお伝えしたのですが。」と言うと先生がそのお子さんにほら、誤解だったよぉ、お部屋に帰ろうとチヤホヤしている明らかな態度で、一緒にお部屋に戻っていきました。

次の朝、シャキッとした姿勢で朝食会場に向かう彼の姿を見て、元気になったんだなと思いましたので声をかけるとふん!とそっぽを向かれました。
ところが出発する玄関先でまた背中を丸め昨日渡したOS-1を手に持ち、とぼとぼ歩いているのです。後ろには彼のリュックを持った生徒に「大丈夫?大丈夫?」と数人に言われながら。
解散式の様子を見ていると顔もしっかりした彼が、ラッパ飲みのようにグビグビとOS-1を飲んでまずそうな顔をしている姿が見えましたが、バスに乗り込む時はまた病人のようなか弱い姿で消えていくのを眺め、人の気をひきたい子供なんだなと思いながら、彼の育つ環境がどうなんだろうと心配になりました。

因みにこの学校さんは校長先生がとにかくKingと呼ばれ、施設職員に言われた事に対して舌打ちするくらいの方で、偉そうに怒鳴り散らし、学年主任の先生も他の先生も子供にギャンギャン怒鳴ってばかりいて、怒鳴られてもへっちゃらな子供達が8割近くいるくらい荒れていて、廊下は駆け回る、食堂でも走る、座っていられない、話をして前を向かない、常にスケジュールが遅れ気味で最後は出発が30分近く遅くなるという高学年になっても基本が出来ていない驚く学校でした。果たしてきちんと出来ないのは子供のせいなのかな?

六甲山の夜景、綺麗でした。

かと思えば素晴らしい学校長にもお会いできました。

 学生さん達がまさに『The High school student』でした。こんなに気持ちの良い学生達を見たのは久しぶりで、自分のことは自分で出来て5分前には常に揃って静かに待つ。ふざけた生徒もいなければ、一人で孤立しているような子もいない、そもそもそう言う心配をしないので、先生方が風呂の時間も雑談して本部となる場所におり、時々風呂の様子を観に行くと、戻ってきた先生が「誰、誰が湯船にカピバラみたいにじーっと首まで浸かってた。」と実況報告をされ、皆で微笑んだり、とにかく先生方がワンチームだったのです。
それを支える校長先生は、夜間の見回りなどにも自分が担任を持っていた時の失敗談を面白おかしく披露され、皆が笑うという姿。「だからあなた達も気をつけなさいよ。」と。
自分の自慢話をする人間はたくさんいるけれど、自分の失敗談を披露して諭すなんてまさに人間臭い先生だなと感激しました。

念願のマリオの世界

そしてその校長先生の素晴らしかったことは、USJに行く日は生憎の雨でした。だけどそのことで一度も生徒達にネガティブな言葉を使ったことがなかったことでした。大抵は生憎の・・とか残念だが、、とか言うものですが、バスに乗り込む道すがら、男子生徒の肩に手をまわし「こりゃ空いてて乗り放題だぞ、ある意味ラッキーだな。」と言ったのです。 もう私はメロメロになりそうでした。笑

そして入り口に着くとまさかの私の分のチケットもあり、大抵はどこかの店や、その日泊まるホテルで待機などが多いのですが、添乗員さんが「校長先生の言うとおりに。」と言って解放してくださいました。
生徒さん達を入り口で見送った後、先生方と私に向かい「思いっきり楽しんでこいよ。」と。。。えぇ!有難うございますぅ・・・とばかりに皆がサーっと散り、多分その仲間に校長先生は入れてもらえるものと思っていたのでしょうが、任天堂のアトラクションの予約だけを先生達は取ってサッと消えていきました。爆
なので、私もすぐにアプリを起動して校長先生のチケットも一緒に同じ時間に入れるように予約。 先生にお供するつもりでいたら、校長先生は皆を追いかけると仰るので「じゃあ先生17:10にマリオワールドの前で待ち合わせしましょう!」と分かれました。

結局私はのんびりと人間ウォッチャーが好きなので、レストランの外の雨が避けられる場所に2時間近く居座り、ぼーっと人並みを眺めていましたが、貞子とかミニオンとか少しだけ乗りたいものに並び、時間潰しにハリーポッターの90分待ちに並んで乗った後、マリオワールド前に着くと、あんまり乗り気じゃないと仰っていた校長先生が生徒さん2名と先に待っておられ、時間ギリギリに先生方全員がチュロスを食べながら歩いてきた姿には笑ってしまいました。そのうち一人はジョーズの被り物を被っていましたから。

ハリポタなかなかGood!フロリダ以来のアトラクション参加でした。
USJができてすぐの頃に来て以来なので新鮮。当時はこれが呼び物でした。

テーマパークがお好みじゃない先生は早めにホテルに戻ってスパ大浴場に入り、のんびりされたそうで、皆に代わって早く戻ってきた生徒さんの担当になってくださいました。 なので生徒達の門限が20:30でしたが、その時刻に先生方が戻ってきたのは言うまでもありません。

この学校さんで一度も静かにしろとか何か指導するような姿がなく、皆が本当に楽しんでいるのがよくわかり、最終日の空港に向かうギリギリまで道頓堀界隈を散策する自由時間があるなんて大したものだなと感心しました。 誰も遅刻せず、きちんと時間の15分前には揃っていました。
おかげでバスの乗車もスムーズで空港にも早めに着けたので最後まで土産を見たりする姿がありました。
高校生になっても全然ダメな学校も多々あるのですが、久しぶりにいい学校さんのお仕事に携われました。

 人間形成において、当たり前だけど子供は親を見て育つと言いますよね。だけど子供の頃って起きている時間って小学校に上がると途端に親より学校、友達、先生方と過ごす方が多くなるので、やっぱり大人の姿は大事なんだと思いますし、その影響力はすごいと言うことですよね。
類は友を呼ぶ・・・それもその通りで、友達、仲間の影響もとても重要です。

そうやって子供の色はいろんな色に染まっていって、そこに自我が芽生え、善悪を決めていくのでしょう。

昨日から入れ替えで入ってきた小学校は、人数も多いのに実によく纏まっている学校で、生徒達は先生が前に立つとピタッと私語を慎み前を向いていました。
小学校時代からきちんと出来る学校って最近は少ないように思うので、素晴らしいと思いました。

そして今日、すごいと思ったことがひとつ。 長年参加したいけれど出来なくて、寄付だけで参加していた国境なき医師団で活動されていた医師が、まさかの小学校の自然教室に補助員として参加していることでした。
なんか、輝きが違うというかオーラを感じるものがあったのですが、昨夜ある出来事で私が処置のアドバイスをしたら「大丈夫です、私医師ですから。」と言われ目が飛び出てしまいました。「えぇ!」とだけなり、そのまま一晩過ごしたのですが、なんで医者が参加!?と驚いていたところ、今朝少し話をするきっかけがあったので「先生は勤務医なのですか?今回はお休みで参加なのですか?」と聞くと、
自分が経営しているクリニックに医師が11人在籍しており、ほぼご自身は自由なのだそう・・学校のPTA会長を以前されたり、奥様も医師で一緒に国境なき医師団で活動をしていたそうです。

ちょっと感動してしまいました。 本物に会えた〜 みたいな。
こう言うお医者さんって本当に実在して(当たり前)人の為に頑張るって言うのかな、自分の人生をまさに生きているなって思える人に出会えた事が、校長先生もそうだし、この補助員のお医者さんや、いろんな大人に出会えて、私もまた成長しなければと思いながら、私自身はどう人に影響をあたえてしまうのだろうと怖さすら感じる2023年後半のツアーナースの呟きでした。

これからも沢山、いい思い出に残る一期一会でありますように。

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