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この田舎暮らしをフロムに見てほしい
北海道八雲町わらび野地区
絵にかいたような田舎である。
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畑の周りはこんな感じだ
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今にも熊出てきそうであり、実際に出るらしい。
畑のあちこちに鹿の足跡があり、カッコウにウグイス等々鳥類に関して浅学である僕には聞いたことが無い鳴き声が常に響いている。
この本の著者はこの地に生まれ、暮らしている。
その内容を書き連ねたものだが、20数年間比較的都心部にいた僕からすれば衝撃的だったので一部を紹介したい。
便所の汲み取り
著者の家の便所は未だに汲み取り式であるそうだ
"我が家では、3か月に1回くらいの頻度で、便所の汲み取りを行っている。
大抵の家では、水洗便所で下水処理されているか、もしくは溜め込み式でし尿処理業者に依頼してくみ取ってもらうというのが一般的であろう。
しかし、我が家は山奥で下水は通ってないし、業者に依頼もしていない。
自分たちで、手作業でくみ取って敷地内の肥溜めに運んでいるのだ。"
だいぶおかしい
淡々と描かれているが、まず大抵の家は水洗式だ。
汲み取り式のトイレなんて父親が子供のころの話でしか聞いたことが無い。
仮設トイレなんかが近しいだろうが、仮設である使用上やむおえない。
さらに手作業でくみ取っている。
バキュームカーという古の産物を情報として知っていはいるものの、それすら使っていない。
『昔の人は大変だなー』と思うことを現在でも行っている。
さらにこの衝撃は続く
"僕は中学生の頃からずっとこの作業を定期的にしている。
汲み取り作業に慣れていない頃は運搬中に素っ転んでしまい、ウンチまみれになったこともある。"
おいおい、マジか……! やはりだいぶおかしい
『あのころはこんなこともあったなぁ』というテンションで書かないでほしい。
しかし、この章はこう締めくくられている。
"そんな訳で、大人になってからもこの仕事が嫌で嫌で仕方がなかったのだが、最近はそれほど嫌ではなくなってきている。
この仕事は人間が生きていくうえで、やらなければならない任務だ。
(中略)
他にも携帯の電波や地デジの電波が届かないなどの、田舎特有の不便さがいっぱいある。
だが、本当に地に足の着いた生活というのはこういう事ではなかろうか、と自分に言い聞かせながら今日も便所の汲み取りに鼻を曲げている。"
臭いものは臭く、不便なものは不便なようで、少し僕は安心した
いや、そうではない。。。
流石にこの生活は、地に足が着いたどころか、腰くらいまで埋まっている気がするが、たしかに僕たちは便利さやコストパフォーマンスにとらわれ過ぎているのかもしれない。まぁ、僕はウォッシュレットもWifiも使いたいのだけれど。
薪割り
畑作専業農家のため、冬は少し落ち着くようだ、しかし薪割りは絶えず行わなければいけないらしい。
"毎年、3月下旬頃から薪を割りながら雪解けを待ち、大抵1週間も経てば畑仕事を開始しているのだが、今年は待てども待てども畑は白いまま、3週間も薪を割り続けたらいい加減肩も腰もコタコタにイカれてきた。割った量も半端なくて薪倉は満杯。3年分くらいの薪をストックしてしまった。"
3年分は流石に割すぎだ、肩腰コタコタになるのも完全にペース配分を間違っている。
と突っ込みたくなったが、後述を読むとそれがいかに愚かで甘っちょろい価値観だとわからせられる。
"最近は、北海道の農村部でも薪ストーブのない家が増えてきて、薪割り経験のない人もたくさんいる。もっとも、仕事が忙しくて薪を割るような暇などないかもしれない。でも、時には仕事の手を休めて、こんなスローライフを味わってみてはいかがだろう。"
そう、薪を割らなければ暖を取れないのだ
3年分は流石に割りすぎだペース配分ミスだろ!なんて思ったのだが、その年に農業が忙しくなり、薪を割る時間がなければ冬が越せなくなってしまう。そう考えるとおちおち休んではいられない。
田舎暮らし大変だ。。。
著者は自らの生活をスローライフと称しているが、冬の心配と言えば、寒いの嫌だなぁ、お腹出して寝て風邪ひかないようにしないとなぁ、くらいしかない我々の方がよっぽどスローライフである。
農家の醍醐味
生活時間についても、若いころには8時から17時まで働くという生活をしていたものの、30歳ごろから日の出前に畑へ繰り出し、日の暮れる頃に畑を去る毎日が習慣になっているようだ。
夜更かしと二度寝を愛する僕は本当に頭が上がらない。
とても大変そうな暮らしをしている著者なのだが、農業の醍醐味をこう述べている。
農業の一番の醍醐味は?と問われたら、今の僕はこうこたえる「働く人間の織り成す、四季折々の美しい風景が見られること」と。きちんと管理された畑を眺めているととても気分が良い。この時期はジャガイモの花がピンクに咲いていたり、トウモロコシや長ネギの濃い緑や小豆やゴボウの黄緑色が広がっていて、色鮮やかである。特に好きなこの時期の風景は、カボチャ畑である。ようやく力強く葉っぱを広げた濃い緑と、その畝間にきれいに除草された土の茶色が、美しくストライプ模様を描くのだ。
いや、素敵すぎないか?著者 何度かうんこを被った人だとは到底思えない。
まず、美しく物を見て、美しくと感じる感性がとても素敵だ。
そしておそらく、暮らしの中にはずっと苦労があるのだと思う、しかしその苦労の積み重ねがあるからこそ、この命の美しさを文字通り全身全霊で感じる事ができるのだろう。
大変な事柄に対して思いを巡らせ、好意的に受け止めそれを楽しむ。
この本全体を通し、その考えは貫かれている。
なんと知的な営みであろうか
音と光によって受動的にドーパミンを放出させる快楽に浸ってしまった、僕たちが忘れてしまったものなのだろう。
夜の星空を眺め物語を妄想するという、0から1を作る、ないし1を見つけ出す。そんな知性の根源的なモノをこの文から感じた。
フロムの愛するということでは、愛は技術であり、規律、忍耐、集中の修練が必要であると述べているが、日の出と共に起き、厳しい作業には耐え、木花を慈しむ。
全力で自然を愛している
フロムよ見ているか、この田舎暮らしを
おわりに
実はこの本の著者とは縁があり、、、
というか今現在畑の手伝いをさせていただいている。
そしてこの本と出会い、あまりにも感動をしたので、何かに残したい、広めたいと思い数年ぶりに文章を書いている。
皆さんもぜひ手に取って見てほしい、どうやらkindle版は300円ほど安く手に入るようだ。
安心してほしい、僕はこの本が売れたからと言って、何のインセンティブも発生しない!
もしかしたら、かぼちゃなどの収穫できた野菜を譲ってくれたりもあるだろうが、報酬に関しての契約はない、本当だ。
とはいえ、そこそこに頑張って書いたので、守銭奴である僕は何かしておけば良かったなと、激しく後悔をしている。
なので最後何もないカ所を100円にした、我ながら良い考えだ。
本を買いつつ、100円で買いつつ、実際にこの場所を見てみたくなったらご一報いただきたい。
その際はぜひ著者と、北海道八雲町わらび野地区にある美しい土地を紹介したい。
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