11/24 『人類最強のヴェネチア』を読んだ

面白かった。
講談社ノベルスで出ていた前シリーズに切りをつけて単行本でリスタートしたのに、今までで一番講談社ノベルスみたいな出だしである。『デリバリールーム』とほぼ同時期に何書いてんだ。書き下ろしてんだ。
しかしリスタートしただけあり前『最強』シリーズ(『最強』シリーズ前期?)のキャラと『戯言』シリーズからのキャラをそれぞれお供に繰り広げられる女子旅道中はとても楽しかった。キャラ同士の掛け合いのみならず、普通に旅トークが楽しい。旅行好きな西尾維新のこと、言及された名勝名跡には全部行ってるんだろうか? そのうち西尾維新の旅行記本なんてのも読みたいものだ。司馬遼太郎を目指してほしい。
『戯言』シリーズからの懐かしキャラは他にも出てきて、特にパパの登場はマジでたまげた。うっそだろ?マジかよ!?ってなった。まあ、嘘だったわけだが……でも、こんな調子でどんどん懐かしキャラ出してくれてもいいのよ。毎巻、各シリーズから一人ずつ旅のお供にとか。次巻でのうち一人はもう決まったようだし。
お話に関しては、今回は哀川潤、実はあんまりいいとこなかったのでは? 今回の犯人が意外と強敵だったせいもあるが。それに、いいとこなくてもいいとこ持ってくのが哀川潤ではある。ヴェネチア一筆書き問題は、実際問題現実に出来るのかどうかが不明なままなのでいまいちわからんという難点があったが、現在進行形で沈みつつあるのだから、作中の年代がはっきりしてない状態で「ここをこうすれば一筆書きできる/できない」とはなかなか言えないか。それよりも一筆書きできる条件そのものに対してアプローチする方が成立はしやすい。まあ、具体的にどうしたかとか出来の如何に関しては「犯人が天才的にすごかったのでできた」で誤魔化された感はある。それでもそんな誤魔まで含めて楽しませてもらった。

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