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自意識

自意識過剰、というコトバがあります。
印象としてあまり良い意味合いで使われることは少ないですね。
それはその言葉の由来となったナルシズム(最近は「ナルシシズム」という方が正しいと言われていますが、どうも慣れなくて…)があまり良い意味ではないからでしょう。

ナルシズムの由来はギリシャ神話のナルキッソスから来ていますが、この人はとても美しい青年でしたが、自分に想いを寄せる女性を振ってしまい、泉に映る自身の姿に恋してしまい、その満たされない想いを抱えたままやつれていきそのまま死んでしまい、水仙と化したとされています。

このお話から自らを最上とし、他人を見下すような傲慢とも思えるような人をこう呼ぶようになったのだろうと思うのですが、ここでは少し違う自意識についてお話しようと思います。

カウンセリングに来られる方の中に「人が怖い」「人目が気になる」と訴えられる方がいます。
こういうお悩みは結構多く、その状態が昂じると外に出ることそのものが怖くなってしまい引きこもってしまったり、仕事を辞めたりしてしまうということにつながることもあります。

教室や職場で笑い声が聞こえると「自分の事を笑っているのではないか」と疑ってみたり、いつも誰かに見られているような気がして買い物などにも行けなくなるという弊害もあるのですが、実は当の本人たちも「そんなことは無い、誰も自分の事なんか気にしていない」ということはアタマで分かっていたりします。

アタマでは分かっているんだけれど、その不安を拭い去るまでのモノではない。
この不安の元は「自分は他人にどう思われているのだろうか、自分は他人からどう見られているのだろうか」といった想いになります。
つまり「他人」は関係なくて「自分」の中で自分がよく分からない、自分は誰からも好かれないというような自己否定がそこにはあります。

そのような不安を他人に転嫁している状態は、ある意味これも自意識過剰な状態と言えます。

こういうお悩みに対して「そんなことないよ、誰もあなたを嫌ってなんかいないよ」と言ったところで、自分自身でもそれは理解しているためあまり意味がありません。

やはり「自分」を客観的に観ること、自分は「今の自分」のままで良いと思えるように意識を変えていくことが大切になります。

またこういう方々の特徴として誰かと話す時、相手の目を見て話せないことが挙げられます。
常に下を向いていたり、視線がアチコチしていることが多いのですがそれは相手に対して「不安」を感じさせたり、疑念を抱かせてしまいコミュニケーションそのものがうまく出来ません。

中には相手の話を聴く時には相手の目を見て話を聴くことが出来る人もいるのですが、自分の話を始めた途端に視線がウロウロしてしまいます。
このような状況に気を付けてコミュニケーションを取る練習をしてみるのも、状況の改善には効果的です。

勇気が必要ですけど、その勇気を出せたその時から意識は変わり始めます。

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