11/2 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を読んだ

面白かった。
ラジオなどはちょくちょく聴いていたけど著書は読んだことなかったオードリー若林のエッセイ本。淡々とした描写の中で不意に差し込まれる周囲へのツッコミ、なかなかいいなと思いながら読み進めていると、途中からいきなり括弧でセルフツッコミが入る。まるで上遠野浩平のあとがきのようだと、ますます好感を持って読んでいくのだが、終盤に明かされるその正体に意表を衝かれ、当初の予想というか序盤に掴んだ読み味みたいなものが覆され、そうすることによって更に語り手の視点へと引き込まれていく。その感覚はラジオを聴いてるときのそれに近いような気もするし、小説を読んでるときのそれに近いような気もする。
新たに追加されたというキューバ編以降の旅行記はそういったギミックは取り外されて、変な話ある種「普通」になるのだけども、それがまた初めての海外旅行という一つの大舞台を乗り切った後の平場の御し方、みたいな趣があって悪くない。初めて目にする町並みを散歩するのが好きという趣味にはおおいに共感するところがあるし、今後もこういった旅行記、紀行文などを読んでみたいと思う。行きたい国はもうないと言ってはいたが、どうか気が向けば。

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