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広がった視野は戻らないのかもしれないよ、というお話

自分の見える範囲ってあると思うんですよ。
仕事をしていても、自分しか見えない人、相手の立場に立てる人、チーム全体が見える人、今見えないものも見ようとする人、先を読もうとする人、過去から情報を引っ張ってこれる人、複数のチームを見れる人、社会を見ようとする人。
これが積み重ねなのか、一つ一つ獲得するスキルなのかはわかりませんが、それぞれできることとできないことがあると思うんですよ。
で、一回その見方ができるようになると次からはその見方を捨てにくくなるんじゃないかと思うのが今日のお話です。

「普通にしたらええねん」が通じない

ある社長さん(中小企業)が自分のところの従業員さんのことを悩んでいました。
僕はその社長さんにいつも「あなたの普通は普通じゃない。」と伝えているんですが、あまりわかっていない様子。
そんな社長さんからの相談は、どれだけ伝えても従業員さんが話を理解していないと思う、ということでした。
その社長さんは、仕事の仕方を説明しているんですが「ちゃうやん、それやったらうまくいかんから、普通にこうやったらええねん」的な説明をしていて、僕に対しても「普通にしたらええだけのことができひんねん」と漏らす始末。
社長さんも悪意があるわけではないですが、僕から見ると従業員さんと意思疎通が取れていない様子。
社長さんからすると自分の言いたいことを分かってくれないもどかしさもある様子。

その社長さんの考え方

「お客さんが困ってるから解決する」というのがその社長さんの考え方なんです。「お客さんが困っているのを発見」→「解決する」なんです。その一連の流れを普通に接したら良いと言っているんです。
話を聞いて言うとわからなくはないですが、わからないことを質問したときにこの言い方で返されても理解できないんですよね。

その従業員さんはと言うと

聞いていることを僕なりに解釈すると、まずお客さんが困っていること放置している、放置しているから問題が大きくなる、問題が大きくなっても他の人が対処したら素知らぬ顔、自分に降り掛かってきてから慌てだす、急にこんな問題が起こったと報告する、問題が大きくなってしまっているから解決の糸口も見つけにくい、といったところ。

なので社長さんからすると、問題が大きくなる前に対処しろよ、小さいうちに対処してたらそんな大事にならんやろ、何回もサインがあったんやから見逃すなよ、ということなんですが、それを「普通に見とけよ」といってしまっている様子でした。

ちょっと整理すると

  • お客さんが困っている

  • 困っている様子を見つける

  • 何に困っているかを考える

  • 仮説を立てて対処する

  • 解決すればOK。手応えがあるけど解決しなければ対処法を再考、手応えもなければ仮説を再考

こんな感じになると思うんです。それを社長さんは「普通に見てたらわかるやろ」と言い切ってしまっている。従業員さんはまずお客さんが困っていることを見ていないことが問題っぽいんですよね。

見えてる世界が違いすぎる

一通り説明すると「こんな面倒なことせんとあかんの?」と言われたんですが、しないとダメです。
上記の箇条書きの部分を「普通」で片付けてしまえる人と、そもそも見てないやんっていう人と、見ているものは一緒でも、見えてる世界が違いすぎます。
なので社長さんはまず相手の何を見ているのかを自身で考えてもらって、それを従業員さんに伝える作業から始めてもらうように伝えましたが、多分難しいでしょうね。

広がった視野は戻らないのかもしれない

タイトル回収ですが、この社長さんのようにできるようになった人はその一連の行為のプロセスを飛ばしてしまうことがあります。その人としたらそれで問題ないし、問題→対処とすることで時間も短くなってより解決の数を増やしていけます。
今回の従業員さんとはあまり対比になっていないので、テーマ選びとしたら失敗でしたが、できる人が他者に伝えるときにプロセスを抜いて伝えてしまうと、まるで言語が通じないような結果になってしまうことがあると思うんです。
そして、できる人には何故通じないかがわからなくなってしまう、というのが今回のお話でした。一度広がった視野の人は、意識してもなかなか視野のひごがってない人の気持ちはわからないよ、と言うことです。


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