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まえとあとダイジェスト版 Vol.2

大阪のまえとあと / 和氣正幸

本屋ライターとして活躍している和氣くんの知られざる話を聞いてしまったような「まえとあと」の船出を飾る記事は、それでいてこれからやりたいメディアの本質について迫ってくれる話を多く聞けた気がした。彼自身が意外と影響を受けた体験が多いと思う反面、それがすべて彼の生き方に還元されていることを知ることが出来た。

じつは中学生のときは引きこもっていた

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中学生のときにずっと引きこもってたわけですが、学校には行ってたんですけど、ただ他人と基本喋らない生活をしていたんですね。

望月
ちょっと意外やね。

和氣
今でも基本僕はわりと引きこもり体質なんで黙っていても何の問題もないんですよ。だからきっかけは何も覚えてないけど、ちゃんと自分の気持ちって外に言わないと分かんないんだなって思いました。そこからちゃんと親しい人には言うようにしたり、コミュニケーションについて学ぶようになりましたね。3年間ほとんど喋っていないと本当にマイナスからのスタートです。

望月
そんなにしゃべってなかったの?

和氣
ほとんど身内としかしゃべってなかったですね。

望月
じゃあ、ほぼ高校デビューとか?

和氣
中3デビューかな(笑)。でも特にオシャレをするでもなく、普通に友だちになろうとするだけなんですけど。その後の大学に入学したことも大きかったですね。中高と男子校だったんですけど、すごくつまらなかった。

これは本当につい最近わかったことなんですけど、僕、男子嫌いなんですよ。たぶん男子的なカルチャーが全般的に苦手なんですよね。男子のとりあえずマウントを取っていく文化がダメなんですよ。

妻との出会いで変わった思考パターン

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その後、妻と会う前と後も違いがありますね。自分で自分のことを考えたとき、パターン認識が強いほうだと思うんですよ。こうやったらこうなるだろうなって、ある程度わかるんですけど、ただ自分は頭でっかちなので、そこから出られずにいることが過去にはあったと思うんですよね。

でも妻が全然その時の僕の常識の範囲内の人ではなかったので、付き合ううちに、自分が考えすぎていることに気づいて。

望月
じゃあ、それまでよりもっと楽になったの? 

和氣
はい。考えるのもいいけど、自分はそれで1から10まで出来る人ではないんだって。だったら早めに動いちゃおうと考えました。僕はそれから対応していくほうが向いていると、妻を見ていてそんな気持ちになれましたね。

望月
なるほど。じゃあそれをきっかけにして、考えすぎるよりは早めに動き出すようになったの?

和氣
妻と会ってスグではなかったですが、もし妻と付き合ってなかったら、今ごろ独立してなかった気がします。

望月
なるほど、きっと独立する前に考えすぎちゃってね。

和氣
そうです。やっぱり考えすぎて怖くなって止めてしまっていたような。

望月
じゃあ独立後は、ざっくり動きながら修正していくの?

和氣
そうですね。ざっくり方向性だけ決めて、あとはどんどんやっていくごとに、人が大事だと感じるようになってきましたね。人がよければやっていくうちに楽しくなってきますからね。

転換点となったのは、大阪での取材記事から

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まだ独立する前の前職で大阪に約3年いたときに、自分のブログの話を朝日新聞大阪本社の記者が記事にしてくれたことがあります。その記事をスタンダードブックストア(2020年5月現在閉店。6月から天王寺に移転予定)の中川さんが見てくれたんですよね。それがきっかけで中川さんと一緒に飲むようになって。そこは僕の活動では大きな転換点だった。

そこで中の人と仲良くなれるんだって気づきがあって。だからそこで、むしろ本屋の中の人の話を聞くのが楽しいんだと気づきました。それまでは本屋をやろうと思っていたので、なるために必要なのは棚の調査をすることだったんですよ。喫茶店になりたい人が喫茶店めぐりをするみたいノリだったわけですよ。そうしたら本屋の中の人と話せるようになると、「あれ、そっちもけっこう面白い」って感じになったのは、大きかったかもなぁ。

望月
今はそっちのほうが大きいわけでしょ?

和氣
僕としては人の話を聞く方が好きだったんだなって発見でしたね。さらにそれを掘り下げていくと、僕は大学生のころに院試に落ちてしまったんですよ。僕は臨床心理学に興味がある、臨床心理士を目指していました。

それって何でと突き詰めると、人の話を聞くのが割と好きだった。それがのちのち話すことも好きだって話にもなるわけですが。僕は基本的に人って意味わかんないと思ってるんです。「何でこの人は5分前と全く違うことを言っていることになぜ気づかないのだろう」みたいなことに答えを求めた時期がありました。

でも院試に落ちた時に、教授に「和氣くんは営業や人と話すような仕事が向いてるけどね」と言われたけど、あれは今となれば至言だったと思いますね。

僕は時間をかけて人と対面して、その人に話を聞いたり、それをつなげたり、それをいろいろな人に知らせたりするほうが向いているのかなと思っています。もし研究職に行っていたらけっこう不幸だったかもしれない。

望月
人当たりは良さそうに見えるけど?

和氣
人当たりは良いし、色々ごまかせるけど、だから何周もした結果、素直になっているだけなので(笑)。

望月
なるほど(笑)。

和氣
その何周もしている部分は基本言わないんですよ。でもそれを言うとあまり面白くないし。僕は僕のことをあまり面白いと思ってないからこそ、ほかの人の話を聞きたいんですよね。

【つづき】は本サイトで。


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