ハマサキシュン

こんなこともあったなぁと思い出しつつ書くアカウント。

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最近の記事

500円返してくれ、あとわかば1本くれ

何年前だったか忘れたが、友だちが死んだ。 特に理由は知らないけど、同じ学年だし、たぶん自殺だと思う。 実家のリビングのソファで寝ころびながらダラダラしていると、先輩からいきなり電話がかかってきて知らされた。 「落ち着いて聞いてくれよ」なんてドラマでしか聞かない会話のイントロだったから身構えたけど、電話が来た時点でなんとなく誰かが死んだとかだろうなという気がしていたので案外驚きはしなかった。 そいつはぜんぜんブサイクで、背が低くて男のくせに髪はボブくらいの長さで、いつもくす

    • THE セックスバトルコロシアム

      家ではパッとしないお父さんたちも、奥さんや子どもたちが見えなくなってから満員電車に乗り、会社のために頭を下げ、汗水垂らして働く。 家族を養うため、家族に少しでもいい暮らしをさせるため、仕事という闘いに行くお父さんにフォーカスした、平成を代表する曲だ。 世界を救うことはできないけど、なんでもない毎日はたくさんのヒーローたちが守ってくれている。 今日家を出るとき、この歌が聞こえてきた気がした。 真夏の十三駅、目の前の景色が揺れ動く熱気の立ちこめたアスファルト。 21世紀の鏑矢

      • うつくしき町、札幌北24条

        4泊5日で札幌に帰った。 帰ったと言ってもぼくが生まれ育ったのは奈良だし大学は神戸だし、札幌に住んでいたのは社会人生活の最初、たった2年間だ。 しかし、ぼくは札幌、とりわけ北区北24条を心のふるさとで地元と呼んでいる。 北24条(にーよんと呼ばれている)は札幌駅から地下鉄で10分くらいのところにある。 昔はリトルすすきのと呼ばれるくらい栄えていて、飲み屋に風俗にと、かなりの繁華街だったようだ。 最近は時代の流れもあり風俗は無くなったようだが(ぼくが知る限りメンズエステは存

        • 結婚式

          先日友人の結婚式に出席した。 大学時代も、ぼくが社会人になってからも共通の友だちと札幌に来てくれたり、ぼくがニート期間にも遊んでくれた。 チャペルの扉が開いて出てきた彼女は、それはそれはきれいだった。ひいき目でもなんでもなく、新郎以外がさわることはゆるされない、ほんとうに神聖なものだと感じた。 昔インスタで「ほんま世界でいちばんきれい!」と、ウェディングドレス姿の花嫁を載せている立席者の投稿を見て小馬鹿にしていたけれど、その瞬間のかけがえのない美しさは、まぎれもなく事実だ

        500円返してくれ、あとわかば1本くれ

          21歳童貞、風俗で。②

          第2部 いい日旅立ち 料亭に入ると、奥で待っててくださいと嬢が言う。めちゃくちゃに良い匂いがする。可愛い、巨乳、いい匂い、最高かよ。 しかしリトルハマサキはリトルのままになってしまっている。さっきまでの威勢はどこに行った、もどってこいよ、、、 「先に代金いただきますね。」 「はい。」 無機質。無味乾燥。現実感がハンパない。 「じゃあ靴脱いで階段登ってください。」 「わかりました。」 業務連絡。指示。仕事。 登れと言われた階段も階段急すぎる。反り立つ壁か?ほんっとうに急す

          21歳童貞、風俗で。②

          21歳童貞、風俗で。①

          はじめにみなさんは「かんなみ新地」をご存知だろうか? 兵庫県は尼崎市にあった風俗街だ。 2021年11月、全店舗が閉業した。 ぼくは21歳の6月、そこで童貞卒業した。 これはその帰りの電車内で書いた体験談で、当時の記憶を残しておくことと、かんなみ新地への感謝を表すためにnoteに転記したものだ。 第一章 レツゴー料亭薄めのシャツが肌にぺったりと貼り付き、嫌なベタつきが残る。もう6月も終わりだというのに梅雨入りはしていないらしい。 「今日暑なるらしいから水飲みや」 これが母と

          21歳童貞、風俗で。①

          大学生のぼくが行き倒れた年上女性を助けたら人生が変わった話。③

          エロい展開になるのは漫画の話。事実は小説より奇ではないのだ。 ビールも4.5杯飲んで20時くらい。 助けてもらったお礼といって奢ってくれたので、しっかりと頭を下げて感謝を伝えた。 バスまで歩く時間を考えても30分くらいしかなかったが、真木がよく行く店に行きたいとのことだったので着いていった。 真木は店員さんにぼくのことを紹介したあと、今日の出来事を話した。 「ハマサキくん良い子だね。でも、今日のことは本当に忘れたらダメだよ。」 と、店員はぼくに言った。どんな含意があったか

          大学生のぼくが行き倒れた年上女性を助けたら人生が変わった話。③

          大学生のぼくが行き倒れた年上女性を助けたら人生が変わった話。②

          「そうだ、今から暇なんでしょ?助けてもらったお礼に飲みに連れて行ってあげよう!」 そう言われ真木にゴールデン街を連れ回してもらうことになった。 思い出してほしい。真木は1時間前まで道で酔い潰れて寝ていたのだ。酒ザコの多い部活で育ったぼくとしては全く信じられない肝臓を搭載している。「ちょっとオレ酒強いんじゃね?」と思っていた自分を助走をつけてブン殴りたい。 飲み屋にもそこまで行くわけでもない、ましてや知らない人と知らない街で知らない店に行くなんてことは初めてである。そして、

          大学生のぼくが行き倒れた年上女性を助けたら人生が変わった話。②

          大学生のぼくが行き倒れた年上女性を助けたら人生が変わった話。①

          2019年8月、ぼくが大学3年生の夏。 テキトーに風俗で童貞を捨てた2ヶ月後。わざわざ飲み屋に行かんでも楽しいしと家で酒を飲んでいた頃。 所用で東京に3日間ほど行ったときの話だ。 東京最終日は特にやることもなかったので、朝から夜行バスまでの時間を暇していた。あまりにもやることがなかったので、歌舞伎町の個室ビデオ屋で初めてVRのAVを見たりした。(深田えいみの作品だった。VRゴーグルをかけて振り返ると真っ暗闇だったので、エロよりも恐怖を感じた。) 「ふぅ、、、」と外に出たら

          大学生のぼくが行き倒れた年上女性を助けたら人生が変わった話。①