マガジンのカバー画像

読んだ

264
読みます
運営しているクリエイター

2020年11月の記事一覧

11/26 『今日も嫁を口説こうか』を読んだ

面白かった。 アルコ&ピース平子祐希のエッセイ。とてもいいことを言っているし、たとえも絶妙で小気味良く納得させられる。でもラジオやテレビにおける振る舞いや、他の芸人たちとの関わり方などを知っていると、なんでなんだろなと思わずにはいられない。読んでてうるせえな~と思いつつ、ひとえに嫁への愛ゆえにここまで自身の恋愛哲学を構築していることに感心するんだけども、でもやっぱ、というのを終始行ったり来たりしながら、結局は楽しく読んだ。ただ合間合間に挟まれる写真に関しては100うるせえなだ

11/24 『人類最強のヴェネチア』を読んだ

面白かった。 講談社ノベルスで出ていた前シリーズに切りをつけて単行本でリスタートしたのに、今までで一番講談社ノベルスみたいな出だしである。『デリバリールーム』とほぼ同時期に何書いてんだ。書き下ろしてんだ。 しかしリスタートしただけあり前『最強』シリーズ(『最強』シリーズ前期?)のキャラと『戯言』シリーズからのキャラをそれぞれお供に繰り広げられる女子旅道中はとても楽しかった。キャラ同士の掛け合いのみならず、普通に旅トークが楽しい。旅行好きな西尾維新のこと、言及された名勝名跡には

11/16 『扇物語』を読んだ

面白かった。 作中にドラえもんのひみつ道具の話が出てきたが、まさに今回のエピソードは怪異というよりドラえもんのひみつ道具によって巻き起こされた騒動っぽさがある。怪異の名前もそんな感じだ。 章構成のトリックに簡単に騙されてしまったのが悔しい。すぐにピンと来てもよさそうなものなのに……いや気づかないか。犯人との丁々発止の一騎打ちシーンかと思いきや、その実戦場ヶ原一世一代の大誤魔化し、乾坤一擲の復縁交渉だったなんて。原点回帰というなら、この戦場ヶ原の意地の硬さこそ原点回帰であると言

11/12 『二千七百の夏と冬(下)』を読んだ

面白かった。 上巻の恐怖の引きからの、キンクムゥと戦う前半。決戦のシーンは実に手に汗握る緊迫感に満ち溢れ、エキサイトした。もしかして最後までこの大獣との決着を引っ張るのかなとも思っていたが、一気にカタを着けてしまったので驚いた。本当に一人で倒しちゃったよ。パないぜ縄文人。 しかし、キンクムゥを倒してから物語は様相を変えてくる。思うにここで主人公ウルクは少年から男へと成長を遂げたということなのだろう。少年の成長譚から、異文化との接触、そして恋の物語へと。故郷を追いやられ、父から

11/10 『サマ』を読んだ

面白かった。 三四郎・相田によるエッセイ本。ただしそれに、本の発売前にネットで全文を公開し、読んだファンからツッコミを募集してそれも一緒に収録して刊行するという形態をとっている。海外ではよくやられている手法だなんて言っているが、嘘だと思う。 だがそのファンツッコミによって、単体ではとてもじゃないが本1冊分は聞いちゃいられない相田の「カッケー生き様」陳述に何か、こう……深みが生まれて面白かった。いや深みではないかな……むしろ浅み、かな……。 またそのツッコミというのも玉石混交と

11/5 『二千七百の夏と冬(上)』を読んだ

面白かった。 読み始める前にFGOでぐだぐだ邪馬台国イベントをやっていたり、読んでる最中に『範馬刃牙』のピクル編を読んでたりしたせいで縄文時代に対するイメージがよくわかんない大変なことになっていたけど(比較対象が悪すぎる)、それでも描かれる古代日本の世界にとてもワクワクした。語彙もこだわられていたり、数の名前も考えられていて面白い。どれだけ正しいかは知らないが、正しさはともかく、確かにこういう世界があったのだろう、ということを想像させられる。 現代パートと古代パートの双方から

11/2 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を読んだ

面白かった。 ラジオなどはちょくちょく聴いていたけど著書は読んだことなかったオードリー若林のエッセイ本。淡々とした描写の中で不意に差し込まれる周囲へのツッコミ、なかなかいいなと思いながら読み進めていると、途中からいきなり括弧でセルフツッコミが入る。まるで上遠野浩平のあとがきのようだと、ますます好感を持って読んでいくのだが、終盤に明かされるその正体に意表を衝かれ、当初の予想というか序盤に掴んだ読み味みたいなものが覆され、そうすることによって更に語り手の視点へと引き込まれていく。