810004

感想めもと日記

810004

感想めもと日記

最近の記事

映画感想記録:フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(ネタバレあり)

アポロ計画の映画ではあるけれど宇宙の物語というよりthe other words ,please be true…というお話だと思った。 アポロ計画の都市伝説的な噂から着想を得たストーリーを軸に、PRというある種の嘘を駆使した錬金術と真実の拮抗に恋愛が絡む物語。後ろ暗い過去を持つPR会社の社長ケリーが、アポロ計画の広報に引き抜かれ、嘘と誇張を駆使してこの計画の魅力をアメリカ国民に売り込んでゆく。 どうしても目につくのがケリーの広報の手練手管の一つとして美貌と色気で籠絡するシー

    • 映画鑑賞記録:ジョジョ・ラビット(ネタバレあり)

      ポップな色彩と戯画化したようなテンポの世界観は、少年の目から眺めた世界のようにも見えた。そのような作風の中に露骨な残酷映像無しに少年に自爆を促すような戦争の残忍さや吐き気を催すような命の軽視をも描かれていて胸が締め付けられる。 キャプテンKとジョジョ、ロージーとエルサという大人と子供の対比に目を向けて鑑賞した。 敵か味方かわからないキャプテンKの含みを持った問いかけは、最後まで見る事でジョジョを気遣う大人としての行動だという事がわかる。味方だとわかった上でキャプテンKについ

      • 映画視聴記録:そうして私たちはプールに金魚を、(ネタバレあり)

        どこにも行けない人が何処かに行けるのが映画なのかもしれない。結局結局結局、どこにも行けないとしても。 何処にも行けないことを悟ってしまった少女達を見ることであの頃に行くのかもしれない。 この街に通る何処にも行けない国道、何処にも行けないプール、確かにいるはずなのに暗くてよく見えない金魚。 全体に流れるのは閉塞感と諦念、それでもふとした瞬間に煌めくものが生命って感じだ。愉しそうにはしゃぐ姿のすぐその後に入る「つまんないね」というモノローグ。誰かにとって喉から手が出るほど羨まし

        • 映画視聴記録:Pearlパール/Xエックス(ネタバレあり)

          とにかくめちゃめちゃ面白かった!とても好き好き好きな作品。これは大河ではないか。映像もシーンの重ね方など美しくて、大好きなのだけど、とにかくストーリーの魅力だけでも…と思い、自分なりに纏めてみた。 シリーズ通してキリスト教的な神を建前とした抑圧からの女性の解放…というのがテーマの大きな部分を占めていると思う。 殺人鬼を描くスプラッタものにしてはどちらの作品も最初の殺人まで時間がかかり過ぎているし暴力描写も過激すぎない(…というか、制作側のフェティシズムを感じさせるような殺害

        映画感想記録:フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(ネタバレあり)

        • 映画鑑賞記録:ジョジョ・ラビット(ネタバレあり)

        • 映画視聴記録:そうして私たちはプールに金魚を、(ネタバレあり)

        • 映画視聴記録:Pearlパール/Xエックス(ネタバレあり)

          母とルービックキューブ

          母はルービックキューブが好きで、私が子どもに与えたルービックキューブを手に取ると延々とやっている。ので、誕生日にルービックキューブをプレゼントした。ネットにはちょっと検索すれば解き方が転がっているが、自力でそこに辿り着きたいそうで、もう一年以上やっている。あと数ピースで完成までに漕ぎ着け「壊したくないよー」と言いながら壊し、またイチから組み直す。聞けば小学生の頃からそうやって解けるまで算数の問題を考え続けるのが好きだったそうである。 私は数学はからっきし駄目だが似ているところ

          母とルービックキューブ

          映画視聴記録:MEN同じ顔の男たち(ネタバレあり)

          MEN同じ顔の男たち、A24ということで鑑賞。 男性批判であると同時に、一部のフェミニズム批判なんじゃないかと感じた。 彼女ははじめ間違いなく被害者であるのだけど、だからこそ男性だからというだけで相手に同じ顔を見てしまう(≒そのような見方しか出来ない)本来なら個々であるはずの一人ひとりを見ずに、自分の領域を侵犯する加害者としての男性しか見ていない。だから同じ顔なのではないか。村の男性たちから彼女が加害を受けたとき、その理由や原因は個々に違う。が、そういった部分は見ようとしない

          映画視聴記録:MEN同じ顔の男たち(ネタバレあり)

          映画視聴記録:関心領域(ネタバレあり)

          *以下は、映画鑑賞前の自分メモ* 予告見ればこの映画の大まかな主題が予測できる。どう考えても、ガザをウイグルを、私の身の回りにある貧困を、格差を、不幸を、関心に入れず生きている私自身の事を指しているじゃないか。でも、そうでもしないと私のちっぽけな暮らしを守れない。この映画を見て、過去のこととせず、己の関心領域の外にあるものを目に入れて生きてゆく覚悟はあるのか。私にはとてもない。身一つならまだしも、薄氷を踏むような子どもたちとの生活を守ることで精一杯だ。サウンド・オブ・ミュージ

          映画視聴記録:関心領域(ネタバレあり)

          映画視聴記録:異人たち

          ネタバレしてるかも 「外に吸血鬼がいるんだ」という台詞が視聴後もずっと尾を引く。 原作未読だが、河合隼雄が自著でかなり詳しくあらすじを書き精神分析的な読解を試みていたのを読んだので大方のストーリーは掴んでいたが、設定を利用した全くの別物と考えた方が良い。 主人公をゲイにすることで「異人」という言葉が死者だけでなく主人公自身にも掛かるタイトルになり良い改変だと感じた。この映画では性的嗜好だが、誰しもが人に受け入れられない(それを試みようとする事さえ難しい)個人的な葛藤は抱いて

          映画視聴記録:異人たち