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曽野綾子『ほんとうの話』(真の勇気)

しかし恐らく真の勇気というものは、
ものごとを理想主義ではなく、
冷静な現実の姿という形で見極め、
その後に、
その現実のデータをもとに
理想を描くものなのである。

つまり
私たちは
まず第一に、あやふやで、中途半端な現実に直面し、
「よくも悪くもなくて よくも悪くもある」
私を取り巻くこの現世を
認識しなければならない、
という勇気がいる。
この世で誰一人として、
完全に幸福だ、
などどいえる生活をしている人はいない。
いまの日本人も
健全な感覚を持った人ならだれでも、
自分の生活に悲しみと不安を持ちながら、
同時に、
抱き合わせのように与えられている
ささやかな安らぎや小さな幸福に
満足しなければならないのかな、
と考えている。

現実的に考えると、今の暮らしは確実に良くなってきている。

家にいながら多くの事が出来てしまう時代となっている。


一人で孤独に暮らしていても

誰かとつながることもできるので実際には孤独ではない。


ほんとうに便利な時代ということは事実だと思う。

けれども

その中でも苦しみや悲しみがあるのは変わらない。

しかし

その生活の中にも

小さな幸せを見つけようという

気持ちと見る目があるなら

十分に見つけることはできる。


どんなことにも

悩み苦しむことはでき

どんなことにも

喜びを見つけることはできる。


苦しみや悲しみの中にも

そこから得ることができるものがある。


そう考えると


真の勇気とは

現実を冷静に見ることができることと同時に

その現実の中の苦しみや悲しみにおいても

学び取ることができる

目を持つということだと思う。


その勇気があるならば

困難の中においても

なんとか生きていくことができる。


このなんとかなるという楽観

なんとかするという強さを持つことで

人間として成長することができる。



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