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実家

僕は年に一度実家に帰省する。年に1回しか帰らないので、実家に帰るたび、様相は変化している。今年の帰省では、新しい家族が増えていた。人間の新しい家族ではない。
犬。
ペット。
飼い犬。
いろんな呼称が存在する。「犬」が新しく家族として迎え入れられてた。これは、僕にとって由々しき事態である。
何故なら、僕は「犬」が苦手だからである。
幼少期、家族で高知県に旅行に行った。あるショッピングモールに立ち寄った際、そこで土佐犬の子供バージョンと触れ合おうイベントが柵で囲まれたリングのような場所で開催されていた。当時から、犬が得意ではなかった僕は、両親に無理矢理、柵で囲まれた地獄のリングに上げられて、犬に追いかけ回された僕は、大の犬苦手人間として矯正されてリングから帰ってきたのであった。そのような、経緯があるので、僕は犬が苦手なのである。
しかも、実家で新しく家族に加わった犬の種類は土佐犬のような日本犬であり、大いに今回の帰省中、僕を悩ませたのであつた。
そんな、家族が増える大きな変化を得た実家に、僕は帰省したのである。
あー、犬怖かった。
実家。
上京してからあまり帰りたくない場所である。理由は、多々ある。生活の基盤がこっち(一人暮らしの部屋)に移って、実家でやることがないから。地元の友達がおらず、暇だから。弟と話すと価値観の相違で喧嘩になるから。小さな理由を挙げようと思えばキリがないぐらいあげれる。
しかし、一番大きな理由は
「スイッチがオフになるから」
である。
これは、感覚の話なので、とても説明しづらい事であるが、頑張って噛み砕いてみようと思う。
18で上京してから、楽しいことも苦しいことも一人で対処することが必要になった。もちろん、友達はいるので相談など、気持ちを打ち明けれる人はいる。
しかし、友達、親友でも打ち明けれる思いのキャパはある。めちゃくちゃ仲良い親友でも70が限界、100%の気持ちを打ち明けることは、僕にはできなかった。それでは、残った30%はどうするのか?答えは明瞭解明。自分で飲み込むのである。飲み込み続けて、一人に慣れて、無意識にバリアを貼るようになった状態を僕は、「スイッチオン」と呼称している。
この、スイッチオン状態は維持するのは、簡単であるが、オフからオンにするのは、とても時間がかかる。僕は、実家からマイホームに離郷して、スイッチオンにするまで3日はかかる。スイッチオンにならないと、どこか甘えが残った状態になり、仕事もプライベートもふわふわしてしまう。身が入らない。そして、現在、今、ふわふわした状態でこれを書いている。これを書くことで、少しでもスイッチがオンになる事を願いながら、この真冬に自室で暖房も入れず、パンイチで書いている。書き終わったら湯船に浸かろう。
長々と実家に帰りたくない理由を書いておきながら、毎年実家に帰ってるじゃないか。と思ったそこの貴方。仰る通りである。でも、言わせてほしい。
実家は安心するんだよ。
メンタルデトックスには、帰省が一番なんだから。
あーあ、今年、帰省したら、また犬に吠えられるんだろうな。


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